失われるプライバシー(9-15)


みなさん、こんにちは。

US News September 15の記事からです。

*Who's watching now?
Hassled by lawsuits, firms probe worker's privacy
Who's watching you and your computer? Find out

会社内で、個人の情報が経営者によって侵犯されているという記事です。

記事は、経営者に案内された私立探偵たちが、真夜中に会社の裏口から従業員 のworker's cubicleに案内されるところから始まっています。ファイルのキャ ビネットや、机のカレンダー、Rolodex、voice mail、さらには過去6週間のa company caller-ID machineなどを調べます。さらにcomputerのデータを downloadします。探偵たちの中には、コンピューターのプロもいて、ずっと前 に消去されたe-mailや文書を復元します。運が良ければ、会社の重要情報を競 争相手に流している証拠が見つかるかもしれない。

最近では、こうしたmidnight raidが実際に起こっているようです。理由は様 々で、従業員を解雇したり、従業員からの訴訟に備えたり、あるいは会社財産 の盗難の証拠固めと言うところでしょうか。ここ3年間は毎年前年より30%の割 合で、こうしたmidnight raidは増えているようです。

しかし会社内では、midnight raidだけではなく、かつては個人生活のプライ バシーと考えられていた情報を、堂々と手に入れることが行われているようで す。アメリカ経営教会(AMA, American Management Association)によれば、電 話会話の録音、従業員をビデオに撮ること、voice mail、e-mail、コンピュー ターファイルを調べることなどが、普通に行われている。求職者に対しては、 クレジット・運転・裁判記録、さらにはcompensation claims(よくは分かりま せんが、過去に会社などに賠償を求めたことなどでしょうか)も、要求され る。さらに同僚間の交際禁止co-worker's dating、勤務時間外のタバコ・飲酒 の禁止off-the-clock smoking and drinkingを禁止するところもあるようで す。多くの会社では、定期的に麻薬検査は実施されています。

もちろんこれらを従業員は知らない。裁判に備えたり、会社の利益のために、 こうしたことを行っているわけですが、Fortune 500の会社の調査によれば、 情報はクレジット会社などの第三者にも流されているようです。何故こうした ことが起こるのかと言えば、従業員が会社を訴える件数が急増していることが あげられます。1992年の10,700から、1996年には23,000になっていますから、 2倍以上ですね。会社のe-mailで、racist jokesを流され、働きにくくなった といって、7000万ドル請求の事例もあります。さすかにこれは却下されたよう ですが。アメリカの裁判はときどき首を傾げるようなのがおこされます。

しかし例えばFBIは盗聴の許可を裁判所から得なくてはいけませんが、会社の 経営者は従業員の電話盗聴は自由に出来るようです。そうした会社でのプライ バシー保護を定めている規定がほとんどないようです。

薬物検査は、80%以上の会社で行われているようですが、これは問題もある。 通常の検査では10%から15%の範囲で、エラーが出る。しかし会社によっては、 薬物服用と判定された従業員を即解雇し、間違いの可能性があっても応じない ことがあるようです。このため、その従業員は解雇されたばかりでなく、評判 を落とすことにもなる。

科学技術の進歩はこうした締め付けの強化にもつながっている。記事では病院 の看護婦の現在地がどこかを常に監視されたりする例があげられています。さ らに手を洗わないでトイレから出た従業員を上役に知らせるシステムも試験中 とか。

e-mailに至っては36.4%の経営陣が、仕事上の必要性か安全上の理由によっ て、従業員のe-mailを閲覧しています。さらに70%以上の経営者は、そうした ことを当然の権利と考えているようです。そうしたe-mailを調べるソフトもい ろいろ出回っているようです。これはHPで、子供に見せたくないのを規制する ソフトと原理的には同じなのでしょう。

仕事場に、従業員に知らさずにビデオカメラを設置している例も、あるようで す。裁判所の判断は今の所、こうした個人のプライバシーの侵害に対する問題 に関しては、民間の会社には憲法は適用されないと判断しているようです。し かしさすがにクリントンも従業員の遺伝子情報を経営者や保険会社に知らせる ことを禁じる法案を提出するようです。

しかし遺伝子情報は経営者に入らなくても、それ以外の日常的な個人情報の規 制は当分無理のようです。Big Brotherが、だんだんと姿を現している?

少しずつ、暮らしにくくなりますね。

YUKI



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