Hanna's Daughters by Marianne Fredriksson (C. Nakagawa)


*Hanna's Daughters by Marianne Fredriksson
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フリーライターのAnnaは、祖母Hannaの若くて美しい時に撮られた古い写真を見て、自 分が覚えている年老いた祖母とは全く違っているのに驚く。写真のHannaは広い額、ぎざ ぎざの生え際,大きな口,低い鼻などがAnnaとよく似ていた。そのときまで関心を持って いなかったが、Annaは母Johannaが伝説の人、素晴らしい人、よくわからない人と言っ ていた祖母Hannaについて本を書くことに決めた。

スウェーデンの貧しい農家に生まれたHannaは12歳のとき、住み込みで農場に働きに出 た。13歳のときそこの息子に暴行を受け男の子Ragnerを産む。意に添わない結婚が決ま ったが息子の父親は家を出る。
Hannaは17歳のとき粉屋のJohnと結婚、その時流した涙はHannaにとって初めての嬉 し涙だった。続けて3人の男の子に恵まれた。
13歳になったRagnerはノルウェィでHannaの妹の夫が経営する魚屋へ働きに行く。 30歳になったHannaは女の子Johannaを産む。
1905年Ragnerは新兵に採用された。その頃スウェーデンとノルウェイの国境は警備が 強化されていた。

Johannaが8歳のとき父Johnが死ぬ。父の死後一家はRagnerと共に大きな町Goteborg に移り住む。Hannaは腰痛に悩まされながら年金を受け取る歳までパン屋で働いた。Hanna の娘のJohannaは母親とうまく行っていなかった。手伝いに出されていた家の主人に暴行 されかけた経験から中産階級を憎むようになり、後に社会主義者になった。その頃、スペ イン風邪や栄養失調で死ぬ人が多く、失業者も多かった。同士のArneと結婚したJohanna は流産を繰り返したあとで女の子Annaを産む。まもなく第二次世界大戦がはじまりヒッ トラー率いるドイツ軍の侵攻があちこちで始まっていた。平和の兆しは1945年の春に やってきた。人々の暮らしに活気が戻り、すべてがいい方向に向かっていた。 Annaは大学でjournalismを勉強して、23歳のとき結婚、やがて2人の娘の母になった。

20世紀のはじめ北欧の農村に生まれたHannaとその娘Johannaと孫娘Annaの物語で す。Hannaは飢えから弟3人を失い、12歳で奉公に出なければならなかった。なじみの 薄かったそういう貧しいスウェーデンの農村が詳しく描かれていて,実際自分が生活して いるような気がしました。第一次世界大戦から第二次世界大戦にわたって、政治的にも不 安定な苦しい時代を生き抜いた3人の女性と彼らを取り巻く人々の物語に強く引き込まれ ました。

本書は世界27カ国で翻訳され、各国でベストセラーになっています。paperbackの素敵 な表紙を見てすぐ読んでみたいと思いました。



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