梅原猛 九つの対話


昨日は、梅原猛の「九つの対話」を読みました。対談集ですから、比較的簡単に読めます。今年春の発行ですが、大分前の対談も入っている。

相手の9人と言うのが、志水博、五木寛之、中島みち、山折哲雄、小池寿子、日沼頼夫、高坂正尭、大庭みな子、、瀬戸内寂聴がその相手です。よく知らない人も結構いるな。

私は彼は好きな著者です。そのおおらかさ、発想の豊かさ、そして何よりも考えることの楽しさを与えてくれるから。「仏教の思想」や、「仏像」以来、どれだけ彼の著作を読んできたか。著作集刊行までに書かれた、肇専門書以外のものは、ほとんど読んでいたかもしれない。仏教や、日本文化については、彼から教えられたことは多い。

この対談集でも、西洋合理主義の限界、脳死は死ではない、などの梅原節は健在ですが、私にとっては少し変わった話題を紹介します。ATLウィルスについての、日沼頼夫との対談です。レトロウィルスという点で、エイズウィルスと、構造的ににているこのウィルスが人類の古代史、日本人の起源に、大きな鍵となるかもしれない。

もともとこのウィルスは先祖伝来のもので、発病率は非常に少ない。だから人種間混合が進めば、どうやらなくなってしまうようで、今こうした遺伝子を持っているのは世界でも、極めて珍しく、古代から外界との接触が少なかった所だけ。一番多いのが日本で、中国や、韓国、ヨーロッパでは見つかってない。日本以外では、ネグリーとというフィリッピンの原住民・狩猟民族、オーストラリアのアボリジニー、アフリカの一部、あとは沿海集から樺太にすむ少数民族です。どうも人類発生の時には、人類が一般的に持っていたと思われるのが、何故今ではこうした一部地域だけでしか、見られないのか?

日本では、アイヌとか沖縄、五島などの離島、紀伊半島の先端部、東北の牡鹿半島、などなど限られた地方でしか見つかってない。ここから、日本人の起源についての、なかなか面白い議論が展開されます。まあこれらの地方でも少数の人からしか見つかっていないわけですし、だんだんキャリアは少なくなっているようですが。

大庭みな子との対談は、彼女の小説と同じで、よくわからない所が多かった。人間は生まれてこない前の記憶、つまり未生を持っているとか、なんか理解不能なことを言っている。感覚的には理解できるのですが、理性的には???

このMLで不評の寂聴さんは、梅原先生の前では、礼儀正しく上品な話をしています。(^^;

2000-7-1



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