I. バーグマンの恋(10/26)


The Sunday Times 10/26 Britainの記事です。

*Hitchcock film opens window on star's love by Rajeev Syal

ヒッチコック監督の「裏窓」は、片足を負傷しているJames Stewart 演じる戦 争写真家と、Grace Kelly演じる恋人が向かい側の建物で起こっているらしい 殺人事件についていろいろ推理する映画です。

しかしこの作品には実在のモデルがいた。なんとIngrid BergmanとRobert Capaというのです。来月出版されるBergmanの伝記で、彼女の友人だった Hitchcockが,バーグマの実話をもとにあの名作を作ったということが語られる ようです。バーグマンもヒッチコックも共に故人。2人の共通の友人Donald Spotoが、その真相を明らかにした。

Capaは有名な写真家ですが、私はスペイン内乱の時の兵士の最後の瞬間をとら えた写真くらいしか知りません。一方バーグマンやヒッチコックの作品はかな り見ているので、かなり興味がありました。記事によると映画はかなり忠実に バーグマンとキャパの関係を再現しているということになります。

彼らが最初に会ったのは、1945年のParisのRitz。これはカサブランカでも出 てきました。手元にあるバーグマンの自伝、Ingrid Bergman My Story ( Delacorte Press)によると、1945年6月6日ねRitzに滞在していたBergmanの部 屋にノートが入れられていた。Bob CapaとIrwin Shawからの夕食への誘いだっ た。(p.149-150) 自伝にも何回かCapaの名前は出てきます。Bergman 30才。 Capa 32才。Capaは、なかなか魅力的で女性に人気があったようです。彼はナ チスから解放されたヨーロッパの記録を取るためにパリにいた。一方のバーグ マンは連合軍の兵士を慰問するための旅の途中だったようです。

記事ではお互いに、その名前は知っていたと書かれていますが、自伝の方では BergmanはIrvin ShawもBob Capaもそれまでに聞いたことがなかったと書いて あります。このへんは自伝の方が、その気持ちを抑えて書いているのかもしれ ません。ところでここで出てくるIrwin Shawというのは、あの作家のIrwin Shawのことでしょうか。自伝にはG.I.とあるだけで、あとはこの人の名前は出 てこない。記事の方には全然出ていない。どちらでもいいことですが、少し気 になりました。

Bergmanは18才でスウェーデンの歯医者と結婚していたが、ほとんど終わって いた。新しい恋を求めていたと、あとで告白しているようです。

その最初の出会いの夜に彼らの恋は始まり、戦争終結後(ということはヨーロ ッパでは既に終わっていますから、日本が敗戦を迎える8月以降ということで しょうか)に、終わった。Spotoはそう信じているようです。しかしBergmanの 心には、Capaの想いではいつも楽しいものだったらしく、あとになってもいろ いろな話をしていたようです。1954年に彼がインドシナで地雷によって死んだ ことを聞いたときは悲しみとショックの手紙を何人かの友達に書き送っている ようです。

バーグマンはキャパに戦争写真家であることを止めて、映画会社で働くように 言う。しかし彼も映画のStewart演じる人物と同じように、聞き入れなかっ た。映画とは違って、現実の方がよりロマンチックであり、悲劇的であったと いう表現も、記事にはあります。

ヒッチコックの題材も、周りの人からヒントを得ることが多かったのです ね。「裏窓」では、バーグマンの話をもとに男女間の緊張関係を、正確に映像 化したということでしょうか。



感想はこちらに・・・YHJ00031@niftyserve.or.jp
Internetの場合は・・・ohto@pluto.dti.ne.jp



ホームページに戻る 

The Sunday Timesのホームページに戻る