金融監督庁


昨日は気分転換にちょっとだけ目を通すつもりで読み出した新書が、案外面白くて最後まで読んでしまいました。おかげで予定の本を全然読めなかった。

*金融再生研究会 金融監督庁 宝島社新書 1999.9.24

新書で手軽に読めるかと思ったけど、結構読みにくい本かもしれない。しかし中身は面白かった。5人の専門家が書いている本なので、所々重複している所も多いけど、ここ1・2年のこの国の金融問題を金融監督庁の立場から、かいたものです。といっても金融監督庁、現在の金融庁が発足したのが平成10年6月。この本の発行がそれから1年後の去年9月。さらに1年間たっているわけですから、多分ここで書かれていることも少し古いのかもしれない。

私がこうした経済・金融関係の本を、集中的に読み始めたのは、今年に入ってから。それまでは、新聞でも大きな記事でも、ざっと読み流すくらいだけでしたから、事実関係もおぼろげにしか覚えていない。それにこうした本もノートを取るわけでなし、ただ読み流すだけだから、なかなか知識として蓄積しない所もあります。ただ少しずつこうした世界に慣れるという効用はあるみたいです。

この本で面白かったことをいくつか上げれば、日債銀が極めて政治色の濃い銀行だったと言うこと、金融監督庁の誕生・それからの活動をめぐっての、大蔵省内部でのキャリアとノンキャリアの葛藤、コングロマリットのクレディ・スイスグループとの、大げさに言えば国の面子をかけての攻防などなど、結構面白いものがあります。ただやはりこの世界、激しく動いている。私が知っている限りでも、ヘッジファンドについての記述などは、カビが生えているように感じる。

ただグローバル化に賛成すると否とを言わず、金融の世界では、もはや閉鎖的な政策をとりつづけることはできない。ここでは、無知は敗北につながる。日本の金融機関が、外資系から利用されているのを見ると情けなくなるし、多分今は高い授業料を払っている所なのでしょう。個人的には、私は別にかまわないけど、とにかく日本の金融政策はすっきりしたものにならなければ行けないと思います。

経済雑誌では取締役に多額の賠償責任があるとした裁判の記事についての記事が目立ちます。株主代表訴訟権を廃止しようと言う馬鹿げた意見まで出てきている。今のところはこうした一進一退を繰り返しながら、多分大きな流れが固まってくるでしょう。

この本のあと、相良芳輝「ケータイe革命」(日刊工業社)というのを読み 始めたが、しばらく、これは今日はお預け。今週いっぱいくらいはHarry Potterの世界に遊びます。

2000-10-5



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