Sunday Times 97-12-7読後感 その2


The Sunday Times 12/7 Worldの記事を続けます。

5. Tragedy of China's stolen children
中国では、幼児誘拐が産業として成り立っているらしい。働き手として、花嫁 として、あるいは家系を絶やさないという名目で、ギャングによって誘拐され た子供たちは高額で売れるらしい。

記事は2才の男の子が誘拐されたことを縦軸に、いろんな解説をしているので すが、これが現代的な繁盛しているビジネスということですから、驚きです。 誘拐された子供たちの両親は、イギリスで迷子のペットを探すように、ポスタ ーを貼るようです。またShenzehen Youthという地元紙は昨年、2カ月間で56件 もの行方不明の子供を捜す広告を載せたそうです。日常茶飯事という感じです ね。

しかも記事で紹介されている例では、新聞広告が出た日に電話がかかってき て、20000yuan(約1500ポンド)要求された。警察の手を借りて、2人組を逮捕す るのですが、翌日夫妻が警察に行ってみると、1人は釈放し、もう1人は逃げら れたということだった。このへんも警察の対応がどうも分からない。結局夫妻 は捕まった容疑者が、本当の犯人かどうかは今もって分からないとか。

誘拐されて、息子がいなくなった人に、息子を売りつけるためにさらに他の男 の子を誘拐する。さらに男女間の不均衡のため、息子のための将来の花嫁とし て女の子を誘拐する。こうした信じられないことが実際に起こっているようで す。

しかも当局の取り締まりも、緩やかなようです。すでに子供がいる家で女性が 妊娠していることが分かったら、厳しく罰せられる。ところが2才くらいの男 の子がその家に突然現れても、養子か親戚の子だろうというわけで、別に深く 追求されないとか。だから年収の10倍の3800ポンドの大金を払ってでも、そう して誘拐されてきた子供を買い取る家庭はいくらでもあるのでしょう。No birth: no penalty. 第二児・第三児でなければ、その素性は問わないというわ けでしょうか。

記事で紹介された夫妻の息子が帰ってくる望みは、かなり低いでしょう。しか し母親は一縷の望みにすがっているようです。

6. 2,000 miles of pipe may hide Libya arsenal
Washington believes Gadaffi's "eighth wonder of the world" conceals more sinister purpose

リビアが砂漠の下に建設している2000マイルに及ぶトンネルは、はたしてカダ フィGadaffiが言うように、現代の世界8番目の不思議なのか。それともアメリ カが主張するような、兵器貯蔵庫なのか。

Great Man-Made River Projectと名付けられたこの壮大なプロジェクトは、カ ダフィの主張によれば、農業用水を砂漠に運び緑野とかえようとするもので す。彼の天才ぶりを証明するものとして、250億ドルの金をつぎ込んでいる。 乾燥した土地を中東の穀倉地帯に変えようというわけですね。しかし例によっ て彼の言うことはなかなかまともに受け取ってもらえないようです。

去年アメリカの脅しによって中止に追い込まれた化学兵器工場を作っているの ではないか。少なくとも、大量の武器等の貯蔵庫ではないのか。このトンネル が、車が通れる広さということも疑惑を広げているようです。カダフィが熱心 にこの事業を推進しているのも、いろんなことで分かるのですが、疑惑は深ま るばかり。10年間の工事のあともなんら潅漑施設の役目を果たしていない、と いうこともあるのでしょうが。

全体の3分の1が地下に潜っているということも疑惑を呼び起こしている。地下 の利点はいろいろあるでしょう。なにより西側の監視の目をくらませることが 出来る。独裁政権の国家として、情報が漏れてこない点では、リビアは北朝鮮 と並びます。この工事に携わっている労働者は、北朝鮮の労働者と信じられて いるようです。

軍事的に見たら危険なように見えるこの世界最大規模の建設作業も、しかし、 軍事専門家から見たら歓迎すべきだということです。石油収入で得た富をこん な馬鹿げたことに使って、西側が憂慮する兵器等の購入が少なくなるから、と いうのがその理由です。リビアの経済力なら、もっと高度な軍事力を装備でき るはずで、そうなったら西側はさらに心配事が増えるわけですね。

この計画どこか抜けているところもあります。去年、トリポリで最初に水を運 んでくる式典があったようですが、栓がひねられたとたん街は水浸しになった とか。水圧の増加で、古い地下の水道管が壊れたようです。社会資本などが整 備されていない段階で、はたしてうまく行くのだろうか。どうも軍事用に転用 するとしても、非能率的きわまりないという感じはするのですが・・・

カダフィは自分が育った素朴な牧歌的生活にあこがれを抱いているようで、都 市に住むようになってから自分がダメになったと感じているようです。だから 自分の書いた本の中で、国民に再び彼を昔のように羊飼いの生活に戻してくれ るようにと、お願いしているようです。これは、世界の人が喜んで聞き入れる と思いますが、リビアの人は彼のこのささやかな願いを聞いてくれないのでし ょうか。 (^^;

7.  Zinzi Mandela flies into torture storm

NelsonとWinnieの娘、Zinziははたして無罪か。彼女もまた母親のWinnieと同 じように、犯罪に手を染めているのか。

彼女も、Winnieの下でその忠実な部下として、Sowetoの自宅でで行われた拷問 や殺人に荷担したのか。Winnieに対する真実和解委員会の聴聞の過程で、37才 のZinxiへの疑惑も浮かび上がってきた。

彼女が、殺人を含めいくつかの犯罪に関与しているという証言がWinnieの前ボディガー ドなどから出てきた。彼女が4才の時に、父親のネルソンは獄中に入り、27年間戻ってこ なかった。当然母親のWinnieは、彼女にとっては親であると同時に先生でもあったでし ょうから、何でも母親のまねをしていたのでしょう。

彼女の成人後の生活も安定しなかった。4人の子供を生んでいますが、それぞ れの父親は違う。父が大統領になってからは、Winnieの代役として華やかな生 活を送ってきていた。しかし彼女の子供の4人の父親は、既に2人が死亡。1人 は殺人罪で終身刑を受けて服役中。過去を清算したかに見えたZinziもここに 来て、その過去に悩まされている。

Winnieがどうなろうと全然心配もしていない大統領もZinziのことになると心 配なようです。闘争のために家族を犠牲にした彼にしてみれば、Zinziにはす まなく思っているのでしょう。今でもマンデラはZinziを甘やかしているよう です。



感想はこちらに・・・YHJ00031@niftyserve.or.jp
Internetの場合は・・・ohto@pluto.dti.ne.jp



ホームページに戻る 

The Sunday Timesのホームページに戻る