宇宙に神を求めて(12/14)


Pope builds telescope to find God
Vatican seeks "the fingerprints of God" amid the chaos of the cosmos

ローマ法王と、イエズス会が地球上でもっとも強力な天文台の1つを作るとい う話です。場所はアリゾナ州のMount Graham。他の惑星に生命がいるのかどう かを探る目的のようです。そのために少なくとも300万ポンドを赤外線望遠鏡 に、200万ポンドをoptical systemに投資するようです。oprical systemとい うのは、望遠鏡の生命であるレンズのことでしょうか。今最終段階のテストを しているということですから、完成間近なようです。

この天文台はバチカンの天文台に属する天文学者が使用することになるようで す。ローマにあり、19世紀に作られたこの天文台は、大気汚染などで現在はそ の役目を果たしていないようです。10人の科学者から構成されているようです が、天文台完成の暁には20人になるとか。

責任者のGeorge Coyne神父によれば、宗教的な傾向はあるにせよ、天文台の仕 事は純然たる科学的なものだということです。神のキリストにおける顕現はあ らゆる人間活動に適用されるから、その中には天文学も当然含まれる、という ことです。しかしもちろん問題点も考えられる。

コペルニクスやガリレオの地動説をバチカンが弾劾したのは、周知の事実。何 百年かぶりに、地動説の正しさを宣言したのは、多分最近のことだったと思う のですが・・・こうした失敗を防ぐ意味あいもあるようですが、いまどき天動 説を信じている人はいるのかなーとも思います。しかしアメリカあたりには、 いそうだな。 (^^; なにしろ聖書に書かれている内容をそのまま絶対的真 実と信じて、それと矛盾する事実はすべて間違いとする人々が今でもいるよう ですから。

しかしそうした歴史的背景は別として、やはり神学的に与える影響の方が大き い。宇宙に生命はいるのか。特に知的生命体は?もしも天文台の研究成果がそ のことを証明したら、はたして原罪の観念は宇宙人にも適用されるのか。ある いは宇宙人をカトリックに改宗させるにはどうすればいいのか。どうもそうし たことが既に議論されているらしい。もしも意思の交流が出来るならば、過去 に新大陸などが発見されたときにそうしたように、宣教師を派遣することも考 えているようです。 (^o^) さすがは2000年近くヨーロッパの宗教の中心に あり続けたカトリックという感じもしますが、一方ではやはりこの発想そのも のに違和感を感じてしまいます。確かにここまで徹底して対策を練っていなけ ればいけないのかもしれませんが・・・

さらに古くからの宗教と科学の問題もある。例えば最近の理論の1つに、宇宙 には始まりもなければ終わりもないというのがあるようですが、そうした場合 に神が宇宙を創ったという教義はどうなるのか。私はここまで聖書の文言を、 そのままに取ったことはない。一言一句を事実として受け取る人は案外多いの ですね。まあ科学と宗教の議論は、なかなか噛み合わないと思いますが。

教会側も最近は柔軟になっているから、speculative theologyというのがある ようです。これはよく理解できないのですが、新しく発見された現象・事実は 神の指紋であり、それが複雑であり、微妙であればあるほど神の万能さを証明 するものだと言うのです。だからバチカンの天文学者がどんな事実を発見しよ うとも、信仰をゆるがせにするどころか、より強固にするというわけです。こ れはなかなかいい考えだな。 (^^;

ただ問題は、天文学ではなく生物学でしょうか。特に遺伝子学が発達して、人 間の行動のすべてを解明できるとしたら、罪の観念はどうなるのか。もし罪の 観念がなければ、宇宙にどんなものが存在しようとも、キリスト教の観念その ものがバラバラになる。たしかにこれは宗教を含めたより広い社会問題でもあ ると思います。

先週の金曜日、ロンドンの王立天文学会(? Royal Astronomical Society) は、地球の近くの4つの星に、惑星が存在することを発表したようです。他の 星に惑星が存在するなら、地球と同じ条件の惑星も存在する確率は高いでしょ う。そうすると人間型知的生命もいるかもしれない。



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