Follow Your Heart


reading group の皆様へ、
8月分のレポートをお届けします。

Title :Follow Your Heart
Author :Susanna Tamaro
Publisher :Minerva
Page :163 pages
Price :UK£4.99

Content :
娘を事故で亡くして以来、その娘である孫娘を小さいときから育ててきた主人公(私)は、最近体調を崩して入院生活を送ったことをきっかけに、2ヶ月前にアメリカへ自分の世界を求めて行ってしまった孫娘に、便りはしないという約束を守って、たぶん投函されることがない手紙を書き始めます。人生の後半に入って孫娘を育てることによってまた主流に呼び戻されたと感じた喜び、素直だった小さい頃の孫娘との楽しい思い出、親の意向にそぐわなかったために遅れた婚期、娘との確執、その娘がいちばん必要なときに母親の愛情を注いであげられなかった悔い、父親が本当でないと告白したその日に交通事故死した娘、孫娘の誕生の秘密、会話がなく寝室も別だった結婚生活、保養地でのめぐり会った真実の恋、娘の誕生の経緯などを書きつづります。

    .....歩いてきた道の方がこれから行く道の方が短くなった今、以前には気づかなかったことが見えてきます。旅してきた道は平坦でなくそれぞれに道標が立っているたくさんの曲がり角、小道や草むした乗馬道などもありました。気づかないまま曲がったり、また先に何があるかも認識しないまま通り過ぎてしまったこともあります。あなたの行く道にもたくさんの曲がり角があるでしょうが、まっすぐな道を選ぶのも角を曲がるのもあなたの即座の決心次第です。

     .....私が心から大切に思うのは、喜びの感情です。幸せに思うときはいつでも原因があって、それは外から来るものに依存しているのです。けれど喜びは何か原因があるわけでなく、それ自身の燃焼で熱を発する太陽のようなものなのです。

     .....あなたの母親が4歳の時、本当の父親が交通事故で死んだと知ったとき私は生きる気力を失い、娘を育てる喜びさえも感じられなくなりました。そんなある日小さな村の大きなオークの木に導かれるようにやってきたとき、子供の頃ギリシャ語の練習帳に書き付けた know thyself という言葉が私の心に再び浮かび上がり、新鮮な空気とともに生きていくための活力が蘇ったのでした。

 

     .....あなたとあなたの未来のために、私たちがどこから来たのか、私たちの過去にどんなことがあったのかを理解することが、偽りのない未来に取り組む第一歩なのです。あらゆる出会いはいくら小さくても意味があり、そう考えることがトカゲが脱皮するようにこれからの出会いや出来事を次から次ぎへと対処する上で大事になってきます。

Impression:
これはイタリアで空前のベストセラーになった女性作家の小説です。波乱に満ちた人生を淡々と語りながら、亀裂を生じて去ってしまった孫娘に贈る人生の励ましの言葉が、とても印象的です。人生を、流れる川や強風に耐える木等にたとえて、優しさに満ちた語り口で語っています。邦訳は「心のおもむくままに」とあって、映画化も決定したそうですが、どなたかごらんになりましたか?それとも制作中でしょうか?配役は?監督は?moviegoerとしては気になるところです。夫はカブトムシの採集が趣味で、唯一の望みは新種を見つけて自分の名を残すことなのですが、毎日昆虫と向かい合ってる夫が態度や話し方(?)が昆虫のようになっていく、と書いてあるところが面白かったです。犬や猫が飼い主に似てくるのと同じでしょうか?

C. NAKAGAWA



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