山田英夫 ビジネス版 悪魔の辞典


*金子雅臣 ホームレスになった・・・大都会を漂う 築地書館 1994年2月20日発行(1994.7.15 第4刷)

最近も依然として増加しつづけているのではないかと思われるホームレスに関する本。著者は長年東京都庁で労政事務所など、労働問題相談などの現場で働いており、そうした中で知り合った多くの勤労者の生活が破壊されて行く姿を見てきている。

ホームレスの生活実態を描いた部分もあることはあるのだが、主に現代社会のストレスに耐えきれず、消息を絶った人、つまり多分ホームレスになったであろうと思われる人々の、そのときまでの経過を書いたいくつかのケースが印象に残る。

ホームレスは単なる経済的貧困から生じるのではなく、人間関係の貧困というか、そうしたものの絆が絶たれた時になるものだという指摘はその通りだろう。共同体が崩壊した現在、私たちは労働能力を喪失したとき、かなりのものがホームレスになるのかもしれない。日本の生活保護行政の実情についても、私も良く知らなかった。

最近朝日新聞の声欄ででホームレスに関して、ちょっとした論争らしきものがあった。要するに彼らが労働能力がありながら怠け者であるのか、あるいは現代社会では働こうにも働けない人がいるのかという古くからの問題をめぐってである。しかしこれは今日の経済情勢を見れば、明らかであろう。

現代社会の病理というか、こうした現代社会の与える個々の問題点を描く本と日本経済の将来を描く本と、私はどちらも好んで読んでいる。ミクロとマクロの違いとはいえ、全く正反対の内容を読んでいることもある。私自身の中で、考えが思考が分裂せずにいるのが不思議だが、今は大きな経済の流れの知識を少しでも獲得したい。

********************************************

*山田英夫 ビジネス版 悪魔の辞典 メディアファクトリー 1998年12月10日発行(1998.12.11 第2刷)

言わずと知れたアンブローズ・ビアス「悪魔の辞典」を模して、日本のビジネス会で起きていることについて説明したもの。他の分野ではよく見かけたようにも思うが、ビジネスに関しては始めて家も知れない。もう少しひねりが聞いていたほうが面白いと思うけど、これは上か書の定義よりも正しいということが基本コンセプトだそうですから、あまり極端なのはない。ビジネス川柳の辞典版といったところかな。

私はSISとか、ASAPのような、英文字の略語で最新のものを中心に分からない用語があったが、結構笑えた。大企業病について立派に理解している段階から、経営コンサルタントへの転職を勧められるレベルの中間くらいだと思うが、しかしなんとなくあいまいで分かったような用語も多かった。とにかく大企業に縁の無い私でも、その昔勉強した経済学・経営学の内容を思い出しながら、結構楽しめた。

そのうちから2つ3つ紹介しておくと、

[公認会計士]・・・資格取得前は会計・財務の専門知識が問われるが、資格取得後は営業力、こうしょうりょくなどのヒューマン・スキルが重要となる職業。

[マッキントッシュ]・・・かつて熱心な伝道師が社内で普及を進めたが、徐々にかじられてきたりんご.

[アップル]・・・マイクロソフトの独禁法対策のために必要な「良い競争業者」。(以下省略)

しかしあとの2つは、私の予測では死語になる日も近い。

2000-2-25



感想はこちらに・・・・・・ohto@pluto.dti.ne.jp


ホームページに戻る 

読書室のページに戻る