魔法による殺人(11/30)


インドでは、魔法使いが流行っているという記事です。困ったり、悩んだ人が 相談を持ち込むようで、どうも周辺はおどろおどろしい雰囲気ですね。日本に も生き霊とか死霊とか、丑の刻参りとか、わら人形とか、恐山のいたこのよ うなものがありますが、そんな雰囲気です。

自分の子供を欲しいために、魔法使いの助言に従って、近所の6才の娘を池で 溺れさせた32才の女性が逮捕されました。a life for a life,命を授かるため には、命を犠牲にしなくてはならぬ、そうしたことを魔法使いに言われて、彼 女は殺人を実行したのです。インドのビハール州では、悩み事を解決するため にoojahsという魔法使いに相談することが多いようです。その結果、ここ6年 間でoojahの助言に従って、114人の人々が殺されたそうです。呪術の力でのろ い殺すのかと思ったら、 (^^; なんと物理的な力で殺してしまうのですか ら、もちろんこれは単なる殺人です。

ついでに、oohahを辞書で調べたら、「なんとかいうもの、あれ」とか言う訳 が載っています。これがはたして、関係があるものかどうかは分かりません。

とにかくインドのこの迷信ぶりはひどいもので、魔法をかけたと言っては拷問 されることもあるようです。あるイスラム教徒の女性は、魔法の嫌疑をかけら れ、村中引きずり回され、人間の尿を飲むことを強制されたとか。もちろんこ うしたことは、昔は世界中であったことだとは思いますが、不思議なことにイ ンドでは過去よりも近年の方がこうした事件が目立っているようです。田舎だ けの現象ではなく、都会でも流行っており、さらにヒンズーの中心部に影響を 与えてきている。その結果、場所によってはヒンズー教の寺院の没落が起きて いるようです。

日本の藁人形とそっくりなものもあるようです。五寸釘というわけではないの ですが、小さな人形にお経を唱えて、悪霊をいれ、そしてその人形の足を折っ たり、胸を叩いたりすれば、呪っている相手にも同様なことが起きるのだと信 じているようです。死者の魂を呼び戻したり、未来が分かるというようなこと も行われている。

災害や病気が起こったら、その原因を自分たちにかけられた呪いのせいだと考 えるのは、あたりまえなのかどうか。実際、南ビハールだけでも7人の女性が そうした疑いで、今年になってから殺されている。過去には、そうした嫌疑が かけられたときには、社会からの追放だった。村八分みたいなものですね。と ころが、現在では死刑判決。もちろんこれは正規の判決ではなく、一部の人た ちが勝手にそう決めて、執行するわけです。

そしておそらく人々の恐怖心を利用している人物がその背後にいる。財産問題 というか、土地などの取得が絡んでくるようです。7人の子供の死に関連があ るとして、魔女狩りで両親と6人の兄弟姉妹を殺された20才の女性が証言して います。それによれば、最初に土地を奪うという計画があり、手はずを整えた あとoojahに彼女の家族が魔法使いだと言う相談を持ちかけて、その託宣を殺 人正当化の理由にするわけです。ずっと前に読んだ、妻の殉死の風習、satiで も、夫の親族が財産を横領すべく利用していました。ここでも多分、計画者は 魔法のあまりにも実務的な効力を知り尽くしている。

人々の無知がこうした現象を生み出しているようですが、いつの時代でも苦し むのは貧しい寡婦であり、無力な人々であることに変わりはありません。



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