沈黙が訪れたとき(TIME, US News, ST)


TIMEとUS Newsは、ケンタッキー州の人口27000人の町で起きた、高校生の銃乱 射事件を取り扱っています。Sunday Timesには、ドイツで起きた2人の女性に よる快楽殺人ともいえる事件を取り扱っています。全く関係のない事件です が、敢えて一緒に読んでみました。

まずはKentucky州の事件から、TIMEを中心にして読んでみます。

*WHEN THE SILENCE FELL
A TRAGIC SHOOTING IN KENTUCKY REVEALS A CURIOUS AND
POIGNANT FRIENDSHIP--AND THE FAITH OF A SMALL TOWN

12月1日月曜日の朝事件は起きた。Benjamin Strongは説教者である父が聖書の 箴言を読むのを聞きながら、朝食のテーブルについていた。といっても、ここ は家庭でもなく、教会でもない。StrongはWest Paducahのヒース高校のprayer circleに参加していた。彼は高校3年生で17才。US Newsなどの記事等も参考 にすると、フットボール・ブラスバンド部にも入っていながら、prayer circleのリーダーでもあったようです。このprayer circleは、聖書研究会と は違うし、宗教サークルの一種でしょうが文字どおり祈りを捧げるサークルで しょうか。

実は彼は感謝祭の前日の水曜日、つまり11月26日に級友の1人から月曜日の prayer circleの集会には出席しないようにという忠告(?)を受けていた。彼の 名前はMichael Carneal。14才の1高校1年生。今度の事件の犯人です。Strong はCarnealがロビーに入ってくるのを目撃していた。アーメンの言葉ととも に、35人のサークルのメンバーが手を握ったとき、最初の銃声がなった。その あと銃が乱射され、3人の女子高生が死亡、5人が負傷した。

銃発射と共に、StrongはCarnealに止めろといい、駆け寄っていく。2人はにら み合ったというか、もみ合っているところに校長のBill Bondも駆けつけた。 Carnealが、捕まる前の最後にStrongに言った言葉。「僕を殺してくれ。自分 がこんなことをしたのが信じられない」

何故Carnealが、こんな事件を起こしたのか、よく分からない。この辺はUS Newsの方が詳しいのですが、それでも結局本人に聞いてみなければ説明がつか ないようです。prayer circleの仲間とは、宗教について議論をしたことはあ るが、それはむしろ冗談としての面が強い。事実Carnealの仲のよい友達の何 人かは、prayer circleのメンバー達。少し変わっている奴、とは思われてい たようですが、特別異常なところはない。Strongも彼を評して、He seemed to be real.とTIMEに、語っているようです。かなり評価している。学校の Internetでpornographyをダウンして叱られていたこともあるようですが、課 題として出されたRomeo and JulietをBard(吟遊詩人)の他の作品と関連づけて 議論することもできた。年が14才というのが少しは気になりますが、多分彼は 頭脳的には才能があったのだろうと思います。

共犯者がいたのではないかと警察は疑っているようです。なにしろCarnealが 持ってきた銃器がすごい。友達の家から盗んだものなのですが、ショットガン 2丁、ライフル2丁、ピストル1つという訳で、5人分です。しかしこれも今の所 不明。

街全体が悲しみに沈んでいる中、怒りや恨みが少ないのもこの事件の特徴。死 亡した14才のNicole Hadleyの心臓と肺は他の人の命を助けるために寄付され る。そして「君を許すよ、マイケル」のサインが、多分街のあちこちにある。

次に重複しない範囲でUS Newsの記事から。

* Prayer Circle Murders
In Paducah, heroism, forgiveness, and the search for a motive

何故Carnealがこうした事件を起こしたのかについて、いろいろ原因を考えて います。

1. 映画、特に同じような事件を扱っている1995年のThe Basketball Diaries に触発されたというもの。もちろん細部は異なる。しかし気になるのは Paducahでは3年前にも少年が殺人事件を起こしているようですが、これも映画 の影響を受けたとされているようです。

2. 差別されたものの恨み、Carnealは少し内気で引っ込み思案なところもあ ったようです。からかわれていたというか、少しいじめみたいなものがあった と証言する人もいるようですが、これもあまり確かとは言えない。prayer circleのメンバーとはうまくいっていたし、死亡したのはいずれも女子学生。 彼をいじめていたとされる、運動選手とは違う。

3. 武器への執念。南部に珍しくない10代のガンマニアの影響を受けたのか。 しかし彼はその数週間前までは、銃を扱ったこともなかったとか。

4. 宗教への反感。これも少し違う。サークルの仲間と言い争ったり、一部で 伝えられているように悪魔の象徴666のシャツを着ていたことがあったとして も、5月には堅信礼を受け、教会には定期的に通っていた。仲間との議論は、 TIMEにも書いているように、からかったりからかわれたりと、あまり深刻では なかったようですから、これも断定できない。

最後にUS Newsが示唆するものとして、彼はInternetのskateboardのWeb site に接続するときの名前がLocoだったそうです。Locoには狂人という意味がある のですね。彼自身が、自分の中にある狂気を持て余していたのだろうか。

ドイツの事件も書く予定でしたが、今日はこれで終わりにします。



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