統計と個人(4/20)


今日は早くもTIME US版4/20をダウンして読んでみました。Internetの話題 や、ペルーの遺跡などの話題も読んでみましたが、affirmative actionに関し ての話題も2つ読んでみました。その内の1つで、昨日読んだEssayの作者、 Charles KrauthammerがViewpointで意見を述べています。相変わらず辛口です が、なるほどと感じるところも多いです。

*Lies, Damn Lies and Racial Statistics

少数者優遇制度affirmative actionを廃止したカリフォルニアとテキサス。両 州の州立大学に少数グループは、どれくらいの割合で入学を許可されたのか。 去年も話題になりましたが、今年も相変わらずのようです。アフリカ系、ヒス パニック系の学生の入学者の割合は激減したと、マスメディアは報道している ようです。NY Timesはthree minoritoesという表現を使っているようですが、 これはnative Americanを含んでいるのでしょう。カリフォルニア大学の2つの エリート校、バークレーとUCLAでは、1997年度と比べて、黒人入学者がそれぞ れ57%, 43%、ヒスパニック系は、それぞれ40%、33%減少した。数字から言った ら、確かに激減です。

しかしカリフォルニア大学には8つのキャンパスがある。大学全体では黒人の 減少率は17.6%%、ヒスパニック系は6.9%の減少にとどまるということです。し かも今年の場合入学者の人種が不明な者、つまり自分の人種を願書に書かなか ったのでしょうが、そうしたものが入学者数の15%の6846人に及ぶ。当然この 中には、優遇措置を得られないのなら、わざわざ人種を書く必要はないと考え た少数グループの学生も入っている訳です。こうした人種不明者を除いた数字 で言えば、少数グループの入学者に占める割合は17.7%から、17.2%に減少した に過ぎない。

確かにエリート2校では、アジア系を除いて少数グループの割合は減少した。 だが例えばRiverside校では、逆に黒人入学者の割合は34%、ヒスパニック系は 43%増加している。つまりマスメディアが報道するのとは違って、少数グルー プがカリフォルニア大学から閉め出されたわけではなく、自分の学力に応じた大学に入学する ようになったというわけです。

もちろんバークレー校から黒人やヒスパニックを閉め出すことが国家にとって 悲劇なのだ、ということをaffirmative actionの支持者は訴える。はたして本 当にそうなのか。優遇措置の支持者は優遇措置で入った者の学力にそんな致命 的な差があるわけではないと長年主張していた。しかしその結果は、バークレ ーでの中退率が、白人の16%なのに対して、黒人は42%にも及んでいた。黒人の 入学者の割合は5.6%から2.4%に減ったが、これによって黒人の中退率も多分大 幅に減少する。他のキャンパスでだったなら、うまくやっていたであろう優秀 な黒人の学生たちの半数が、人為的に入学を許された制度のおかげで、周囲の 学生との学力差の中でうまくついていけなくて、中退せざるを得なかった。そうし たことを改善することの方が大事ではないのか。

そうした個々の学生たちの事情には目をつむり、マスメディアはただ統計 的な数字だけに夢中になっている。少数グループの個々の学生たちが、自分に 適した環境の下で学業に励んで実力を付け、卒業し、キャリアを築くことの方 が、官僚や政治家の虚栄心を満たすことのほうよりも大切だ。

なかなか説得力があります。どちらにせよ、教育の改革は長い目で見るしかな いのでしょうね。



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