ラビ・バトラ 1998-2000


*ラビ・バトラ 1998-2000 株式大暴落 たちばな出版 H.10.1.30発行
副題は「世紀末の危機はこう生きぬく」

2年半前に書かれたこの本は、作者がインド人と言うこともあってか、単純なテクニカル分析ではなくて、歴史的・人間学的考察の面が強い。

彼は、1990年代の状況が、1920年代の状況と非常に似ているということ、バブルはいつかは必ずはじけると言うこと、などの理由から、1998年中に、あるいは遅くとも1999年までには、アメリカのバブルがはじけて、大不況が置こると預言しているわけです。まあ、結果的は外れたわけですし、こうまではっきりと言いきった書物の価値はあまり無いかもしれませんが、それでも結構面白かったです。

この人は1975年を、日本経済の分岐点と見ているようで、それいらい日本の経済政策がおかしくなったことをいろいろと論じています。得に金融の規制緩和には絶対反対のようで、これは危険的な投機をもたらすから、すぐに昔の政策に戻れと言っています。

アメリカをローマ帝国にたとえ、製造業が衰退しながらも周辺諸国からの搾取の上に繁栄を謳歌していると言っているのも、興味ある。しかしアメリカ人のわずか1%が富の40%以上を所有しており、半分以上のアメリカ人は1000ドル以下の預金しかないと言う現実は、やはりどこかおかしいのではないかと思います。最近では定職についていながらホームレスと言うのも珍しく無いようですから、ここまで貧富の差がひどくなれば、やはりどこかおかしいと思わざるを得ないのでしょう。

作者はP.R.サーカーの提唱したプラウト理論の信奉者のようです。それは進 歩的活用理論progressive utilization theoryのことですが、すべての社会活動・規範は人間社会を進歩に導くべきだと言う理論のようです。生産力が増加しても、辞しいつ賃金が低下しているアメリカ、ほとんど変動しない日本の現状は、どこかで破綻が来る。彼はそれを1998年と予想したわけです。

予想は外れたけれども、教えられることも、結構ありました。

2000-7-9



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