出久根達郎 いつのまにやら本の虫


 

楽しく読めた2冊の本。

*佐高 信 高杉良の世界 社会思想社 1998年1月30日発行

これはほとんどが全集や文庫本の解説で有るから、今までに私が読んだ文章も結構入っていた。高杉良経済小説全集は全部は読んでいないが、案外文庫本などの形で読んでいたんだなと思う。まだ少し読み残しているのがあるから、しばらくしてその気になったら、読もうと思う。

2人とも私の好きな著者だけに面白く読めた。

*出久根達郎 いつのまにやら本の虫 講談社 1998年10月15日発行

古書店を営みながら、直木賞を受賞した作者のエッセイ集というか、あちこちに書いた文を集めたものである。私は名前は知っていたが、この人の作品は多分初めて読んだと思う。本に関する書物は興味があるから、目にとまれば大体は手にとって見るし、まあ楽しく読めるのだが、これも一気に読めた。

作者が読んでいる本は私の読書傾向とは大分違うし、私自身があまり稀覯本などに興味を持たないから、そうした話題は知らないことも多かったが、それでも楽しめた。ただ作者の触れている稀覯本への愛着は、やがては滅びゆく趣味のような気がしてならない。それとも姿を変えて生き残るのだろうか。もしかしたら、漫画本や写真集などが高価本のかなりの割合を占めるようになるのではないかとふと思ったりする。この本に書かれているような稀覯本は、その作品の初版本云々よりも作品や作者そのものが、急速に忘れられていくようなことにならないだろうか。はたして20年後にここで上げられた作品が、まだ稀覯本のままであるだろうか?

面白い話題はいくつもあったが、その中のひとつに、先日私が読んだ「騙す人ダマされる人」について書いたものがある。どうやらこの本が類書の中の嚆矢本であったらしい。私は何かの翻訳本がそうでないのかと思っていたが、勘違いであったわけだ。

このごろさっぱり古本屋巡りをしない私には、いろいろな古本についての話題だけでも愉しい。しかし今朝インターネットでいくつかのオークションのページを見て、古本屋の代りにこうしたところを利用してみようかと思った。古本屋の中でHPを持っているところ有るし、案外良いかもしれない。アメリカでもこうした市場があるのは知っているが、アメリカの場合、代金決済にカードを使うとすると、まだ安心できないところもあるから、まずは日本で楽しんでみたらいいかもしれないと思っている。今はなるべく本を買わないようにしているが、いろいろ見ていたら、結構欲しい本があった。まあ入札する必要があるし、送料の問題もあるが、こうしたところで売買してみるのも面白いかもしれない。

2000-1-22



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