ノータリン・ウィルソンの悲劇(マーク・トウェイン)


文々丸さんから紹介していただいた"Pudd'mhead Wilson"を私も読んで見まし た。私が読んだのは、中央公論社の世界に文学の第53巻、「イギリス・アメリカ 名作集」収録のもので、野崎孝訳です。

あらすじは大体文々丸さんからも、紹介されていますが、少しミステリーじみて、一気に読めました。ただ最初の数ページは、入りづらかった。それとわたしはどういううわけか、マーク・トウェインの作品を2作紹介していただいたと思 っていたら、これは1作だったのですね。

舞台が1800年代の前半と言うか、奴隷解放前のアメリカの社会事情が少しわかります。奴隷の値段とか、川下で売られることへの恐怖とか、北部人は奴隷を扱う方法を知らないからか、容赦しないとか。それに奴隷の定義も面白いと言うか、見かけが白人であっても、少しでも黒人の血が入っていれば、奴隷の境涯であるとか。

ミズリー州が舞台ですから、ここでは解放奴隷と言うか、黒人で奴隷で無いものも結構いたようですね。この辺が多分、南部諸州に売られることの、恐怖につながるんだろうと思います。

マークトウェインの奴隷制に対する姿勢は、必ずしも奴隷制反対ではないような気がする。

この世界文学全集は、なかなか読みやすい。当時中公は、日本・世界の各文学・歴史・名著6シリーズを同じ体裁で刊行していました。私は当時はあまり興味が無かった世界の文学と日本の歴史シリーズは、後年古本で安くし入れた。前の持ち主がほとんど読まなかったのか、ほとんどの巻に月報やら、セロファンのカバーがついていて新刊みたいです。これで390円だったとは安い。今だったら2000円はするでしょう。私は各社の世界文学全集は皆バラでしか持っていなくて、揃っているのはこのシリーズだけです。もっとも、私は54冊しか持っていないのですが、これも第2期があったのじゃ無いかと思います。しかし収録作品を見ていると、まだ未読で読みたい本が目に付きます。この機会に海野十三よりも、こちらの方を日曜毎に、読んで見ようかな。

2000-6-18



感想はこちらに・・・・・・ohto@pluto.dti.ne.jp


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