Sunday Times 98-5-25


The Sunday Times 5/24のWORLDの記事を簡単に紹介しておきます。

1. Purge of Suharto's clan starts
Dynasty's downfall averts civil war

スカルトが長年dukkunと呼ばれる占い師に、特に危機に直面したときに相談し ていたと言うこと。アメリカでも、日本でも以前によく聞きましたが、政治家と 占い師の関係はなかなか結びつきが深そうです。特に2年前に、それまでの良 き相談相手だった妻の死亡後は、昔からのジャワ島の迷信の世界に深く入って いったらしい。

Prabowoは、4人の学生の死について責任を問われる可能性がある、というのは まあ当たり前でしょうね。しかし彼の部下たちは積極的に略奪や、組織的解 雇、放火にも関係していたようで、Prabowoは混乱に乗じて一気に軍と国家の 権力を握るつもりだったのでしょう。

しかし今回の一連の経過の中で圧力をかけたのが、アメリカ・イギリス・オー ストラリアの軍事・情報関係者たちの連携ぶり。お互いに緊密な情報を交換 し、軍のエリート層との人脈を生かして、破局を防ごうとした。日本は、こう した面ではあまり活躍はしなかったようですが、在留外国人の避難の中では一 番秩序正しく実行したようです。ツアー旅行みたいに、在留邦人を市の中心に あるホテルに避難させたとありました。

2. I saw Briton shot, says Khmer Rouge guerrilla
Mine clearance expert killed three days after being kidnapped, Scotland Yard detectives told

カンボジアで地雷除去作業に携わっていて、クメール・ルージェに誘拐された Christpher Howesは誘拐3日後に射殺されていたという記事です。かなり確度 は高い。彼を連行した責任者の証言ですから。尋問の後、果物のdurianを食べ ているところを背後から、銃殺した。おそらく彼は最後まで銃殺されることに 気づいていなかったようですが、これがクメール・ルージェ流の高官の最後の 晩餐式処刑法だということです。

3. Colombia cocaine cartels plot to flood World Cup
Authorities uncover plan by some of world's most notorious drug traffickers

World Cupを控えて、コロンビアの麻薬組織が大量の密輸を企てているようで す。テロや騒動に備えて、フランス警察の麻薬取締が緩むだろうと見越しての ようです。金額的にも、何百億もの量らしい。しかし直接フランスに運ぶよう なことはせず、まずはスペイン・イタリア・オランダあたりに荷揚げすればあ とはEU内の輸送は比較的楽だということです。密輸する側も、取り締まる側も 様々な智恵を絞っているようです。前回のアメリカでのWorld Cupの時は、 CaliカルテルのRodrigues Orejuela兄弟は、2機のBoeing727を2回ずつ、計4回 メキシコのアメリカ国境に飛ばしたというからすごい。いずれも2億1000万ド ルの価値の7トンのコカインを運んだようです。今回も、これに匹敵する作戦 をねらっているようです。

4. Falklanders await rush for black gold
Potential £100 billion oil reserves spell change for isolated community

フォークランド沖に石油が埋蔵されていることがほぼ確実になったようです。 Wales位の広さの所に、2200人しか住んでいない島も、住民の願いに反して、 騒々しくなるのかもしれません。住民は金銭的にはかなりの恩恵を受けるよう ですが、石油産業が自分たちの島に出来ることは望んでいない。しかし戦争に 敗れたアルゼンチンも、自国の利益になるような法律を制定している。まさか 新たな紛争の種になることはないと思うのですが、10年以上前のフォークラン ド紛争は何が原因だったのか、私はよく覚えていません。石油資源も絡んでい たのかな。

5. US carnage brings call to arm schools
Provocative remedy for string of deadly assaults

アメリカの学校で多発する銃乱射事件は、どうやら銃規制の動きではなく、学 校の武装化への動きを強めているらしい。具体的には、教師が銃を所持するこ とを認めるようにという主張の方が大きい。潜在的犯罪者は、犯罪を犯すに当 たって自分の危険性を考えるから、教師から銃で反撃される可能性を考えると 生徒が学校で銃を発射することが少なくなるだろうと言う発想のようです。 Exciteのサイトでアンケートを取っていた時も、こうした事件が何故続発する かの原因としては、銃が簡単に手にはいるから、と考える人よりも、犯人の人 格の問題と考える人が圧倒的に多かった。

