金融関係の本など


3月下旬に読んだ本が、結構あったけどつい忙しくて感想を書くのをそのままにしていた。だいぶ時間がたっているものもあるのだが、リストだけは書いておこう。

*船井幸雄・高橋乗宣著 本当の経済 本物の経営1998年 徳間書店 1998年1月31日初刷(1998-4-2 6刷)

船井幸雄の名前は、この前読んだネットワークビジネスの本では、あまり良いイメージは残らなかった。しかし図書館では、彼の本は結構目に付く。つい手にとってしまった。

この本も読みやすいし、今度は2人の対談という形を取っているが、なかなか面白かった。2年前の本だから、こうした最新の情報が要求される本では少し古いから、欠点も目立つ。近い内にアメリカの株式市場が大暴落するという予言は未だ当たっていないし、日本式経営の見直しは急速にグローバル化の波にさらされ、崩壊しようとしている。

しかし著者たちも言うように、私にも資本主義が万能だとはとても思えない。著者は資本主義に代わる新しい経済システムとしては、日本流の伝統的経営法が念頭にあるらしい。前にもどこかで聞いたことがあるし、このへんは少しなつかしい理論のような感じがしないでもなかったが、金融のことに関しては、私の知らないことをいろいろ教えてもらって結構役だった。

最後の章で「本物の技術」として、日本初のいろいろな画期的技術が紹介されている。最近私が読む本には、どういうわけかこうした技術のことがよく出てくるのだが、私には真偽の程はよくは解らない。水をエネルギーに変える方法とか、プラスチックから石油を作る方法などは、これでもう聞いたのは何回目だろうか?今までの物理学やエネルギー保存の法則が覆されるということも飽きるほど聞いている。自然界の「気」を、コントロールすることで、環境問題なども解決するようなことを書いているが、本当だろうか?私の場合も入ってくる情報があまりにも多くて、少し混乱気味である。

しかしつくば博の時に話題になった「お化けトマト」のことは私もよく覚えている。それにどうしてああした話題が最近出てこないのだろうと、最近知人とも話していた。新しい技術が、既存の経済組織を壊す場合普及しないのは、たまたまあることだが、どうもこのへんの見極めがよく分からない。

作者のいうことを聞いていると、すばらしい未来が日本の技術によって開けるらしい。私には、最後にはこの本が経済・経営の本なのか、人生哲学の本なのか、解らなくなってしまった。

*加来耕三著 21世紀のサバイバル戦略 二見書房 1999年3月25日

本のタイトルは正しくは、「タケダ、シオノギ、タナベ 21世紀のサバイバル戦略」と言う。いわゆる大阪の道修町の御三家と言われる3つの薬品会社についての本である。大阪新聞に連載されたもの。ときどき退屈になって、あとからは拾い読みになった。

*大前研一著 変わる世界 変われ日本!  PHP研究所 1998年8月17日

なかなかおもしろい本であった。いよいよ傲慢になりつつあるアメリカと、来るべき未来像を持てず自信を失いつつある日本。大前研一の世界情勢を語る切り口はなかなか明快である。

私には納得いくことも多い。アジアの実情とか、日本の金融界の技術力の立ち遅れとか、田舎に住んでいる私でもあまりにも不可解なことが多すぎる。知らなければ、それまでだったかも知らないが、オンライントレード、外貨預金、外国株式などに興味を持っていろいろなことを実践してみると、日本の金融会社のどれだけが、21世紀に生き残れるのか、ふと疑問に思う。金融技術に関しては、アングロサクソンに翻弄されつづけるのだろうか?

このごろ金融関係に興味を持っていろいろと読んでいるのだが、不思議なことだらけである。優秀な工業製品を生み出す日本が、金融技術だけに関しては、ものすごく遅れている。大銀行を中心に再編成は進んでいるが、多分流れはますます加速化すると思う。

*高田康行 株で毎日が給料日 中経出版 2000年3月21日発行

3月27日に姪の結婚式で長崎に出かけた帰りのフェリーの中で一気に読んだ本。アメリカのナスダックを舞台に、日本から毎日デイトレーディングを実践している作者による経験談である。日本の株式市場でも、日計り売買とか言うものがあるし、ときどきはデイトレーディングという言葉も使われるが、アメリカの場合はもっと使い易いらしい。

私もデイトレーディングの功罪みたいなものは、ときどき聞いていたが、たしかにここまで使い易くなると日本でも多くの人が今以上に、オンライントレーディングに夢中になるのかもしれない。専用ブラウザーと、リアルタイムの株価情報、それに個人でもプロと同様即座に株式売買が出来る環境など、アメリカの場合は日本とは大分様子が違うようである。

日本株でも近いうちにここで書かれているような環境が実現できるのだろうか?

*日本経済新聞社編 投資の常識 日本経済新聞社 1997年11月18日(1999-5-26 4刷)

金融商品についての解説の本。日経の夕刊に連載された記事をまとめたものらしい。デリバチティブなどのように、よく聞くけれどなじみのない商品については、ここの説明を見ても、すっきりと解るとは言えないが、多くの金融商品の概観を見通すには便利である。これは自分の本だから、分からないことがあれば、時々読み返している。

2000-4-4



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