Au pair裁判総括 その3(ST)


au pair裁判をThe Sunday Timesはどう取り扱ったか。少し前の11/16付けの記 事ですが、感想を書いてみます。

* Prosecutors ready to let Louise go home by Tony Allen-Mills

この事件を検察官の側から見たらどううつるのか。今後の方針としてはもしも彼 女が将来の裁判の審理に差し支えないならば、Louiseはイギリスに帰ってもよ いという立場です。必要に応じて、Loiseが裁判に出席することを弁護側が保 証してくれれば、それに異論は唱えないと云うことですね。Zobel判事はマサ チューセッツに残ることを条件としているようですが、どうなるのでしょう か。

それはともかくこの事件を担当した1人、Martha Coakley副検事にはどのよう にうつるのか。名うての刑事弁護士、Barry Scheckとわたり合った彼女は最初 の勝利をZobel判事によって覆される。やはりこれは個人的にも専門家として もショックだったようです。確かに陪審の評決を覆すことは、可能性としては あると私も読みましたが、かなり珍しいことのようですから。Zobel判事自身 は、過去にもそうしたことをしていたようですし、可能性としては残されてい るということでしたが、案外あっけなく決まりましたからね。

Coakley副検事には、事件そのものには児童虐待の専門家として、なんら疑問 は感じなかった。Louiseの犯行は明らかだった。ただ意外だったのが、国際的 反響の大きさだったようです。これについてはある黒人コラムニストも次のよ うに書いているようです。「もしもLouiseが、白人の子供を殺したとして告発 されている黒人女性だったら、大衆はLoiseを裁判所からそのまま電気いすに 直行させよ、と要求しただろう」

焦点は法律と科学の問題でした。はたしてMattewが数週間前に、致命的な脳 損傷をおこしていたのかどうか。やはりSunday Timesも弁護側の主張は、たわ ごとだとする専門家の意見を載せています。ここでは50人のchild specialist が、被告・弁護側の主張を批判したと載っていますが、おそらくこれはUS Newsでも読んだ49人の児童虐待の専門家のことだろうと思います。これに対し てはLouiseの弁護士の1人は、彼らをchild abuse cultと呼んで、科学ではな くイデオロギーに支配されていると批判したようですが・・・

何故疑いのないものに見えるこの犯罪をイギリス人が騒ぐのか、Coakleyには 理解できない。その原因を彼女はまず犯罪一般に対しては次のように説明して います。

By and large, people expect criminals to look like criminals, and lots of times they do. People who are crack addicts and bank robbers look like people who would do those things.

まあ、これはもちろんあとが続くのですが、かなりの偏見が入っているような 気もします。悪人らしい人は悪人である。善人のように見える人は、犯罪をお こさない。確かにTVドラマの世界では通じるかもしれませんが、実生活でもこ うしたことが決定的に言えるのでしょうか。検察官の発言だけにちょっと驚き でした。

まあ、しかし次が彼女の云いたいことです。
"But child abuse and domestic violence are very different. People who look like you and me and the mailman, the priest and the baby- sitter hurt and kill kids. It makes your world pretty unsafe, doesn't it, when you can't figure out where evil lurks?"

児童虐待とか、家庭内暴力をおこす人は普通の人だ。そのことが人々を不安に させる。どこに悪が潜んでいるか分からないとき、人々は不安を感じるものら しい。私は家庭内の犯罪に限らず、犯罪は社会的地位や貧富に関わらず、もち ろん美男美女であろうとそうでなかろうと、起こるものだと云うことは当たり 前と思っていたのですが、どうもこれを読むと自信が持てなくなった。(^o^) 大体私は「・・・を愛している人だから、そんなことをするはずがない」と いう式の発想は苦手なのですが、こうしたことも案外社会的評判の上では大き いのかもしれませんね。少し驚きでした。

しかしとにかくLouiseの外観には、この女性検事はだまされなかったというこ とでしょうか。Louiseは10年単位の判決を受けるべきだし、きちんと服役しな ければいけない。この点に関しては、自信があるようです。

彼女の唯一の心配は別のところにある。それは25年間もイギリスに住んでいる 姉のもとを休暇中に訪ねるのが、今までの楽しみだったのが、この事件に関与 していることで、これからも快適なイギリス旅行が出来るかということのよう です。

しかし何故イギリスは、普通の殺人事件に対してサウジでも、アメリカでもヒ ステリックな叫びをあげるのでしょうか。確かに血の気が高まっているとしか 云いようがない。まあさすがにSunday Timesは冷静でしたが。(^o^)



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