オーストラリアの人種問題(TIME/p.30-31)


みなさん、こんにちは。

TIME Dec.16 p.30-31のReflection in a Clouded Glassについてです。この 前、カバーストリーのFinding God on the Webのときに感想を書いたらとても 楽しかったので、ESSAYを除いて私は当分このスタイルで行きます。大意はど うも苦手なので、こちらの方が気楽ですから。ただ、少し難しそうなコラムな んかはやはり無理でしょう。ちゃんと勉強しなくてはいけませんから。

オーストラリアの人種摩擦についてです。TITLEは「曇りガラスの中に写るも の」。オーストラリア人の本音の部分の何となくもやもやしたものを表してい るのでしょうか。副題が「オーストラリアはアジア系移民を、よそ者だと感じ させ、国内を二分させた人種論争の代償を計っていてる」。

135年前、オーストラリアのNew South Walesのヤング(Young)の街で、2000人 の中国人金鉱労働者に悲劇が起こった。彼ら少数派の中国人は、追いつめら れ、ぶたれ、財産・小屋は破壊され、金鉱から追われたのだ。どれだけの死者 がでたのか誰にも分からない。ヤングの市長Tony Hewsonによれば、「現在で は中国人の悪口を言うものは誰もいない」ということである。ヤングと中国の Lanzhonは姉妹都市提携を計画中だそうです。

過去の暴力はなくなったが、オーストラリアの歴史を見たらまだ過去を完全に は払拭していないようです。オーストラリアが公式に白豪主義を廃止したのが 1973年ですか。それからはアジア系移民もヨーロッパ系移民と平等な立場にな ったはずですが、人種問題は定期的に吹き出て来ているようです。今年の国会 議員選挙で当選した無所属のPaulin Hansonの言動を紹介しながら、オースト ラリア人の(当然ヨーロッパ系オーストラリア人)本音はどこなのかを書いてい るんですね。このPaulinは写真も載っていますが、女エリツィンと言う感じで す。もともとは魚と雑貨を扱う商店(fish-and-chips shop)の経営者で、3月の 選挙では自由党から立候補していたのが、あまりの過激な言動のために投票日 前日に除名された(disendorsed)のでが、そのまま無所属候補として大勝した ようです。

このPaulinが候補として主張していたのは、アジア系移民の中止、multi- culturalism・アボリジニ基金のいずれにも反対でしたから、その結果国内の 人種間の対立、近隣諸国との国家関係が緊張が生じてきたわけです。

先週の国会での演説では、自分は人種主義者じゃないと言ったようです。とこ ろが、3ヶ月前の最初の国会演説では、「今のままではオーストラリアはアジ ア人だらけになる、多文化国家は強くもないし統一できないのは、世界を見れ ばよく分かる」というようなことをいったわけです。彼女の言動の影響で、人 種に関係したもめ事は増加していることが報告されているようですね。

オーストラリアが白豪主義政策を廃止してからも、移民問題は、特に雇用問題 と絡んで、浮上してくるようです。不景気の時には特にひどいんでしょう。先 月行われた調査でも、66%がPauline Hansonの移民公約を支持しているところ を見ると、本音の部分ではかなり厳しいのかもしれません。「オーストラリア には外国人嫌いと人種差別は常に底流にある」という社会学者の言葉もありま すから。

もともとこのHanson、選挙区に労働者階級が多いという事情もあるようです が、最初の演説の時はなかなか厳しいことを言って、マスコミがまたそれを一 言一句報道したらしいですね。中国系移民と結婚して36年になる人の話が紹介 されています。「古くからある問題だけど、経済的政治的状況によってまた新 しくむしかえされた。もうとっくに解決してしまったと思っていたんだけ ど。」

国内では観光業者を中心に、各国の反発を恐れているみたいですし、貿易に影 響があるという懸念の声もあるようです。

こうしたことが近隣諸国にどんな影響を及ぼすかですが、少しはさざ波はたっ たものの3ヶ月たった現在冷静に対処しているようです。しかしオーストラリ アのイメージが損なわれるかもしれないし、隠れた偏見があらわになったとい うことならば、やはりマイナスイメージはさけられないでしょう。

Hansonが多数の意見を代表しているというのは、少し買いかぶりとしても問題 が存在することは事実です。Hansonの言動を大げさに取り扱ったマスコミと Howard政権の問題解決のもたもたぶりが、さらにそれを助長したのでしょう。

しかし少なくとも表面的にはHansonの意見は少数派ですし、人種間の調和を求 めて200以上の団体がメルボルンに集まったみたいですね。若い世代は、高校 で多民族国家オーストラリアの進むべき道を学んでいるみたいです。現実を直 視すれば、アジアの一員としてしかオーストラリアの未来はないでしょうか ら。

そしてHansonの神通力も次第に衰えてきたようです。マハティール首相が彼女 のことを「ばか a little moronic」と言ったり、オーストラリア国内でも大 見出しになることが少なくなっているというわけです。最近はHanson自身も少 しトーンダウンしている感じですね。

この騒ぎで積極的な評価を下すとすれば、問題の所在がはっきりしてきたと言 うことでしょうか。臭いものにはふた、よりも将来のためにはかえって好都合 だったのかもしれませんね。

そしてヤング市では、未来を見据えて、中国庭園や過去を忘れないための植樹 が計画されています。Hewson市長が言っています。「それは中国人と我々の和 解のシンボルになるでしょう」

後半は、どうもサマリ調になってしまいました。オーストラリア関係の記事を UPしたのは初めてです。私がまだ全然書いていないのは南米だけになりまし た。オーストラリアは私にとって関心があまり高くない地域ですし、TIMEなん かにもあまりのらないような気がします。

YUKI


自己レスです。

>>もともとは魚と雑貨を扱う商店(fish-and-chips shop)の経営者で、3月の
>>選挙では自由党から立候補していたのが、

fish-and-chipsは、そのままフィッシュアンドチップスです。リーダーズに は、じゃがいもの細切りのから揚げを添えた、フライドフイッシュとのってお ります。「アプローチ英和辞典」などの、学習辞書には図解入りで詳しくのっ ています。

YUKI



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