Newsweek 10/27の記事を読んでみました。
*Whose Faith Is It? (p.32) イスラエル社会の対立を描いた記事です。漠然と感じていたことですが、やは
りOrthodoxとnon-Orthodoxの間の溝は深い。Orthodoxは、ユダヤの伝統に固執
する人たち、聖書の記述をそのまま真理と受け入れ、昔風の生活に固執する人
たちでしょう。これに対してNon-Orthodoxは、ReformとConservativeを含みま
す。ConservativeはOrthodoxではないのです。政治的信条は別として、宗教と
政治を切り放して考えている人たち、ということでしょうか。あまりのいい説
明でもないのですが・・・ Orthodoxが、イスラエル国内である一定の割合を保っているのは分かります。
そうした思想を持っているユダヤ人はほとんどが、イスラエル移住したでしょ
うから、例えばアメリカのユダヤ人社会などと比べて、比率はかなり高くな
る。しかしネタニヤフの連立政権を支えるKnessetの議員66人の内、23人がそ
うしたOrthodoxに属する3つの政党の議員だということは、やはりかなりの危
険さを感じます。これではネタニヤフは、アラファトと交渉しようにも大きな
決断は出来ないかもしれない。 今イスラエルで2つの法案が議論の的になっているようです。どちらも宗教と
政治がもろにぶっつかっている。 1つはNon-Orthodoxのユダヤ人を、150人からなる宗教評議会から閉め出すこと
を狙っています。この宗教評議会は毎年シナゴーグ建設のために7000万ドルの
国家予算を使い、ユダヤの法律に基づく食事kosher dietryを定め、各種の宗
教行事を執り行うということですから、その権限は大きい。 もう1つの法律は、Orthodoxのラビだけがユダヤ教に改宗することを認める権
限を持つというものです。 これは現在既に慣習としてあるものを制度化するということのようですが、私
は今までこんなにOrthodoxの力が強いとは思わなかった。たしかに450万のイ
スラエル人口の内、6割がsecularと思っているようですから、数の上では宗教
と社会・政治を切り放して考える人が多い。しかしobservantと考える180万人
のほとんどが、Orthodox。彼らは概して頑固で他の意見には耳を傾けないと言
う感じですから、これではイスラエルがパレスチナ人との共存を受け入れるこ
とは難しいかな、と思います。 この論争が深まることは、ユダヤ人社会の分裂を招く可能性がある。さらに
ultra-Orthodoxに牛耳られているネタニヤフ政権に不信感を募らせているアメ
リカのユダヤ人もまた、イスラエルに対してこれまでとは違う態度を取り始め
た。多額の資金を提供しているアメリカのユダヤ人主流派は、彼ら自身が、
non-Orthodoxだから、資金の流れを見直し始めた。今までとは違って、イスラ
エル政府に近い組織にではなく、より目的に合う組織に流れ始めた。 このユダヤ対ユダヤの争いは、激しくなってきている。Ultra-Orthodoxは改革
派の幼稚園を開園前日にを荒らしたり、シナゴーグの窓を壊したり、家の戸口
のわきの護符をはがしたり、時にはナチスのかぎ十字をシナゴーグの掲示板に
書き込んだりと、考えられない行動を犯している。それに対して首相や大臣
は、他の国で同じことをされたら、非難の叫びをあげるのに、口を開こうとも
しない。そこまでOrthodoxの存在は重くのしかかっている。こうした野蛮な行
為は、やがて流血沙汰に発展するだろうと、Newsweekの記事は結んでいます。
かなり不気味な書き方です。 私は今までTIMEやらNewsweekでは、イスラエルの比較的理性的な考えを読んで
きたとは思っていましたが、その底にここまでどろどろしたものがあるとは思
わなかった。やはり中東での人間の情念の闇とその深さは私にはとうてい理解でき
ないのかもしれない。
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