池澤夏樹 マリコ/マリキータ


日曜日に、池澤夏樹の本を読みました。彼の作品は、これが2作目です。

1作目は10年以上前、中央口論に掲載された「スティル・ライフ」。普通は雑誌の小説などはあまり読まないわたしですが、この作品は一気に読んだ。何か過去のある男が、ある一軒家を借りる。彼は会社で横領か何かをして、いわば世間から一時隠れていたらしい。しかしどうも犯罪者ではない。何か善後策に関しては会社との取り決めが出来ているらしい。彼は昼間家に閉じこもって、株式を研究して、大金を作る。そして、会社とも株とも完全にて手を切って、その家を去って行く。激しいドラマを描いた作品ではないのだけど、この作品は不思議な充実感を私に残しました。

ストーリーもよく覚えていないから、うろおぼえです。しかしどこかこの作品から漂ってくる雰囲気が私は好きだった。多分中公の新人賞か何かの作品だったと思うのですが、その年この作品は芥川賞を受賞しました。

それ以来、彼の雑文は読むことはあっても、小説は読んだことがなかった。図書館に行ったら、結構彼の作品があったので、たまたまこの作品を借りてきて読みました。

5つの短編が収められています。島を舞台にした作品もいくつかあります。しかし彼の作品には、日常生活を描いても、どことなく異邦人のような匂いがする。日常生活を離れた所に、何かを求めつづける人たち。

そんなに激しい感動を呼び起こす作品ではない、と思います。しかし気になる作家です。もう少し読んで見よう。

2000-6-28



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