悲劇はクライマックスへ(2/13)


TIMEの2/23の記事からです。経済記事ですが、何とも物騒な話しです。

*Shakespeare Couldn't Beat This (p.35)

Viewpointの記事ですが、今回の東アジアの経済危機をマクベスに例え、悲劇 はまだ完結していない、最近アジアの株式が上がっているのは、単なる幕間に 過ぎず、もうすぐクライマックスにかけて悲劇が急速に高まっていくと断言し ている不気味な記事です。的中しないことを祈りますが・・・

いまは投資家の観客達がロビーに出て、アイスクリームやシャンペンを楽しん でいる。劇が再開され、彼等が戻ったとき、舞台には苦しみもがく血だるまの 体が散乱している。それから第5幕、5場に向けて、舞台は進んでいく。世界的 デフレは全世界に広がり、ブラジル・ロシア・南アフリカが同じような目に合 う。

そのきっかけをなすのがインドネシアと中国。インドネシア企業の90%が既に 破産しているが、それが1400億ドルの対外負債の60%以上もの原因となってい る。政府側がもくろむ外国からの借金による企業救済は効果はない。既に負債 額が多すぎる。

経済がうまく行かなければ、スハルト政権は今年いっぱい持たず、その結果市 民社会が実現されていないインドネシアでは政権交代は流血の結果を伴う。そ うした事態になれば、2700億ドルを貸している日本と韓国の銀行は大打撃を受 ける。これがアジアからの資金引き上げにつながり、東南アジアの通貨はさら に弱体化し、西側へもデフレ的効果をもたらす。

中国の場合、18カ月以内に人民幣(元)の30%から40%の切り下げに追い込まれ る。そうなると香港ドルのアメリカドルへの連動性が終わり、世界の金融シス テムに打撃を与える。中国政府は人民元の切り下げはないと公約しているが、 人民元は既に貿易競争相手のアジア諸国と比べて25%も高くなっており、輸出 競争力は弱くなるばかり。その結果は輸出の60%を占める国営企業の体力が弱 くなり、同時に国営企業の不良債権はさらに増える。現在でも主要国営銀行4 行の不良債権は全体の30%を占めているし、GDPの約23%にもなる。

中国政府は国営企業の改革と失業率減少という課題を達成するためには、これ から数年間は年率11%のGNPの実質成長率が必要としている。もし今後2年間に 4.6%の成長率しか達成できなかったら、7800万人が失業し、社会不安が広が り、共産党の政権維持が危うくなる危険がある。

通貨切り下げ以外の政策として考えられるのは、国営企業改革の中止か大型プ ロジェクトの建設が考えられる。だがどちらも危険が多すぎる。

社会的安定と通貨価値の維持のどちらかを選択しなければならないとしたら、 おそらく通貨の安定が犠牲になる。その結果香港ドルは変動制に移るか、ある いは中国政府の管理下におかれるということのようです。political liabilty という言葉を使っていますが、もはや香港が自由な金融センターの役割を果た さないということなのでしょうか。

最初のおおげさな書き出しとは違って、あとの方はなかなか実感がわいてこな いところもあります。ただ日本の銀行の不良債権が一気に増大し、さらに様々 な不祥事の結果、金融界の業績悪化が深まれば、いよいよBig Bangと合わせ て、資金の流れが滞ることは考えられます。そう考えると、少し眉に唾したく なる記事ですが、不気味な記事でもあります。



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