人生と暴力の出会い(10/19)


The Sunday Times 10/19の記事からです。

* Massacre of the innocents
Bob Stewart, former Bosnia commander, recalls the night a terrorist bomb left him weeping for his dead soldiers - an a shocking childhood incident

Bob Stewartはイギリスのボスニア派遣軍の司令官だったようですね。その彼 が、過去に出会った暴力事件の思い出を語っています。ボスニアでの事件では なく、少年の日、アラビアでの処刑の現場を目撃したことと、1982年の北アイ ルランドのテロ事件についてです。この記事は、作者の体験を語っているせい もありますが、会話が多く挟み込まれており、途中からは小説を読んでいるよ うな感じでした。Irelandのセクションに載っていた記事です。

Ballykellyは北アイルランドのLondonderryから15マイルのところにある美し い場所。古い使われていない飛行場がある。ここが筆者が新任の少佐兼 Cheshires' A Companyの指揮官として、そのときまで2年間過ごしていた場 所。Cheshires' A というのは、部隊の名前だと思います。Aliceに出てくる Cheshire catをつい連想しますが、このへんは部隊ごと移動するのか、それと もここに駐屯するのをこういうのかはよく分かりません。

あの日、1982年12月6日、筆者はその日に伍長勤務上等兵に昇進したばかり の、Clinton Collinsと夜の8時30分頃まで、スカッシュをやってから、 Collinsを家まで来るまで送った。彼は新婚で、妻の名はTinaと言った。

Ballykellyにいる兵隊たちは、よく村のDroppin' Wellというディスコに通っ ていた。当然CollinsとTinaはその晩は昇進を祝って、そこに行く予定だっ た。そこは安全なところで、それまでテロリストの攻撃を受けたことはなかっ た。

2時間半後大きな爆発音が聞こえた。Dropping' Wellでテロリストの仕掛けた 爆弾が爆発したのだ。現場に駆けつけた筆者が目にしたものは、手足などの一 部が吹き飛ばされたりした女性などの、すさまじい惨状だった。死にゆく女性 との最後の会話も書かれています。

現場に集まった人々に、爆発現場に入って救助活動をするよう要請をするが、 誰も進んでしようとはしない。これはテロリストは、しばらくの時間をおい て、救援に駆けつけたものを狙った爆弾を仕掛けることがあるから当然です。 集まった人々の中には、軍人もいたようですが、彼らも自ら爆発現場には進ん で入ろうとしない。軍の業務命令と筆者が言ったあと、10人くらいのChesires が前に出て活動に参加する。筆者が長を務めるChesiresは、Ballykellyの中の 主要部隊だったようです。

結局Collinsを含め8人のCheshires, 歩兵Light Infantry1人, 配膳部隊(? Amy Catering Corps)の2人のコック、そして筆者の腕の中で息を引き取った少女 を含め、6人の民間人が犠牲になったようです。17人死亡ですから、これはか なり当時としては大きなテロ事件だったはずです。そして1986年に、このテロ 事件の犯人として5人が裁判にかけられ、終身刑の判決を受けた。犯人の一人 は、自分の行動を反省していると語ったが、筆者は今でも彼らを許すことは出 来ない。

少年の日の思い出として、残っているのがイエメンのAdenでの体験。筆者の父 親が英国空軍RAFの士官でアラビアにいた時の思い出です。ある日父親が彼 を、いくつかの村を訪問するのに一緒につれていった。アラビアでは長男を連 れていくことは、相手に対する最大の敬意を表すことになるようです。

最初の村では大歓迎されたが、2度目の村の様子は少しおかしかった。彼らの 到着に併せて、処刑が執行されることになっていたのですね。もちろん父親は 少年には何も話していなかTた。剣による、首切りですか。執行の瞬間は、ア ラブ人の士官が少年を突然抱き抱え、後ろ向きにしたので、見ていない。一瞬 後、地面が地の海になっていたこと、さらに多くの血が可哀想な男のtorsoか らあふれでていたこと、さらに首が近くに転がっていたこと、などを覚えてい るようです。

少年と父親は、帰り道このことを、母親に話さないことを約束し、また彼らの 間でも2度と話題になることはなかったそうです。



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