6. Jefferson's 'black heirs' in DNA test
Did founding father have affair with slave girl?

去年のUS News 12/22にも載っていた、アメリカ独立宣言の起草者であり、第 三代大統領でもある、Thomas Jeffersonにはたして黒人の子孫がいるのかとい う記事です。US Newsの記事では、数カ月以内に結論が出るということでした が、このSunday Timesの記事の内容は、特に目新しいことはありません。ただ この記事が出たということは、もうすぐで結果が分かると言うことです。

本文にももうすぐ科学雑誌で発表される、とあります。もともとの方針が Oxfordの3つの実験室で内容を秘密にしたまま実験を行い、その結果は科学雑 誌を通じて発表される、ということでしたので、多分もうすぐNEWSになるので しょう。私は3月頃発表かと思っていたので、そのときはあまり雑誌もまじめ には読んでいなかったから、見落としたのかもしれないとすこし気になってい ました。 (^^;

TIMEもNEWSWEEKも、DNA鑑定の結果は報道すると思います。Sunday Timesのこ の記事は、結果はどうあれ、アメリカ人が敬愛するジェファーソン像は永遠に 変わってしまった、と結ばれています。

7. Iran dares to defy grip of mullahs
President holds 'town meetings' to solicit views of his subjects

イランでは穏健派と保守派が勢力争いにしのぎを削っている。穏健派のカタミ 大統領出現以来、、若者たちが街頭に出てその支持を表明している。しかし自 転車に乗っている女性(これはpuristからは罪深いと考えられている)が襲われ たり、カタミ派の集会が襲われている。一方では、保守派を皮肉る出版物も人 気があるようです。少し心配なのは流血の恐れがあること。

8. Surge of support boosts Vanunu
More than 500 letters will be forwarded to him this week

Sunday Timesはここ数週間、Vanunu釈放の記事を掲げています。

9. Police link to murder of Russia's Serpico
Corruption in elite police force linked to mafia killing of top cop

ロシアで警察仲間の不正を暴き続けていた警官が殺された。多分仲間の警官に 殺されたようで、真相は明らかにならないかもしれない。この人、いろいろな 妨害やぬれぎぬにも負けず、1人で頑張っていたようですが、こうした警官が ロシアにもいるのですね。Serpicoは大分前にTIMEかNWで読んだ、同じような 境遇のアメリカ人の警官でしょうか。彼は結局生命への危害を恐れて、スイス に逃げたから命だけは助かった。しかし殺人を請け負ったり、犯罪組織に関係 を持つ警官が多いロシアで、珍しい存在だったのでしょう、彼の葬儀には多く の人が参列した。ただ犯人もその中に制服を着て参列していたかもしれない。

10. Cape Town cheers killer of child rapist
Hundreds of people expected to turn out to voice their support

自分の娘をレイプされた男が犯人を撃ち殺した。今南アフリカでは彼に同情の 声が集まっている。被害者は6才になる娘で、父親は罪を認めた犯人(多分娘の 友人の父親?少なくともその家族の者)を警察に引き渡した。その後、彼は犯人 が供述をしたかどうか聞きに行くわけですが、そのとき勤務中の友人の警官が、 「あいつを殺せば良かったのに」ということを言った。そして犯人が収容されて いる独房の鍵と銃を渡した。犯行時のことは良く覚えていないということのよ うですが、すさまじい犯罪率の南アフリカでも、この事件は人々の心に訴えか けたのでしょう。南アフリカでは3分に1回、子供がレイプされ、犯人に自分の 手で直接復讐する親たちが増えているようです。

11. Italians demand 'looted treasure' from Clinton ally
Legal proceedings considered against Jackie Onassis's companion

ジャッキー・オナシスの友人だったMaurice Templesmanが1980年に100万ドル で美術商から買った美術品を返還するように、イタリア政府から請求されてい るという話。シシリーの古代の発掘遺跡から盗まれたもののようです。

12. Inside Paris - Kirsty Lang
Soccer kitsch sends style down the pan; Socialists' soft spot for Blair; Some serious gnome truths ...

*パリ情報。かつてはサルトルやシモーヌ・ボボワールらの知識人たちが集った Left Bankに今ではブティックが出来ている。最近はWorld Cup目当ての土産物 やもできた。昔を懐かしむものには苦々しいことのようです。

*フランス警察はWorld Cup対策として麻薬常習者を見分ける簡易装置を導入する 予定。汗に含まれるカンナビスを探知できる装置のようです。

*庭のノームについての第1回国際会議が来月ブリタニーで開催されるとか。 ノーム解放戦線は、活動を止めたのかな。それともこの会議に集結するの かな。(^^;



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