ジャンヌ・ダルクを処刑したイギリス人(5/31)


*England gets burnt at the Joan of Arc stake

ジャンヌ・ダルクを描いた2本の映画が製作されるようですが、イギリス人が 悪役に描かれることは必死というわけで、心配する人もいるようです。そうで なくとも、イギリス人の一部にはTitanic、それにスコットランドのイングラ ンドへの反乱を描いたBraveheartと最近のヒット作2本が事実をねじ曲げてイ ングランド人の名誉を傷つけているという不満がある。またもイギリスが悪役 か、というわけですが、ハリウッドの映画ではかつてのソ連やドイツやそして 日本などは、戦争映画やスパイ映画ではいつも大体悪役と決まっているようで すから、イングランドの場合少し贅沢という気がしないでもない。

とにかくジャンヌを描く二本の映画の内一本は、Mila Sorvinoが主役のJoan of Arc: The Virgin Warrior。監督はRon Maxwell.

もう一本はウクライナ出身のMilla Jovovichが演じる作品。監督はフランス人 のLuc Besson。タイトルははっきり書いていないと思いますが、単にJohn of Arkなのかな。

別にジャンヌ・ダルクが映画化されるからといって、イギリス人がひがむ必要 はないようですが、Alexander Walkerの言葉を聞いていると、少し情けないよ うな気もします。History is almost always used to our disadvantage. It may assist the box-office performance of the film in countries where we are loathed, and people in this country have such a poor opinion of their own past that they just shrug it off.

1431年、イギリス人によって火あぶりの刑に処された19才のオルレアンの少女 のイメージは、イギリスに敵対するものにとっては、格好の宣伝材料になるの でしょうか。皮肉屋G.B.ショーが1923年に描いた作品でも、Earl Warwickをず るがしこく、イギリス人は裏切り者で愚か者と描いているようです。Earl Warwickを調べてみたら、1428-71年に生きた人のようですから、ジャンヌとは すこしずれますが大体同時代人です。ショーの作品は舞台化されたようです が、何という作品で、中心はジャンヌダルクを描いたものなのか、ばら戦争を 描いたものなのか分かりませんが、まあジャンヌも出てくるのだろうと思いま す。その後の25本のジャンヌ作品は大体ショーの描いたようなイギリス人を描 いていると書いています。ステレオタイプ的思考は楽ですしね。しかしバーナ ードショーは、アイルランド人だったのですね。イギリス人と考えるから、混 乱するのかもしれません。

もちろん歴史家はそんなに短絡的には考えない。例えばオルレアンにあるジャ ンヌ・ダルクセンターのOlivier Bouzyは、もし映画が過度のナショナリズム を表せば、anachronismの罪を犯すといっています。100年戦争は英仏間の戦争 ではなく内乱だったし、ジャンヌを捕らえ、イングランドに渡したのもフラン ス人だったし、裁判を行ったのも、フランス人の司教だったと。

さらにジャンヌによってフランス人の愛国心が勇気づけられたというのも疑わ しい。というのも彼女が指揮した軍隊の大半はスコットランド人だったから。  (^^; これは1295年のAuld Allianceのためです。それによると両国はお互 いが侵略されたときに援助するという取り決めがあった。

2作品はお互いに牽制しあっているような所もある。The Virgin Warriorの executive producerによると、自分たちの映画は歴史的に忠実だが、Bensson の映画は分からないという。Benssobは詳細を明らかにしていないようです が、どうもかなり型破りなものになるらしい。

しかしとにかくハリウッドの影響力は強い。本文の最後は次のように結ばれて います。フランス人の教師がオルレアンの博物館(前に出てきたセンターのこ とかもしれません)に生徒を連れてきて、ジャンヌの敵は誰だったかと聞い た。10才の子供たちは一斉に"Les Anglais"と答えた。しかし別にこれはハリ ウッドの影響ではないと思うのですが。イギリスで聞いてみたらどんなに答え るのでしょうか。

私はジャンヌを描いた作品はバーグマンの作品を是非見たいのですが。私にと ってはいわば幻の作品です。ビデオで手にはいるはずですが、いつか見れたら と思っています。



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