ロシアの将来(TIME, NOV.25)


みなさん、こんにちは。

TIME Nov.25のVIEWPOINTの記事です。

TITLEはManaging the Russian Connection です。

心臓手術後、エリツィンはクリントンに将来をみつめた楽観的な手紙を送った が、アメリカは21世紀のパートナーとして強いロシアを必要とすると想定して いる。その通りである。ロシアが民主的な、安定した、繁栄した国家になるこ と、しかも近隣諸国と平和を保ち世界経済の一員になることはアメリカの国家 利益にもかなう。それに至るまでには1世代あるいはそれ以上かかるかもしれ ないが、それはアメリカ主導の国際社会から支持されるだろう。

ソビエトがロシアになって5年、ロシア政府は数多くの勇気ある正しい選択を してきた。民主主義か根付きつつある。市場経済と金融インフラの基礎はでき あがった。ルーブルは安定し、インフレは収まり、民間部門の生産高がGDPの 70%を占めている。

しかしロシア政府は今後つらい選択を続けなくてはいけないし、それをやめて はいけない。1つはチェチェンの野蛮な戦争を平和的に終わらせることであ る。もう1つは税徴収の早急な徹底的調査が必要である。現行の制度は複雑 で、非能率的であり、国内外のの投資を躊躇させているし、歳入不足はIMFか らの借り入れを困難にもしている。さらに基礎的なレベルでは、犯罪の横行に よってロシアの人々の改革と民主主義そのものに対する信頼を揺るがし、再び 国営化へと進むかもしれない。

アメリカは技術援助と世界銀行やIMFなどの金融機関からの援助を介して、ロ シアの努力を支持している。ロシアが今のままの努力を続ければ、アメリカは 政治的経済的に自由な諸国の仲間入りをするよう励ますし、出来る限り、後押 しするだろう。

ロシアは自らは改革を続けなければならないし、特に近隣諸国との関係におい て重要なことだが、国際的に責任ある行動をとることを示さなくてはいけな い。多くのロシア人は、帝国の崩壊を、切断された手足の幻想肢痛のように感 じている。2500万人のロシア人が、今は独立国となった周辺諸国に住んでい る。彼らが寛大な自分たちを受け入れてくる民主政治のもとで安心して暮らせ ることが大切だ。もしも彼らから何らかの不平が聞こえてきたら、ロシアの超 国家主義者達が復活するだろう。

今まではロシア政府は民族統一主義の動きを押さえてきた。ソビエト崩壊後す ぐ、エリツィンは旧ソビエト共和国の国境を新しい境界線と認める歴史的決定 を行った。彼は政敵の主張を退けてきた。それでも多くの課題が、それはロシ アの周辺諸国にとっては不安なことだが、CISの11の国との関係をどう処理す るかという点でまだ未解決のままである。もしCISが本当の独立国家の真の連 合体となるなら、内部の各共和国ばかりでなく世界からも支持されるだろう。 しかしロシアがCISを周辺諸国を支配する隠れ蓑として利用するならCISもソビ エトと同じ運命をたどるだろう。

ロシアはNATOに関心を持っている。NATOは常に相互の防衛協定だったし、これ からもそうだが、同時にそれ以上のものでもあった。冷戦時代はソ連とワルシ ャワ条約の抑止力としての主要な役割の他に、スペインでは市民主導の民主主 義を強化し、ギリシアとトルコの平和を保つのに役だった。NATOがメンバーを 増やせば、民主主義と地域平和の進展をもたらすだろう。NATO加入を目指し て、中欧の国の中には国内の改革を速め、近隣諸国との改善に乗り出している ところもある。今世紀に中欧の不安定のために2度も苦しんだロシアにとっ て、こうした流れには、安全上の関心を払っているだろう。

明らかに、ロシアはまだNATOの拡大をそうした好意的な目では見ていない。米 ロ間の、この問題をめぐる不一致が解決できれば、その関係を占う重要な試金 石となろう。先月クリントンはNATO設立50周年になる1999年を初の加入を認め る期限と決めた。

その時までにはNATOとロシアの関係を話し合うのに時間は十分にある。

そうした一時的妥協を行うのには、両陣営が冷戦時代のステレオタイプ的思考 を抜けでなければならない。アメリカとしてはロシアの略奪行為はその遺伝子 の中に組み込まれたものであり、かつてのソ連の大きさとやり方に戻るという 考え方をやめなくてはならない。同様にロシア人もアメリカの本当の目的はロ シアを弱体化すること、さらには分割することだという考えを辞めなければな らない。

もしアメリカの動機についてロシアが陰謀史観とか旧来の考えに固執するな らば、協調とか協力とか言葉は、彼らの耳には宥和政策、屈服、屈辱以外の何 物でもないだろう。その結果はテロ、地域紛争、環境悪化、軍縮、大量破壊兵 器の拡散といった協力しあわなければならない重要な問題で、対立することに なろう。

ロシアの政治家には、特にアメリカとの関係を本質的にはライバル関係と捉え るものの中には、自分たちの国益はアメリカを困らせることだと考えがちにな るものがいるかもしれない。もしそうした考えがロシア外交政策の基本をなし たら、ただわが国の不信感を招くだけだろう。そうした悪循環は冷戦時代には 普通であったが、すべての人にとって悪い結果をもたらすし、特にロシア人に とってそうだろう。彼らは20世紀に自分たちにふりかかった災害の10分の9を そうした過ちでおかしてきたが、それをまた繰り返すことになるだろう。そう した著しい過ちの中には、すべてを犠牲にしての安全優先問題の考え方、およ び高価で無駄で危険な兵器を安全自身だと考えたことがある。

軍事力ではなく、人的及び自然資源こそが新しい世紀に置いてロシアを本当に 安全で影響力のある国家にするだろう。ロシア人とその指導者はそのことを信 じなければならない。彼らはまた私たちもそれを信じているということ、そし て我々の現在のロシア政策は、彼らの将来を尊重し支持するものだということ も信じなければならない。

筆者はソビエト専門家で現国務次官。

YUKI



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