Winnieの教訓(9/29)


みなさん、こんにちは。

Newsweek September 29から、面白いと思った記事です。

*Lessons From South Africa (p.36)
by Peter Godwin

南アフリカのWinnie Mandelaをめぐる記事です。Sunday Timesでも読みました し、今朝はThe Timesでも読みました。

Winnieが、世界的に有名になっていく過程で、それを報道し続けたGodwinが、 報道のあり方に自戒も込めて書いています。

外国特派員にとって、アパルトヘイトの南アフリカは新聞記事になりやすかっ た。平和な社会の記事はなかなかNewsになりにくいでしょうが、 不平等で不 公平で暴力が支配するところは、いくらでも世界に向けて発信できる話が転が っていたのでしょう。そしてその報道はどうしても、白黒の報道になりやす い。ヒーローがいて、悪人がいる。現実の社会は、ほとんどが灰色だろうけれ ども、時代劇や西部劇が人気のあるのは、そうした割り切りの良さでしょう。

こうした中でWinnieは誕生した。悪の秘密警察に対するヒロインの役割を世界 のメディアが作り上げた。30年間獄中にあるカリスマ的存在の、夫のNelsonの 代弁者として彼女は黒人にとっても、世界にとってもデルファイの巫女のよう に振る舞った。国の母、ジャンヌダルク、黒いEvitaとしての名をほしいまま にした。

1987年Stompie Moeketsieに筆者が初めてあったとき、Winnieはそうした名声 の中にあった。 Stompie Moeketsieというこの13才の少年のことは、このNWの 記事で初めて詳しく知りましたが、大した少年だったのですね。1500人の少年 たちを反アパルトヘイトの運動に組織し、ごみの缶のふたと石だけで、南アフ リカの軍隊と対決した。大人の活動家たちが逮捕されていく中、人々を救うた めにという理由で、毎日戦う。パレスチナの少年たちに通じるものもあります が、こちらはもっと若そうです。大人たちが逃げていく中、自分たちの方がが 勇敢だと自負していたようですし、よく捕まらなかったと思いますが、本人も 若くして死んでいくことは覚悟していたようです。

しかしその死は思いがけないところで起きた。敵によってではなく、反アパル トヘイトの同志たるべき身内から殺された。Winnieの護衛に拉致され、殺され たわけですが、現在出ている証言によれば、最後のとどめは「国の母」Winnie 自らが突き刺した。負傷したStompieを診察したSowetoの医師も口封じに同意 しなかったために、殺された。

少年の死に、Winnieが関係があるらしいと筆者は感じて、それを匂わせる記事 を書く。しかしこれは同業の記者仲間からは、反発される。邪悪な敵を利する だけだという論理です。これはどこの世界でもよく聞きます。大義名分が正し ければ、すべては許される。だから筆者を含め、南アにいた外国特派員たち は、真相の多くを知っているが、それを伝えようとはしない。地に墜ちた英雄 はこのまれないのでしょうか。それともこの場合、アパルトヘイトに対する怒 りがあったから、ここでヒロインを失うわけにはいかなかったのか。確かなこ とは、情報操作がここでは行われた。

生前のStompieに、最後にあったとき筆者は彼にたずねる。「今一番ほしいこ とは?」政治的な答えを予期していた筆者に、彼は答える。「なんでもいい の?」そして真剣に考えた後、目を輝かして言った。「バイク。マウンテンバ イクがほしい」

YUKI



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