大学卒業生に勧めたい職業(5/18 ESSAY)


* Commencement Speech: Get A Job
By ROGER ROSENBLATT

TIME 5/18 USA版のESSAYを読んでみました。いつものようによく分からないと ころもあるのですが、勝手に想像して読んでみます。

アメリカでは卒業シーズンにそろそろ入るのですね。この文章は、卒業生がど うした職業に就くべきかを忠告しているのですが、もちろんそのまま受け取っ てはいけません。 (^^;

1988年の卒業生諸君に君たちにとって重大でしかも役にたつ職業のリストを示 して上げよう。これらは簡単にその職業に就けるのに、今までは大学卒業後す ぐにその職業に就けるとは考えられていなかったものばかりだ。木を見て森を 見ずというか、君たちが目標とするものが例えば政府の補助的仕事のさらに補 助的な仕事だったからなのだ。もっと視野を変えて、地位が高く、給料もよ く、仕事をする必要もほとんどなく、経験・実習・知識もほとんど必要とされ ない職業のことについて、私は話そう。君たちが望めば手に入るすばらしいチ ャンスのリストを思い付くままに話していこう。

1. 合衆国大統領
この職業はワシントンに住む必要があること、それにある程度の年齢が必要と されることから、学生たちはしばしば敬遠する。しかし考える価値はある。大 学を卒業したばかりの若者はまだ独身の者が多いから、結婚している大統領よ りももめ事に巻き込まれることが少ないから、いい大統領になれる。仕事はよ その国、例えば中国の大統領(国家主席)よりも、楽だ。最大8年の任期を勤め 終われば、その後の人生はゴルフとデートで楽しめる。それに無料の食事、専 用の印章もある。シークレットサービスは彼等が証言台で忙しくなければ、護 衛としてついてくれる。Dick MorrisやLinda Trippなどのスキャンダルを起こ したり、敵対心を燃やしてくるすばらしいスタッフも大勢いる。

2. Drug Czar
麻薬取締の最高責任者たるこの仕事も、楽しくて骨休めになる。この地位につ くと努力も成功も要求されない。数カ月に一度、もうすぐ麻薬問題は解決する と放言するだけでよい。誰も本気にしない。かつてこの地位にあった者で、最 も成果をあげなかった者、すなわち最も成功した者は、William Benettだ。彼 は教育長官としても同様に成功した者であるが、その職を辞するやい なや、この役所の廃止を要求したものだ。彼は現在国民道徳運動の代表者( spokesperson)である。(私はあいかわらずBenettが編集した本の愛読者であり ますが、彼は人気があるのやら、ないのやらさっぱり分かりません。)

3. スポークスマン(spokesman)
これも簡単な仕事で楽しい。まさに君たちにぴったしだ。誰か時の人、出来れ ば起訴されている人を探して、彼のためにあらゆる手段を使って彼の言い分を 代弁する。すると君も時の人になれる。そうしたら君もまたスポークマンを雇 うのだ。この職業には限りない可能性がある。

4. 専門家の専門家
何か災難が生じたとき、マスメディアはそれが流行の兆しがあることを証明す るために専門家中の専門家に助言を求める。彼等はテレビに出演して、国民に 凍傷やサメの攻撃等ありとあらゆる問題に警告を発する。何もないところに風 を起こせ。解決策を提供せよ。そうしたら他の人が新しい仕事を手に入れるか ら人助けにもなる。

5. 歴史家
歴史家になるためには博士号も長い間の研究も必要でない。何かを覚えていれ ばよい。最近の卒業生ならば、1980年代のことは覚えているだろう。それを使 って自分のケーブルテレビに出演して、多額の出演料を稼ぐのだ。しかし忘れ ていけないことは歴史を自分で勝手に作る才能がなければならない。誰が君の いったことなど訂正しようとするだろうか。君は教授じゃないのだから。(Did somebody say "Professor"? ちょっと苦しいかな。)

6. トークショーのホスト
この職業については合衆国大統領の項を見よ。

7. Celine Dion
多分この人タイタニックの歌を歌っている人だと思うのですが、よく知らない から省略。

8. 盗作者
何故既に他の人が書いているのに、自分で苦労する必要があるのか。用意周到 な注意を払えば、盗作者は1年に数十もの論文や本を書くことが出来る。大金 も手にはいる。捕まることなど気にするな。謝罪しなければいけなくなった ら、「うっかりしていました(An error was made.)」とうそぼけ。誰も気にし なくなる。

9. マスコミ批評家
この仕事は家で出来るのが魅力的だ。マスコミ内で働いている必要もない。能 力に反比例していい仕事が出来る。仕事の内容は簡単で一般の人には分からな い。マスコミ関係者以外には誰も注目してくれないが、運がよければジャーナ リズムの学校で教えることが出来る。そうすれば覚えの悪い12才の少年でも、 3週間もあれば理解できるような話題について、1年間をかけてゆっくりと講義 が出来る。

10. 出版界の大物
文学のようなつまらない本を出版するという考えを持っていなければ、君も出 版界の大物になれる。そしてすぱらしいパーティにいつも招待される。ただ犯 罪界の大物や、不名誉な事件を起こした有名人と金になる出版契約を結ぶだけ でよい。実際に出版する必要さえない。(和解金や賠償金をどこからか手に入 れるから?)仕事を失っても、有名人の仲間になれるし、マスコミ批評家や歴史 家になれる。

11. 有名弁護士
昔は有名な弁護士になるためには、長年の努力が必要だったが、現在はまずTV に出演すればよい。そうすればすぐに有名になるし、大金も手にはいる。その ためには(出演している他の)相手に向かって、叫び散らし、話をさえぎり、馬 鹿呼ばわりしなくてはいけない。Alan Dershowitz や Marcia Clark (多分有 名な弁護士だろうと思います)のように、魅力あふれる弁護士になろうなどと ゆめゆめ考えるな。そうすれば訴訟依頼人が殺到し、ambulance chaserになる 必要などさらさらなくなる。

分かりましたか。君たちの前には洋々たる前途が開けているのだ。卒業おめで とう。そしてこれからの幸運を祈る。

みんななかなか魅力的な仕事のようです。私が若者だったら、これらの助言は 身にしみるかもしれません。 (^^; しかしアメリカも日本もここまで今ま での権威が崩れていったら、はたして社会秩序は持ちこたえられるのか。私は 別に不安にはなりませんが、とにかく新しい秩序の兆しだけは見たいもので す。



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