Snow Falling On Cedars by David Guterson (C. Nakagawa)


Snow Falling On Cedars by David Guterson
Published by Bloomsbury;404 pages

12月はじめ大雪が降る日、Washington州San Piedro Islandの唯一の港町Amity Harbor で,被告人Kabuo MiyamotoのCarl Heine殺人容疑に対する裁判が開かれていた。

Kabuoは一人乗りの船で刺し網を使って鮭を捕る漁師で、同業のCarlが9月16日の朝、 頭部の左側に陥没するほどの傷を受けて、自分の刺し網に引っかかって死んでいるのが発 見された。二人が出航した15日夜は霧が深く、貨物船の航路に入らないように十分な注 意が必要だった。Carlの船からKabuoのバッテリーとロープが発見されたことから、Kabuo は殺人容疑で逮捕された。

裁判では、Kabuoは剣道の心得があること、買い戻そうとした農地を先にCarlが契約を結 んでいたこと、Kabuoの船から凶器と見られる血痕のついた鉄条の魚かぎが発見されたこ となどKabuoに不利に進んだが、Kabuoの弁護士は被告人の無実の証拠を積み重ねる努力 をしていた。

裁判の取材にきていたIshmael Chambersは、幼馴染のKabuoの妻のHatsueに再会した。 ヒマラヤ杉の森や海岸で毎日のようにいっしょに遊んだHatsueを深く愛し、将来は結婚し たいと考えていたIshmaelは、太平洋戦争で左腕を失い帰国すると、Hatsueは強制収容所 で知り合ったKabuoと結婚していることを知り毎日をうつうつと過ごしていた。Ishmael はHatsueからこの裁判は間違っている、日本人を差別し、すべてが不公平に行われている と訴えられるが、入手したCarlの死亡時刻に関連のある証拠(沿岸警備隊の貨物船の航行 記録)を提出するかどうか迷っていた。判決の出る日Ishmaelは母に、いつでもフェアー でありなさいと諭され、Hatsueと裁判長に会う決心をした。そのほかにもCarlの船から 決定的な証拠が見つかった。

息詰まる裁判の行方に加えて、入植した日本人の苦労、IshmaelとHatsueの初恋、裁判が 開かれた3日間の大雪の様子、太平洋戦争にアメリカ人として出兵した日本人、戦地での Ishmaelの日本人との壮絶な戦い、人々の関心を呼んだ28年間の歴史ではじめて行われ た島での殺人裁判などさまざまな内容の大変面白い本でした。Hatsueの母が娘にIshmael とに結婚をあきらめるように、日本女性の心構えを説くところが印象に残りました。



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