Black and Blue by Anna Quindlen (C. Nakagawa)


Black and Blue by Anna Quindlen
Published by Dell publishing, 369 pages

ニューヨーク市警の刑事Robert Anthony Benedetto(通称Bobby)の 妻Frances Ann Flynn Benedetto(通称Fran) は、いつものように殴られ、鼻が曲がり目の周りが青く腫れあがり唇が切れ た日に、10才の息子Robertを連れて 夫から逃げ出す決心をする。

Franが救急治療室で看護婦をしていた時に出会 った、ボランティアで夫の暴力から妻 を守る仕事をしているPatty Bancroftの計らいでフロリダのLake Plataの小 さなアパートに落ち着く。名前は Elizabeth Crenshawと名前を変え、息子はRobert Crenshawと変え運転免許 証、社会保障カード、当面の生活費 が用意されていた。10年以上もの間、夫の暴力におびえて暮らしていて、 骨と皮ばかりになっていたFranは髪型 を変え過去を隠して生活を始めた。年齢より大人びて、無口なRobertは、 時々母親に父のところへは戻らないのか とたずねるが、帰るつもりは決してないと聞かされて、ますます口数が少な くなる。

何か心に問題を抱えているよ うに見えるRobertを心配した担任のMike Riordanにサッカーチームに入るよ うに薦められる。こうしてFranと Mikeのつきあいが始まる。

深い水のなかに石が落ちて行くように、この町に吸収されているように感じ て生活するようになった頃、Robertの 友達を連れてMikeとLakotaのカーニバルを見に出かける。大観覧車に乗って いた子供が脳震盪を起こして宙づり になって、2人の子供が地面に落ちてけがをした。Franは夢中でその応急処 置をした。その夜のテレビのトップニ ュースになり、Franが大写しになった。Patty Bancroftからテレビに写った り新聞に写真が載ったのは大変まずい ことなので、すぐに他の場所に移るように言われる。Franはここでの生活が 気に入っていてRobertも落ち着いて いるので引っ越さなかった。

ある夜中にRobertは電話でニューヨークの父と話をしていた。Robertは電話 のあと、父についてたくさん嘘をつ いていた、と母を責めた。その電話から9日後、Bobbyが居間で煙草を吸っ ているのを見つけた時Franは自分を 殺しに来たと思った。Franは養育権の正式な書類を持っていなかったの でRobertがBobbyと姿を消しても法的処 置は取れなかったが、その後Mikeと結婚して娘が生まれても、諦めず にRobertを探しつづけた。 Robertを失って心に大きな穴を抱えながらMikeと娘Grace Annと幸せに暮ら していたが、Robertを連れて夫か ら逃げたのは選択の余地が無く正しかったのかどうかFranにはわからない。

この本のテーマである家庭内暴力は、外面的にはここでは刑事という立派な 職業を持っている夫が、家庭では抵抗できない妻に無制限に暴力をふるい、その ことは外部には知られることがほとんどないという現実があります。Fran は、病院で働いている時と外でRobertと過ごす時以外は夫の暴力におびえて 暮らし、他の人がいい声という夫の声を聞くだけで鳥肌が立ち、触れられる時は 水と油のように感じた。無抵抗の弱い者に暴力を振るうことは卑劣な行為で許せ ないと思いました。



感想はこちらに・・・・・・ohto@pluto.dti.ne.jp


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