天国に行った猫


*The Cat Who Went to Heaven
by Elizabeth Coastworth
Published by SCHOLASTIC INC.

54ページの薄い本。私がe-palのJanから送ってもらった中の1冊。子供の本の話になって、題名は聞いたことがあると思うが、読んだことはないと言ったら送ってくれた。私は多分「長靴をはいた猫」かなにかと勘違いしていたのだろうと思う。全然予想もしない話だった。話の舞台は何と日本である。

昔とても貧しい若い画家が住んでいた。彼は身の回りの世話してくれる年寄りのhousekeeperと一緒に住んでいたのだが、毎日の食べ物にも、困っているような生活を送っていた。そんなある日、買い物に出かけたhousekeeperが、食べ物ではなく、1匹の三毛猫three-colored catを連れ帰る。彼はそれをGood Fortuneと名づける。すると彼のもとに、寺から仏の涅槃図を書いてくれるようにという大きな仕事が舞い込んだ。

物語の大部分は、画家が絵を描くにあたって、様々な人々や動物がどのように感じたかを瞑想の中で得るという形になっている。Good Fortuneはその間、画家と共に絵が完成していくのを楽しんでいるのだが、Buddhaが入寂するさい馳せ参じた動物の中に猫の姿は描かれない。どうやら猫は仏教の世界ではあまりにもproud and self-satisfiedであるがために、Buddhaに反抗し、その祝福を受けなかった、従って天国に行けない動物であるらしい。Good fortuneの悲しげな目を見た画家は、自分の絵が寺から受け入れられないだろうことを予想しつつ、最後に1匹の猫をつけ加える。それを見たGood Fortuneは、幸福のあまり死んでしまう。その絵を見た寺の僧は予想通りそれを寺に飾ることを拒絶するのだが・・・

日本の物語という形を取っていることもあるし、英文も易しいから一気に読んで楽しむことが出来た作品。初版は1930年にMacmillanから出ていて、私の読んだのは1987年出版のもの。何回か増刷されているところ見ると、案外有名な作品なのかもしれない。多分日本語訳が出ているのではないかとも思うのだが、私は知らない。

1999-5-31



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