500頭の牛をひきつれて(6-29)


韓国の現代グループの総帥、Chung Ju Yung氏が牛500頭を引き連れて、北朝鮮 にわたった。民間人としては、朝鮮戦争の休戦後初めてらしい。日本のTVなど でも、報道されましたし、簡単に書いておきます。

*Bringing Home the Beef (p.41)

一応、この牛は農耕用として連れて行かれたはずなのですが、タイトルの通 り、結局は食料になってしまうのだろうか。

1989年北朝鮮を訪れたとき、Chung Ju Yung氏は故郷に住むおばに白いドレス のシャツを持っていった。いつの日かそれを取りににくると約束して。90年代 になって南北朝鮮の関係は厳しくなったが、Chung Ju Yung氏は約束を果たし たと言うわけです。しかも500頭の牛を乗せたトラックとともに。牛はもちろ んトラックも故郷への贈り物なのでしょう。ところでこの白いシャツを、 Chung Ju Yung氏はおばの家のクロゼットに掛けておいてくれるように頼んだ ようですが、これは彼自身のシャツだったのでしょうか。

この出来事は両国の関係にとって画期的なことになるだろう。金大中大統領の sunshine policyの成果ともいえる。北朝鮮政府も韓国政府が望むような改革 を実行に移すことは難しいから、民間人がこうした形で援助をしてくれること は望ましい。しかしこうした援助が農民の元に届くかどうかは少し疑問。

贈り物の総額はさらに牛500頭(another 500 head of cattleとありますから、 多分合計で1000頭だろうと思います)、50000トンの穀物、100台の現代製トラ ック。合計、1000万ドルと言うことです。

Chung Ju Yung氏は元々北朝鮮出身で18才の時に、南に向かった。現在82才で すから、64年くらい前です。当然日本の支配下にあった時代です。それからい ろんな職業を経験して、韓国一の財閥を作り上げた。韓国人にとっては立志伝 中の人物です。しかしふるさとを忘れたことはない。農業のことも忘れたこと はなく、15000ヘクタールの農場には今でも週に1度か2度は通うほどです。故 郷を出るとき、家の牛を売ったお金を盗んでその資金にしたこともあって、今 回の行動も亡き父親への贈り物という意味もあるようです。

しかしもちろん単なるsentimental journeyではない。自分の故郷の地、 Keumkang Mountain areaを開発する計画があるし、統一後を見据えてもいるの でしょう。

今回のChung Ju Yung氏の行動を見ようと韓国人はTVの前に釘付けになった。 さらに北が故郷である韓国人にとっていつの日か故郷に帰れるかもしれないと いう夢が膨らんだ。大金持ちでなかったら、その夢が実現するのはまだ遠い先 のことかもしれないが、少なくとも希望は見えてきた。



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