平野啓一郎 「日蝕」


*James Redfield著 第十の予言 角川書店

「聖なる予言」の続編。物語としては、前編の方が面白かった。これは多分こちらの方が、より非現実というか、私にとってあまり内容に真実味にかけているからなのだろう。

*平野啓一郎 日蝕 新潮社

5月26日の朝日のウオッチ文芸という欄に、「一月物語」が推薦されている。私は文芸誌や書評などをほとんど読まないが、評者の小谷野敦という人の意見にほぼ同感である。読んでいて楽しかった。確かに現代向きの本ではないし、こんな文体では読者が余り多くなるとも思えない。平野啓一郎を泉鏡花のepigonenだという人が多いらしいのも初めて知った。私自身、泉鏡花をよんでいるように感じたことは事実だから、少しおかしくなった。どうやら私の感想も正統派らしい。しかし私は、多分これからも自分なりの本を読み続けるだろう。ちなみに朝日の欄には3人の人が、それぞれ3冊ずつ計9冊の本を紹介しているのだが、将来もしかしたら読むかもしれないと思う本は2冊だけ。いずれも村上春樹著と訳のものである。私は彼の作品をまだ1冊も読んだことがないので、1冊くらいは読んでもいいかなと思っている。

芥川賞受賞のこの作品も一気に読んだ。15世紀フランスを舞台にドミニコ派の青年が巡り会った、錬金術師とandrogunos(両性具有者),魔女裁判をやはり幻想的な文体で描いている。各宗派の教えなどが絡み合い、正統と異端などの問題も、取り上げられていて面白い。やはり細部の描写が有って、主なストーリーも生き生きしてくるものらしい。この作家が現代をどのように描くのかが興味をもたれるが、まずは彼の処女作ともいうべき2冊の本を読破したことに満足している。この本を貸してくれたMに感謝。

*コナン・ドイル ナイジェル卿の冒険 上下 原書房

私もホームズ物以外にいくつかの作品は読んでいるのだが、この作品は知らなかった。中世の騎士文学を読んでいるみたいだった。「アーサー王物語」とか「ロランの歌」の現代版と言うところか。私は彼の冒険小説の英語版を何冊か持っているはずである。いずれも古本でかったものだが確か未だ読み終わっていないと思う。

*ダニロ・キシュ 若き日の悲しみ 東京創元社

ユーゴの作家の短編集。というより連作集というべきか。最初の1・2作があまり面白くなかったので、最後まで読めるかどうか自信がなかったが、興味ある作品を拾い読みしている内に、面白くなって結局最後まで読んでしまった。

99-05-26



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