ヨーロッパを席巻する英語(NYT, 7/19)


今週もSunday Timesは面白そうな記事がないし、New York TimesもWEB上で読 めるようになったから訪ねてみたら、面白い記事が見つかりました。19日付の 日曜版の記事です。

* English Becomes the Principal Language of Europe
By JOHN TAGLIABUE

簡単にいえば、ヨーロッパ諸国で英語が共通語としての地位をますます固めつ つあるという記事です。

来年の通過統合を控えて、イギリスは当面はeuroに参加しない。しかしフラン クフルトにあるヨーロッパ中央銀行には、イギリスはちゃんと出席している、 それが英語だというわけです。もちろんEUの公用語は、参加15カ国の言葉すべ てですし、ヨーロッパ中央銀行の当面の公用語は11ヶ国語のはずですが、会議 の時に使われている言葉は 英語です。いわばcommunication languageとして 使われているわけです。国境が取り払われ、距離がかつてほど意味を持たなく なり、そしてアメリカ文化の影響が大きくなるにつれて、英語はヨーロッパ諸 国では必須語になってきているようです。

数々の事例が紹介されているのですが、面白そうなものをいくつか紹介してお きます。

*ドイツのDeutsche Telekomが請求書で、市内向け、長距離向けの区別を表す Ortsgesprache, Ferngespracheに代えて、City CallsとGerman Callsという 表現に改めた。The Institute for the German Languageは抗議したが受け入 れられなかった。ドイツ・テレコムの言い分は、「分かりやすい英語表現は時 代精神Zeitgeistの反映である」からということです。

*フランスの名門ビジネススクールInseadは教育面でも研究面でもofficial languageは英語です。

*スイスのチューリッヒでは、銀行家やジャーナリストたちは自分たちト間で は、Swiss Germanを使う。ところがドイツ人と話すときには、英語を話す。こ のへんは北の大国に負けないぞという矜持の現れなのでしょうか。なかなか面 白いものがあります。

*スイスは6才から英語教育に力を入れているようです。ある国会議員の言 葉。「スイスの公用語であるドイツ語・フランス語・イタリア語の3カ国語を しっているだけでは、文盲illiteratesも同じだ。」少なくとも英語は入って いなければいけないのでしょうですが、小国が生き延びていくためには英語は 必要条件になっているようです。それにしてもスイスのエリートは4ヶ国語使 えるというのは、最低条件なのでしょうか。なかなか大変ですね。

英語がInternetの普及とともにますます国際語として認知されれば、19世紀の 国家統一の過程で多くの言語が国家の標準語に駆逐されていったように、いつ の日かドイツ語やイタリア語も単なる方言になってしまうのかも知れません ドイツ語を海外で普及する役目を担ったGoethe Institutesも、世界中で閉鎖 が続いているようです。

自国語をことのほか誇りに思っているフランスは違うのかなと思っていたら、 どうもそうでもないらしい。1994年にフランス政府は3000語の英語に代えて、 同等の意味をもつフランス語を使わなければならないという法律を作ったので すが、これは1789年の人権宣言Declaration of the Rights of Manに抵触する という決定をConstitutional Councilが出した。ただ政府の役人はこれに従わ なければならないようで、同じ表現をするのにも大臣と民間人では違ったこと になっているらしい。フランスのコングロマリットLVMHの若いアメリカ人経営 者が、パリの本社を最初に訪問したとき、フランス語が上手ではないことを心 配したようです。しかしパリに行ったら、困ったことは全然無かった。LVMHの official languageは英語だったからです。

英語の重要性はどうやらますます大きくなっているようです。ところで最近新 聞で読んだなぞなぞというかジョークを1つ。世界で一番多くの人に使われて いる言葉は何か。もちろん英語ではありません。中国語でもないし、スペイン 語でもない。前にどこかで読んだような気もしますから、知ったいる人も多い と思いますが、暇があったら考えてください。



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