DISGRACE by J.M.Coetzee (C. Nakagawa)


*DISGRACE by J.M.Coetzee
published by Vintage;220 pages

Cape Townに住んで大学で情報学を教えている2回離婚歴のある52歳のDavid Lurieは同僚の妻達や旅行者や娼婦と情事を重ねていた。教え子のMalanieと関係を持ったDavidは大学の先生の生徒への虐待とハラスメントに関する規則に違反しているとして査問委員会にかけられる。新聞に大きく取り上げられ問題は大きくなった。Davidは罪は認めたが、公に謝罪しどんな罰も受けるようにという大学側の要求を拒否し大学を辞める決心をする。

DavidはEastern Capeで農業や犬の飼育をしている娘のLucyを訪ねる。同棲していたHelenは引越ししていていなかった。新しいアシスタントは同じ敷地内に妻と暮らす庭師のPetusで土曜日に開かれるマーケットで野菜や花を売って生計を立てていた。DavidはLucyの仕事を手伝ったり、友達のBev Shawの動物病院で助手を務めた。

Petusが留守のある日2人の男と1人の少年が侵入しDavidをトイレに閉じ込めLucyを襲った。Davidは石油をかけられやけどを負った。その日以来食事もとらず放心状態で仕事をしなくなったLucyはレイプされたことは警察に話さなかった。DavidはPetusが賊を知っているような気がしてならなかった。Petusの土地所有権獲得のお祝いのパーティでその事件を起こした少年を見かけたがLucyは仲良くやって行くことが大事だからと取り合わない。

経済的に困ったDavidはCape Townの家を売って戻ってみるとLucyは妊娠していた。LucyはPetusの家に戻っている少年とベットを共にしないという条件で結婚するという。Davidは別の生き方をするようにすすめるがLucyは自分の人生は自分で選ぶという。Davidは動物病院の近くにアパートを借りてBevを手伝い、時折Lucyを農場に訪ねて訪問者として一緒にお茶を飲むというLucyとの新しい関係がスタートした。

ケープタウン大学で教鞭をとる著者にとって、2度目のブッカー賞受賞作となった話題作です。沈着でない温和でない忍耐力がないDavidは子供の時はおとなしかったLucyがたくましく成長している姿に何度も驚きます。娘はショックから立ち直り生きるすべを獲得し、父親は少しはなれて見守るというとてもいい結末でした。



感想はこちらに・・・・・・ohto@pluto.dti.ne.jp


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