The Sunday Times 11/9から、南アについての記事です。今週はEconomistに続 いて、3つめの南ア関係の記事ということになります。
* South African blacks fight to break Boer strongholds
前に書いたEconomistの感想と重複することがかなりあります。特に副大統領 のMbekiの発言・政策はほとんどつけ加えなくてもいいようです。ただこの記事全体を読んで思ったことは、ムベキの言葉、「アパルトヘイトの 過去を現在がまだ引きずっている」ということの意味を私は、より象徴的な意 味にとっていました。政権の中心は黒人の手にわたったが、過去は簡単には覆 されない。白人達は、まだまだ大きな力を持っている。しかしこのSunday Timesの記事は、過去の状況は何一つ変わっていない、という気持ちを一瞬起 こさせました。もちろんそんなはずはないのでしょうが、ここで紹介されてい るいくつかの例では、とても黒人達が主役にはなったということは言えない。
信じられなかった事例をあげると、
*57才の肉屋、PETRUS MAMADIは牛を盗んだかどで、その持ち主及び2人の警官
を含む、いずれも白人からなる集団から数時間にわたって暴行を受けた。彼は
口に銃を入れられたり、近くで発砲されたり、意識を失うまで暴行を受け、地
元のホテルの外に捨てられた。腎臓に損傷を受け、ろっ骨は折られ、脳挫傷を
負ったというのですから、重症です。この損害賠償を、裁判所に訴えたのです
が、これは南アの黒人としては画期的な勇気ある行動らしい。私は、よくぞ暴
動が起きなかったものだと思いますが、どうもそんな雰囲気ではないらしい。
牛泥棒の疑いがはれたあとに、訴訟を起こしたわけですが、友達や家族は報復
を恐れて、反対したということです。さらには、警察も最初は調べようともし
なかったとか。この裁判を引き受けている弁護士の事務所から、重要書類とか
X線の写真だけが盗まれた。
*黒人労働者が野外のトイレに入っていたとき、その白人の雇い主は、黒人が ズボンを下げたまま飛び出すかを試すために、黒人の方に向けて発砲した。警 察官は、単なる冗談として処理。
警察官はまだ白人が主流のようです。だから、こうした白人の黒人に対する暴 行事件を捜査するのにはあまり乗り気でないとか。
しかし白人達が語る言葉は、ほとんど変わっていないようです。
*白人のジョーク。「何故黒人は匂うのか。目が見えないものでも、黒人を蹴 ることが出来るためさ」
*「俺と黒人は人種が違う。すべての人間は人種主義者だ。もし祖国を愛する ならば、人は人種主義者にならなくてはいけない」
*「同じバーで黒人と酒を飲むのはかまわない。奴等がおとなしくしていれば ね。しかし、奴等が節度をわきまえていないなら、銃をぶっ放してやる」
ある黒人はいう。「白人はまだ自分たちが神様だと思っている。私が最近白人 居住区に引っ越したら、何人かが引っ越してしまった。彼らは私たちが彼らの 子供たちに魔法でもかけると思ったのだろうよ」
たしかに、これでは5年たっても現状が変わらなかったら、黒人の不満は爆発 するかもしれない。Economistで読んだ南アとのあまりもの落差。おそらく は、事実はこの中間のどこかにあるはずだが、やはり人はそんなに変わらない のでしょうか。