悲惨なアフリカの少年兵士たち(11/2)


Sunday Times 11/2のアフリカの記事です。

先週のSunday Timesも、Ugandaの少年兵士たちの状況を、かなり長文の記事で レポートしていました。誘拐されて、殺人マシーンに仕上げられていく少年た ち。加害者であると同時に、被害者でもある彼ら。読み終わっても、感想を書 く気にはなりませんでした。今回は、Rwandaからです。どうしようかと思いま したが、簡単に書いておきます。

* Rwandan children on trial for murder by Jon Swain Kigali

3年前、ルワンダで起きたgenocide。多数派のHutu族による、少数派のTusci族 とHutu穏健派の大量殺戮が、始まりでした。あのとき、Tusci皆殺しの指令を 実行したものの中には、当然少年少女もいた。 Kadhafi Munyeshemaも、その1 人。彼は首都Kigaliの郊外で、Tsusi族の家族6人を殺害したことで、今裁判を 受けようとしている。

1994年フツ族出身の大統領が、原因不明の飛行機事故で、死亡。当時から、こ の事故自体が仕組まれていたものではないかという噂がありました。まだ真相 は不明なのでしょうか。とにかくこれをきっかけにフツの過激派がラジオなど で、ツチを殺すように呼びかけたと思いますが、4月から6月までの100日間 で、50万人以上も殺された。これにKadhafiも呼応したというか、参加した。

彼は無実を主張しています。序列の厳しい社会で、年上の少年から命令されれ ば従わざるを得なかったということです。「私は個人的には誰も殺していな い」というのが、彼の主張です。虐殺チームの一員であり、ツチ族の人々を殺 したことは、認めています。このときに瀕死の重傷を負い、今でも後遺症に苦 しむ14才の娘が、彼を覚えていて、裁判では証言台にたつようです。

Kadhafi は、当時15才だったから、死刑にはならず、最高で11年の刑になるよ うです。しかしルワンダが、過去と向き合ってくるにつれて、彼のような人種 間の暴力の犠牲者になった最大の犠牲者が子供たちだったということが、明ら かになってきている。3人に1人の子供は、他の子供たちが殺人などをおかすの を見ている。彼らの多くが両親や教師や近所の人たちにそうするように命ぜら れたから、実行したもの。いわば殺すか、殺されるかの選択しかなかった。

Sunday Timesは、子供たちが人類に対する犯罪で裁かれることは今までなかっ た、と書いていますが、最近では似たような事件はあちこちで起きている感じ ですね。ルワンダの場合、虐殺の疑いで現在収容されている12万人の内、2150 人が当時14才から18才の少年。85人が少女で、そのうち5人は当時14歳以下。 これを見る限り、ルワンダの子供たちが、人口比率から見れば特例とはいえな いかなという気もしますが、もともとこの虐殺そのものが信じられないもので すから・・・

収容所の状況もかなり悪いのですが、少年たちを釈放することには彼らの安全 面からも一部問題がある。殺された遺族の中には、少年だったからといって許 すことは出来ない、死刑が相当だとして、報復の機会を狙っているものもいる からです。

Kadhafi は今でも自分がしたことは正しいと信じているようです。親戚の誰1 人、彼を訪ねてくるものはいないし、殺人者という汚名は生涯つきまとう。

司法制度も、他の制度と同じようにめちゃくちゃなようですし、裁判は遅れて います。少年たちに罪はあるのか、という議論もツチ族の役人たちにはほとん ど関心を呼び起こさない。彼らのほとんどが家族の誰かを殺されている。フツ 族が多数派であることに変わりはないから、現在のルワンダの状況はまだ安定 しているとはいえない。裁判を迅速に、という同意は出来たようですが、今年 に5件、来年に20件という状態では、100年かかっても終わらない。

ルワンダの失われた子供たち。彼らを再教育すべきか、あるいは収容し続ける べきか、これほどの規模ではルワンダ以外どの国も、まだ経験したことはな い。記事はこんなに結んでいます。

イギリスはやはりアフリカに関心が強いのですね。しかしアジアでも、過去に これに相当する悲劇は起こっていると思うのですが・・・どちらにせよ、経済 発展・民主化という新しいアフリカのイメージを描き始めていたら、アフリカ も相当広いようです。当たり前ですが、いろんな事件が起こっているし、なか なか分かりにくい。まだまだ、アフリカは遠い。



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