Sunday Times 10-12


The Sunday Times 10-12のWORLDからです。大分遅くなりましたが、なかなか 書く時間がありませんでした。いちおうその中から、面白かったものを選んで 簡単に書いておきます。

1. Cook stirs up trouble for Queen in India

エリザベス女王の亜大陸訪問もそろそろ終わりかと思いますが、この記事は女 王に同行していた外相のRobin Cookの発言がインド側の反発を買っているとい う内容です。彼はパキスタン首相Nawaz Sharifとの秘密会談で、印パ両国の関 係改善を妨げているカシミールに関して、イギリスが役に立つかもしれないと 言ったわけですね。これがインド人には、パキスタンよりの発言と写った。

2国間に横たわる微妙な問題を、たとえ旧宗主国とはいえ、あるいはそれだか ら、勝手に干渉されたら困る。国賓でイギリスを訪れたインド大統領が、北ア イルランド問題の解決云々をいったらイギリス人は反発しないか、というわけ です。なによりインド人にとって、カシミール問題は決着済みという前提があ るのでしょう。それについていろいろ言われることは、カシミール問題の国際 的調停を訴えるパキスタンの主張となんら変わらない。

宗教問題と過去にイギリスが起こした犯罪といろんなことはあるにせよ、女王 のインド訪問は歓迎するというのが大勢のようです。しかし女王としては、政 治的・宗教的な微妙さの地雷地帯を注意深く進む必要がある、とのことです。 Diana問題といい、気の休まることはなさそうです。

2 Saddam thwarts army assassins

サダム・フセインは悪運強いというか、数々の暗殺計画にも生き残っているよ うですね。これは去年12月の用意周到な暗殺計画が何故失敗したか、そのレポ ートです。ようやく家族の元に処刑された軍人たちの遺体が戻されたようで す。サダムのかつての側近が語っています。この人Wafiq al-Samarraiはどう やら、国外の反サダムのリーダーのようです。

バース党内部の軍人や官僚が計画した、この計画は最後の最後で崩れた。北イ ラクの故郷の町を訪問してくつろいでいたサダムを襲撃する手はずだったの が、共謀者の1人の車のタイヤがパンクしたばかりに失敗してしまった。イラ クではタイヤも不足しているから、パンクでの替えはなく、飛んでくるのは秘 密警察。そこでこれは普通のことのようですが車中調べられ、中から仲間の名 前とコード名を書いたノートが出てきた。不審に思われて連行された結果、隠 しきれず自白したと言うわけです。

24時間以内に仲間の内13人は逮捕され、2人が国外に逃れて、この情報を元側 近に知らせたというわけです。彼はずっと沈黙を守っていた。ようやく彼の仲 間の死体が、9カ月たった今月はじめに家族の住む玄関に投げ捨てられたあとに なってこうした計画を明らかにした。いつ処刑されたのかは、記事からはわかり ません。家族は喪に服することも禁じられたようです。

それにしてもサダムは用意周到というか、比較的くつろぐことの出来る故郷に 帰ったときでも、行く先々の場所はあかさないのはもちろん、その町の電話全 部を切ってしまうのですね。

殺された人はバース党の中枢に近い人たちですから、当然サダムに近い人も多 い。サダムがかつて弾丸を撃ち込まれたとき、助けた人物もいたようです。反 対派の情報によれば、何万人もの国民が処刑され、サダムへの憎しみは高まっ ている。しかしそうした反対派への国際的支持はあまり強いとは言えない。空 母Nimitzが派遣されて、緊張が少しは高まっているようですが、やはり内部か らしかサダムを崩すことは出来ないようです。

3. Hurricane hits Mexico's poor

メキシコの太平洋岸をおそったHurricane Paulineで、リゾート地Acapulco が、泥まみれ、がれきの山に覆われているということです。400人以上が死 亡、20000人が家を失ったようですが、まだ行方不明者も多い。Acapulcoの町 の大半がまだ数フィートの泥に埋もれている。Ernesto Zedillo大統領はドイツ 訪問を短縮し、6000人の軍人を投入して救助活動に当たらせているようです が、不満は高まっているようで、政治危機に発展する可能性もある。

この災害の被害者は貧しい人たち。外国人観光客や金持ちは、豪華な高層ホテ ルやアパートにいて、あまり被害を受けていない。急速に発展しているという イメージの強いメキシコですが、貧富の差はかなり激しいようです。

4.  Cut in working week splits France

フランスの労働時間短縮をめぐる話題。総選挙で労働時間短縮を公約して圧勝 したJospinのフランスが、失業率を低くするために現在の週39時間から、35時 間にするようです。失業率が概して高いヨーロッパですが、それに対して労働 時間短縮は効き目があるのか。この考え方の基礎にあるものは、仕事は公共財 であり、労働者の間により公平に共有されるべきだという考えのようです。も ちろん望ましいのは賃金カットなしに、ですね。

経済学者のあるものは一種のショック療法として最初は効果があるかもしれな いが、長期的には逆効果になる、と言っています。国際競争の厳しい企業にと っては利益率低下==>投資減少==>低成長==>雇用減少、というわけです。さら に小さな企業にとってはこれは死活問題になるかも。

労働団体の満足ぶりとは逆に、経営者側は当然猛反発。これは合理的決定では なく、イデオロギー的だとか、戦闘には敗れたが戦いはこれからだとか、まだ まだ論争は続きそうです。

しかし国外にはあまり賛同者はいないようです。EU会議で、35時間労働を支持 するように主張したフランスの雇用大臣を迎えたのは冷たい沈黙だったとか。 イギリス人は週43.9時間も働いているのに、失業率は一番低い。ドイツではコ ール首相が「同一賃金でもっと働け」と檄を飛ばしたとか。ラインを超えたら 労働観念もがらりと変わるようです。

あと1つ2つ書きたいのがありますが、ここまでにしておきます。



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