失われた夢(6/15)


*Lost in America (p.24)

アメリカでヒスパニックの人々が、最底辺層を形成し、若者たちは将来への展 望が見いだせないまま、マフィア化しているという記事です。教育記事などで も読んだことがありましたが、黒人層が体制内で順応しているというか、階層分 化しているのに対し、ヒスパニック系は大多数が貧困層から抜け出せないでい る。ヒスパニック系の呼称は、Latinoを使っています。

アメリカへの移民はヒスパニックが多いと思いますが、彼等がアメリカに住み 着いたとしても、最底辺層に閉じこめられたままになっている。かつてのスラ ムの黒人層と同じようなことが起きている。実際このままの状況が続くと、こ れから10年で、底辺層の最大人種はヒスパニックになる。

しかも問題は移民たちの子供たちである。親たちは故国の貧しさを知っている から、アメリカの生活にも耐えることが出来る。しかし(アメリカ国籍をもつ) 彼等の子供たちは、アメリカしか知らない。しかも自分たちが貧しい生活をし ているのに、マスメディアからは豊かなアメリカの情報が流れてくる。ヒスパ ニックの目を見れば、彼等がどれくらいの間アメリカにいるのかが分かる。ア メリカに来たばかりの第一世代は、希望に満ちて輝いている。しかし彼等の子 供たちの目は、もう輝いていない、というわけです。

基本知識・職業訓練の不足のために、低賃金からなかなか抜け出せない。ヒス パニック系は、出産率が高いためにその人口割合は徐々に高くなっている。し かし高校中退率も、依然として高い。ここに載せられているNewsweekの数字 は、例えばアメリカ生まれの人の場合、ヒスパニックの高校中退率が17%、黒 人が13%、白人が17%となっていて、これは今までに読んだ数字と少し違うよう な気がするのですが・・・

移民の子供たちはギャングを形成している。それに困り果てた親たちが彼等を 故国に返したところ、例えば10年前はギャングが存在しなかったエルサルバド ルでは、移民の帰国子女たち(^^;がギャングの縄張り争いを繰り広げるように なった。

移民は非熟練労働者の流入として大きな問題を抱えているわけですが、アメリ カ社会は彼等を必要とするようになってきてもいる。もうすぐbaby-boomerた ちが引退するにつれて、ヒスパニックの若い労働者はますます重要性を増して くる。彼等にアメリカの未来がかかっているともいえるわけですが、問題は果 たしてその労働転換がうまくいくかということでしょう。



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