Sunday Times 12-07読後感 その1


The Sunday Times 12/7から、いくつかの記事を読んだので、感想を書いて みます。いずれもWORLDの欄からです。

1. Egyptian to make Diana affair film
Director says his script was inspired by a dream

Dianaの映画がエジプトで制作されるようです。この映画の監督は、Khairi Besharaという人で、ロンドン映画祭にも参加した人のようです。彼の夢の中 にダイアナが現れて、事故の真相を語ってくれたということで、ドラマと記録 を交えたものになるとか。 (^^;

エジプトでは、ダイアナはイスラム教徒と結婚する予定だったことで、大人 気。相手のDodi Fayedも英雄扱いです。彼らを扱った本も軒並み売れているよ うですが、当然その中身は彼らの死はイギリス王室とM16k謀略によって暗殺さ れたというもの。エジプト映画界では珍しく高額の100万ポンドの制作費とい うことです。2億円くらいになりますか。

Dianaのイメージを商業的に利用しようとするものはDianaのの財産とダイアナ 基金の管理人によって訴えられる可能性があるから、こうした映画は西側では まず制作も公開されないでしょう。しかしエジプトとイギリス・EUの間では商 標に関する取り決めはないようですから、問題なし。この映画がエジプトでヒ ットすることもまず間違いなし。

しかし予想通り、エジプト人はほとんどが彼女の死では謀略説を信じているら しい。彼女は、イギリスやヨーロッパで、差別されている自分たちイスラム教 徒の中に入って来ようとしたヒロインだったのですね。この映画は、アラビア の古典的物語のようだということです。つまり愛があり、ロマンスがあり、悲 劇がありそして陰謀がある、ということらしい。

2. Shopping spy pushed Israel to brink of war
Apparent meeting with important source was really a shopping spree

イスラエルのモサドは、このところ失敗続きですが、またもとんでもない事件 が明るみにでた。幹部の一人が、今まで情報収集などの対策として支払われて いた金額を、なんとショッピングに使っていたという記事です。そして自分で 考えた偽の情報を流していた。イスラエル首脳部もこれに踊らされていたとい うわけですから、タイトルのように、もしかしたら偽情報でイスラエルは戦争 を起こしていたかもしれない。考えられない事件です。

問題の人物はYahuda Gil。彼は長年月に数千ドルをシリアのアサド大統領の側 近のある将軍に支払っていることになっていた。ところがそうした事実はなか った。彼が自分で作り出した情報はイスラエルの対外政策に大きな影響を与え てきた。いわば最高の機密情報が、偽物だったわけです。彼はいかなるシリア の高官any senior Syrian sourceとも、長年接触はなかったと告白しているよ うです。

問題は彼がイスラエル指導部に流した偽情報の内容です。それによるとシリア はイスラエルとの戦争を絶えず準備しているということを伝えていたようで す。平和を願っているように見せかけていても、実は戦争のチャンスを狙って いる、こんな内容をずっと流し続けていたらしい。去年イスラエルが臨戦体制 に入ったのは、私も読んだことがありましたが、これもどうやらGilの偽情報 に踊らされていたらしい。誰も彼の情報の内容を疑わなかったみたいですね。 かれは、イスラエルの情報組織の中では伝説的存在だったということですか ら、その情報の信用度も高かったのでしょう。これでMossadに対する評価はが た落ちでしょうね。

しかも彼は極右のMoledetという政党のメンバー。当然、彼のレポートが中東 の平和交渉を妨げる目的で書かれていたことは、想像できます。ネタニヤフば かりでなく、ラビンも彼のレポートを受け取っている。どうやらイスラエルが 土地を返還すれば平和条約を締結するというアサドの約束を、ラビンが信じ切 れなかったのもこのレポートの影響もあるようです。ラビンはまだ理性があっ たから踏みとどまったが、もしこのままだったらネタニヤフは何をしでかした かわからない。

Gilの息子も軍人のようですが、父を刑務所に訪ねていったときの言葉。「あ なたはもう少しで戦争を起こすところだった。僕も、そして国民全部も死んで いたかもしれない」

しかしこの人、お金を何に使っていたのだろうか。

3. Mother Teresa's heirs accused of dumping sick
Critics says successor lacks leadership skills

Mother Teresa亡きあと、彼女の後継者とその組織に対する非難が高まってい る。非難というのはきついかもしれませんが、少なくとも組織が以前のようで ないことを、貧しい人々たちが感じ始めている。マザーテレサほどのカリスマ と知名度がなかったら、資金的にも人的にもある程度の困難は予想されたこと ですが、それにしてもこんなにも急激に変化が起きるのだろうか。

病人の前で、Home for the Destitute and Dyingの門は堅く閉じられ、開こう とはしない。タクシーの運転手が瀕死の病人を運んでも、受け入れてはくれ ず、かえって警察を呼ぶぞと脅かされる始末。瀕死の老女を車で運んできて、 道路上に投げ捨てていく。

地元紙もこうしたことを報道しているようですが、当然Missionaries of Charity側はこれを否定。しかし修道会のNo.3のSister Priscillaの言葉もど ことなく冷たく聞こえる。「ほとんどの乞食は、乞食でいっぱいの部屋にいる よりも、streetにいる方が心地よいのです」

世界に600ものホームを抱えるMissionaries of Charityが、組織運営が難しく なっているのかもしれません。しかし規律も緩んできているし、修道女たちの 分裂も起きているようです。マザーの死の時に祈りを導いたカトリックの司祭 も、こうした変化に気づいているようです。カリスマを失った組織は、情熱も 空回りしているのでしょうか。記事を読む限りでは、まず愛をさしのべられる べき貧乏人や孤児に対する関心がだんだん低くなっているような感じを受けま す。

4. Yeltsin rails at his ministers
Russian president summons entire government over worsening economic crisis

短い記事です。エリツィンもいらだっているのか、経済状態が悪いことの責任 を、大臣やら高級官僚のせいにしているようです。成果を上げられない大臣は 首だ、というわけですがどうもその危険がない大臣はほとんどいないらしい。 税金担当の大臣、Alexander Pochinokなどはそうそうにあきらめて、既にクレ ムリンの自分の机を片づけ始めているとか。税金の40%以上を、国庫に入れる ことが出来ないようでは、当然財政状況は苦しい。医者や教師の給料は払え ず、700以上の学校は教師が給料支払いのデモに出かけたので、9月1日の学年 最初の日には開けなかった。

48ドルの給料を4月以来貰っていない数学教師の例が紹介されていますが、こ れではデモにでも行かなければどうしようもない。借金で生活しているようで すが、これでは将来どうなるのだろうか。エリツィンは来年の1月1日までに は、すべての給料を支払うと約束しているようですが、ロシア国民でこの約束 を信じている人はほとんどいない。大臣が自分の身分の不安定さを感じるのも もっともなようです。



感想はこちらに・・・YHJ00031@niftyserve.or.jp
Internetの場合は・・・ohto@pluto.dti.ne.jp



ホームページに戻る 

The Sunday Timesのホームページに戻る