The Pollen Room by Zoe Jenny (C. Nakagawa)


*The Pollen Room by Zoe Jenny translated by Michael Hofmann
*Published by Bloosbury; 154pages

私、Joが幼稚園に通っていた頃、母Lucyは家を出て行き、私は父と住むことになった。父 は家で印刷業をしていたが、生活のために夜はタクシーのドライバーとして働いていた。 父のいない夜は次から次とモンスターが壁の隙間から出てきて眠れず、こわくてトイレに も行けなかった。私は、子供たちが外で遊んでいても仲間に入らず、家にこもってただ窓 から見ているような子供だった。土曜日は母と過ごしたが、ある日画家のAloisと遠くに行 ってしまった。

私は高校を卒業して進路を決める前に、12年ぶりに母に会いに行った。母は何もしてや れないし、Aloisが事故で死んだのであなたの助けもいらないと言った。母の家で寝ている とき、夜明けに物音で目がさめた。母は庭へ出て行き花を茎から折ってバスケットいっぱ い集めて、Aloisのスタジオに行って、花粉を全部部屋中にばら撒いてかぎをかけ引きこも ってしまった。外から声をかけても出てこないので私はシャベルで窓をわって中に入って 助け出した。私は母に付き添って精神科に通った。Aloisの死は自殺だったとする警察の見 解を認めたくなかった母はショックが大きかった。自分で治療を止めた母は男友達のVito と旅行に出かけた。その前に母はVitoと開いたパーティーで、Vitoの手前私は妹というこ とになっていた。

私は、夜1人でバーに行って飲んだり、父がガールフレンドのために開いたパーティーで 会ったばかりの人の部屋で一夜を過ごし妊娠中絶を受けたりした。ひどい頭痛におそわれ て、吐き気が止まらなかったり、ものがオレンジ色や黄色に見えたりして、起きることが 出来ないで部屋を暗くしてずっとベットに臥せっていたこともあった。

大学に入る前に会いに来るようにとの父の手紙で再婚した父の家に行ったが、妊娠してい る新しい母と連れ子のPaulineとは気が合わず、ここにも自分のいる場所は無かった。

母に置き去りにされた幼い子供は、昼夜問わず幻想に悩まされて情緒が不安定のまま成長 します。食欲不振になったりひどい頭痛が続いたり体にも変調をきたします。両親はそん な子供のことを思いやることなく自分のことに夢中になっている。身勝手な親のために揺 れ動く心情を素直に詩のようにつづったこの本は、書かれている以上のつらさを秘めてい ると思われました。

若いスイス人の女性作家の回想を英語に翻訳されたもので、英語は比較的読みやすかった です。



感想はこちらに・・・・・・ohto@pluto.dti.ne.jp


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