服部真澄 ディール・メイカー


服部真澄 ディール・メイカー 祥伝社 平成10年9月15日

最初見たときは金融界が舞台かと思ったけど、大企業同士のM&A(企業買収)が主なテーマです。まあ血なまぐさい小説と違って、いかに相手との駆け引きに勝つかということが中心ですから、こちらの方が現実の世界を反映しているようなきはする。

マイクロソフトを思わせる「マジコム」、ディズニーかなと思わせる「ハリス・ブラザーズ」が主な舞台で、それに人工授精で生まれた相続人というテーマがからんできます。「マジコム」のCEOがビル・ゲイツならぬ、ビル・ブロックだと言うのはご愛嬌としても、現実世界から借りてきたのは、ここまでのようです。IT産業が中心ですから、当然最新のPC技術も出てきます。

まあ一気に読むことは読んだのですが、少しノリが悪いというか、あまり夢中になってしまうというものではなかった。しかしレバレッジド・バイオウトという概念を始め、結構面白い企業乗っ取り手法が出てきました。買収される側の資産を担保として、買収側が資金を調達するというレバレッジド・バイアウトのような変な概念が、ますますはやってくるのかな。面白そうだけど、ますます妖怪じみた様相を呈してきた。

そういえば、最近大正生命を破綻に追いやった容疑者も数ヶ月前まで兜町の風雲児」として、救世主扱いされていたな。私も彼に密着取材した1時間もののTV番組を見た事がある。わずか数ヶ月だけど、どうしたらここまでの落差が生じるのだろう?

宇宙人の存在をうんぬんしている人の言うこともはっきりはしないけど、儲け話もどこまで信じて良いのやら、あまり変わらないかな。

2000-9-11



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