少女麻薬運び人と刑罰(10/19)


The Sunday Times 10/19 Worldからの記事です。

* Children face Saudi sword by Marie Colvin

8才と13才の少女たちが、麻薬密輸入の嫌疑で処刑されるかもしれないという 記事です。サウジアラビアのKing Abdel Aziz空港に、パキスタンから大人12 人子供9人の合計21人が到着した。全員家族親族で、イスラム教徒にとっての 生涯の目標,メッカへの巡礼のために到着したわけです。ところがどうも様子 がおかしい。調べてみると、全員がヘロインを体内に入れて、密輸しているこ とが分かった。合計で10ポンドですから、4.5kg位になります。

サウジはこうした麻薬密輸犯には厳しいようですから、その中に含まれていた 2人の少女も剣による処刑の可能性がある。国際アムネスティあたりから抗議 の声が上がっています。最年少は71.5gを体内に入れていた5才の少女ですが、 さすがに5才の少女までは処刑はしないらしい。

彼らが食べ物も飲み物もとらないで、非常に疲れていたようだったから、不審 に思われて発覚したわけですが、何か食べたり飲んだりしたら体内のヘロイン を包んでいる袋が破裂して、ほとんど即死だそうです。前に読んだコロンビア の記事では、コンドームに入れていたようですが、彼らの場合は書かれていま せん。8才の少女が208.4g, 13才が152.7g、もちろん大人の場合は量はもっと 多く、一番多い量を体内に入れていた20才の妊婦は、376.6gです。

最初はサウジ政府も2人の少女の場合は国外追放ですませる方針だったのが、 変更して宗教裁判所にかけるようです。私は宗教裁判所も少し勘違いしてい た。「日本人とユダヤ人」でだか、中東諸国には宗教が違えば裁判所も違う、 ということはを聞いていた。しかしこれは一種の家庭裁判所みたいなものと書 いていましたた。刑事裁判も宗教裁判所というところでするものとは思ってい なかった。どちらにせよ、少女たちは特別扱いはされず、他の家族たちと同じ 裁きを受けることになった。

サウジの外交官によれば、8才の少女の場合は、判事が自分の行為の意味する ところを十分に認識していなかったと判断すれば、処刑を免れるかもしれな い。しかし13才の少女にはこれは適用されない。それがshariaの規定だそうで す。しかしこのshariaの解釈には異論もあるようです。

イギリス人看護婦の裁判ともからんで、サウジの裁判制度への不信が欧米諸国 にはあるのでしょうか。アムネスティは男性の家族の命には逆らえなかった女 性たちについても、減刑を求めているようです。しかし裁判そのものが秘密裁 判ですし、弁護人もつかない。こうした中での判決は、やはり私たちの常識か らも外れている。サウジのイスラム解釈は厳格というか、解釈がかなり本来の ものとは違うという指摘もあります。

パキスタン政府はほとんど自国民保護のための努力はしていないようです。多 くのパキスタン人がサウジに出稼ぎに行っており、彼らの送金が大事だからと いうことです。

サウジの中でもヘロイン需要はかなり高いのでしょうね。しかしこの場合家族 全員、というところがすごい。5才の子供にまで、71.5gの異物を飲み込ませて いる。無茶苦茶です。



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