きったきよこの戦争文学論


   きったきよ子のダメダメ通信 第9回 97,8/21号
  皆さんお久しぶりです。きったきよ子です。宿題に追われてます。  第7回で神戸事件について、私は「午後の曳航」を引き合いに出しました  が、発行する前にすでに朝日新聞が「午後の曳航」を紹介してました。  発行した後に気が付きました。恥ずかしー!!(>。<;)気が付いて  いればわざわざ引用しなかったし、もしくはもっと早くに発行していれば  よかったなあ。多分気が付いた人いると思います。パクリじゃないです。
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 <怖い話>
 *今回は夏向けにちょっと怖い話を・・・・(ちょっとだけね。)
 1988年11月。東京都足立区の16歳から18歳までの少年4人が 17歳の女子高生を40日間にわたって監禁し、暴行を繰り返した上殺害。 コンクリート詰めにして捨てるという恐ろしい事件があった。
 私の姉の知り合いに警察関係の人がいて、その人から聞いた話です。 −彼は当時その事件を担当していた。女子高生を殺害した犯人の足取りは なかなか掴めず、事件は迷宮入りかとまでいわれていたとき、ある一人の 少年が車のスピード違反で捕まった。しかし少年の様子がおかしい。ただ スピード違反で捕まっただけなのに、ひどく取り乱している。
 普通なら違反切符をきって終わりなのだが、挙動不審な少年の様子から 警察はなにか余罪があるのではと思い、署に連行した。
 少年は始め、怯えているだけでなにも話さなかったが、明らかに何かを 隠している様子だったので3日間拘留して取り調べを行ったところ、4日 目にやっと自供した。彼は、「自分は女子高生殺害事件に関わった一人だ」 と話し、それを皮切りに関係者全員が逮捕されるくだりとなった。
 少年は拘留されている間中、こんなことを言っていた。
「壁の中から女が出てくる!」
 自分たちが殺した女子高生が、血まみれになって襲いかかってくると言 うのだ。彼は女子高生をコンクリート詰めにして東京湾に沈めて以来、 毎晩女子高生の亡霊を見ていた。やがて彼はノイローゼぎみになり、スピ ード違反をして捕まったのもそのためだという。これは単に彼の中に潜ん でいた良心の呵責が幻覚を生み出していただけなのだろうか?それとも本 当に女子高生が怨霊となって彼を責め続けていたのか・・・・。 −いやあ、悪いことは出来ないものですね。(^^;)

 <それぞれの戦争観>
 終戦記念日過ぎちゃったけど、戦争関係の話題、いきます。
*「文芸春秋」九月特別号
−昭和5年生まれ、この指とまれ−・・・有名作家5人が語る、それぞれの
                   戦争・戦後体験が書かれています。 

  私は第二次世界大戦といえば「食糧難」、「空襲」、「敵性後の禁止」   などを思い浮かべます。日本国民が全員そういう目に遭っていたと思っ ていたけれど、そうとは限らないんだなあとおもった。それに同じ戦争体験 者でも、戦争を体験していた年代によって感じ方も様々だし。田舎で農業を 営んでいた人は、食料難で苦しむことはなかったというし、空襲も知らない 人もいる。ま、それはいいとして「蛍の墓」の作者である野坂昭如さんは、 「今の方が戦時中よりもよっぽど全体主義だ」と発言しています。私もそう 思います。人間関係がどんどん稀薄になり、個人同士の関係がハッキリしな いから全体として統制され、大衆に合わせない人間がはずされるんだと思い ます。
 ちなみに「敵性後」についてですが、戦時中英語を使うことを禁じられ野 球用語も全て日本語(「ストライク」は「よし」とか)に直されていたとき、 海軍ではバリバリ英語を使ってたそうです(「ネイビーはスマートネスを以 てモットーとする」とか日本語だか英語だかわからない言葉>阿川弘之談)  これも意外ですね。
*きよ子おすすめ戦争文学
 あまりにみんな有名すぎて紹介するまでも無いと思うけど、兎に角私が好  きな文学小説、です。
 ・「雲の墓標」(阿川弘之)・・・泣けます。海軍の航空隊パイロットが
                 「特攻隊員」として戦死するまでの話
                 です。日記調に淡々と、感情をあまり
                 込めずに書かれているだけに、泣けて
                 きます。
 ・「野火」(大岡昇平)・・・・・詳しい設定忘れましたが、主人公の兵
                 士があまりの飢えに人肉を食べてしま                  うところが、戦争の恐ろしさを物語っ
                 てますね。
 ・ほかにも「ガラスのうさぎ」「蛍の墓」「少年達の戦場」なんかは、子   供の時に戦争を経験した人の話がのってます。
 ・「帰らざる夏」(加賀乙彦)・・軍事教育を早期から行い、純粋な軍人
                 を作り上げる陸軍幼年学校の生活が描
                 かれています。主人公と先輩・後輩と
                 の同性愛的な関係もあって耽美です。
                 (谷崎賞獲得)只苦しいだけの戦争体
                 験とはちょっと違った印象を受けます。
 ・「陸軍中野学校」・・・中野学校は陸軍の諜報機関<いわゆるスパイ養
             成学校>で、極秘機密とされていた。ここには
             日本軍が戦時中使っていた暗号の事などが書か
             れています。陸軍中野学校は現在の東京都中野
             区野方警察署にありました(ウチの近所です)。
              ちなみに地名のみの陸軍機関(内容は秘密な
             ので地名だけ)にはもう一つ「習志野学校」と
             いうのもあって、例の七三一部隊のように化学
             兵器の研究をしていた所もあります。
              父の話によると研究されていた化学兵器は戦
             後、関係者が死刑を逃れるためアメリカに情報
             を売り渡し、ベトナム戦争に使われたとか・・。

 *現在、戦争を知っている世代は人口の3割だと言われています。   昔を懐かしんで元軍人が集まるバーが今でも東京・銀座にあります。  (しかも海軍と陸軍のバーが別々にある>陸「藤井」海「ヨーソロ」)
   ともに1960年代に開店しました。戦争を知らない世代が次第に人   口の殆どを埋めつつありますが、戦争に対する関心も同時に失われつつ   あるのが現状です。いくら大人が反戦を叫んでも、十代の若者などは特   に「自分たちにはカンケーない」と思っているのかもしれない。戦争の   悲劇だけは風化させてはならないですね>月並みな意見ですけど(^^;)

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