サイバーテロリストの恐怖(5/17)


*US at mercy of cyber terrorists
by Matthew Campbell, Washington

Sunday Times 5/17の記事からです。将来テロリストといえば、現在のテロリ ストとは全く異なるかもしれない、爆弾を所持しなくとも、自分は爆死しなく ても、社会を大混乱に陥れることが可能になるかもしれないという、考えよう によってはかなり恐ろしい記事です。

クリントン大統領は今週の金曜日、サイバーテロリストに関する声明を出すよ うです。今までにはない見えざる敵が、アメリカ社会にこれまで考えられなか った混乱を引き起こす可能性があるからです。その対策を早急に打ち立てなけ ればならない。

現代はコンピューターがあらゆる所で使用されているから、いったんサイバー 空間で戦争状態になれば、空港・病院・交通信号・銀行さらには核兵器さえも が破壊され、大混乱になる。これは単なるSF的空想ではない。

心配するような事故は今月も起きている。ペンタゴンによれば、そのコンピュ ーターシステムに対して連続してシステム的侵入があったようです。ペンタゴ ンは事態を重視し、クリントンにイラクのフセインの仕業かもしれないという 報告をしたようです。フセインがハッカーを雇い、アメリカのコンピューター システムを機能させなくしようとしているということを軍事専門家も否定しき れないということでしょうか。そしてアメリカはテクノロジーで他国より優 れ、コンピューター依存度がより高いだけに、またもろさも同時にあるという ことです。

そうした事態に対処するためにもクリントンはterrorism tsarを任命するよう です。先日のTIMEのESSAYでもにたような表現を見ましたが、これはterrorism 対策の最高責任者ということなのですね。私はテロリズム実行犯のボスとか、 麻薬犯罪のボスとかいうイメージを持っていたが、これはどうも違うようで す。

とにかく高度に電脳化された社会がいかにもろいものか。専門家の説明を聞く と、何かあっけなく、我々の社会が砂上の楼閣のような気さえしてくる。

世界で最大の超大国が一握りのサイバーテロリスト(cyber attackers)の前に 無力である可能性が現在既にある。通常兵器や核兵器等で圧倒的優位に立つア メリカが、こうした新しいテロリストの前にはなすすべがない。5年以内に完 璧な対策を考えなくてはいけない。そうでなかったら軍事的にも、そしてます ますコンピューター社会になっているから、経済的にも取り返しがつかない損 害を被るかもしれない。

しかも未来のテロリストはノート型のパソコンを1台所有しているだけの、シ ナイ半島の砂漠に住んでいる、名前も分からない人物かもしれない。敵が誰で どこにいるか分からなければ、報復のしようもない。逆に言えば、これはわず かの資金を持っている人物・団体、そしてもちろん国家がアメリカに宣戦布告 無しに戦争をしかけているようなものだ、ということなのでしょうか。

ダビデが巨人ゴリアテを投石器 (ぱちんこ)で倒したようなことが、起こりう る。今までのハッカーは政府のコンピューターシステムに侵入して喜んでいる ような10代の少年だったが、しかし事態に変化が起きている。

映画のSneakerに似たような脅迫をMasters of Downloadingという組織から、 ペンタゴンは既に受け取っている。この組織は今までに何度もペンタゴンのコ ンピューターに侵入して、軍事通信をコントロールしているソフトウェアを盗 んだと主張しているようです。

同じような事態はペンタゴンで実施されているサイパー戦争のシミュレーショ ンでも確認されている。例えばDay Afterと呼ばれたシミュレーションでは、 テキサスのコミュニケーションのダウンから始まって、ワシントン・NY間の鉄 道システムのダウン、その結果の大衝突事故、さらにはロサンゼルスから全米 の空港の機能麻痺と続きます。これは単なる偶然ではないらしい。4つの東北 部の州の電源が、落ちたときそれが前アメリカにどうした波及を与えるか。デ ンバーやシカゴやスパイ衛星などに、いろいろな影響を与える。

こうした事態を現実に起こさないためにも、クリントンは全力をあげてその対 策に乗り出すようです。しかしいつかパール・ハーバーに匹敵するような大惨 事が起こる可能性はある。

こうした記事を読むと、何か将来の社会はもろい基盤の上に築かれるのです ね。ペンタゴンが名付けたシミュレーション作戦、the Day Afterは核戦争後 の世界を描いた映画だったと思います。私は、自分の周囲でサイバー空間が故 障しても大したことはないだろう、Tomorrow is Another Day.とのんきに構え ていますが、はたして世界全体はどんな方向に進むのでしょうか。



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