The Drowing People by Richard Mason (C.Nakagawa)


2001-8-23

The Drowing People by Richard Mason published by Penguin Books

私、Jamesはその頃大学卒業を控えて両親の意向に反してコンサートバイオリンニストになる決心をしていた。6月の朝早くロンドンのハイドパークをジョギングしている時、ベンチに憔悴した様子で座っている彼女と少しだけ言葉を交わしたのがEllaとの最初の出会いだった。1週間後友人のCamillaのバースデーパーティで再会した時、Charlieとと婚約していることを知る。Camillaに誘われてEllaの婚約パーティに出た時、悩みを聞かせて欲しいという私に、自分の幸せはあなたに関係ないという返事が返ってきたが、Setonに行くという手紙が来た。

Seton島には今は観光スポットになっている一族の居城があり、その暗い歴史となぜ家柄のつりあったCharlieと結婚するかを聞かされた。祖母は4人の子供を残し自殺し、Ellaが6歳の時、母とおば夫妻が交通事故で死ぬ。おばには7歳のSarahがあり長兄のCyrilのもとで育てられる。父と双子のもうひとりのおばも飛び降り自殺をしている。Ellaの父Alexanderはアメリカへ渡り再婚して12年後戻ってきた。EllaはCyrilの死後全財産が譲られることになって300年以上続く一族の歴史の重みと責任に押しつぶされそうになってひどく悩んでいた。SarahがCharlieを愛していたこともあり、いとこ同士の憎しみが深まっていった。

私はCamillaの母Reginaの計らいでフランス人のピアニストEricとコンサートを開き徐々に音楽家として認められるようになっていった。Ericのおお叔母の財産整理のためにプラハに同行し、そこで著名なEduardの教えを受ける。

そのおお叔母の財産を売るオークションが開かれる日にあわせてEllaは両親と共にプラハに来ていた。私がプラハに来てから、Sarahは歴史ジャーナルに一族についての研究論分を発表し、全てが公になりメディアがいっせいに取り上げたこと、Ellaが精神不安定を理由に婚約破棄をしたことなどをCamillaの手紙で知らされていた。

療養も兼ねてクリスマスまで田舎の館で過ごすEllaに誘われた私はEricと一緒に出かけていく。Ericの態度からEllaはJamesを愛していることを悟り、気まずい雰囲気になってしまう。驚いたがどうすることもできない私はEricと彼に実家に行く。そこでとった私のあいまいな態度がEricを追い詰め、Ellaとも別れる原因になる。

Ericの死の罪悪感から逃れられないまま、Ellaからの連絡も無視して音楽活動に熱中し、3年がたちバイオリンニストとしての地位が不動のものになっていた。その頃Ellaの父Alexanderから抜け殻のようになってしまったEllaに手紙を書いて欲しいと懇願される。手紙を書き出すと押し込めていた感情がよみがえってきて心から愛情あふれる手紙を書いた。Ellaからまもなく開かれるパーティの準備のために滞在しているSetonの城から短いが暖かい返事が届いた。

200人もの出席者の目前でAlexanderがEllaにバルコニーから転落させられて死ぬという惨劇が起きた。

その後しばらくしてSarahと結婚した私は、45年間の幸せだったと思っていた結婚生活がある偶然によって発覚した真実によって偽りそのものであったことを知る。

45年間連れ添ってきた妻が拳銃自殺(実際は違う)した翌日、70歳の主人公が若い時から現在までの出来事を回想する形式で書かれています。最初にEllaに会った時の純粋な気持ちを持ちつづけたこと、自殺したEricが自分の成功を見守ってくれたと思うところにとても感動しました。

この話の最後の1日の展開はとても予想できないもので大変ショックを受けました。ひとつの鍵が全ての45年かにわたる謎をきれいに解決してくれました。途中まではそう思わなかったのですが。読み終わったらすごく面白いミステリーでした。

2001-9-3




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