支配者は法なり(9-29)


みなさん、こんにちは。

Newsweek 9/29の記事です。

Rulers Are the Law (p.19)

Qiao Shi(喬石)の引退は何をもたらすか。特に法改革の推進者として知られて いたようですから、それがどんな影響を中国に及ぼすか、という内容です。似 たような記事は、今週はあちこちで見られます。

私はQiao Shiが改革派の旗手ということもあまり知らなかったのですが、これ は各誌一致しているようです。そして中国の法制度の近代化に取り組んでい た、その彼が退陣したら、はたしてうまく行くのか、というのが西側の分析の 基本のようです。人治主義に変わって、法治国家にならなければ産業基盤も整 わず、中国の近代化はあり得ないということでしょうか。

記事の大部分は、中国の前近代的現状について書かれています。写真を見るだ けでもかなり衝撃的です。p.20の写真はA last meal for a group of prisonersとあります。この人たちは処刑される前に、最後の食事をこんな状 態で取らされているのでしょうか。p.20-21の写真は、公開処刑場での、処刑 直前の様子。本文にはRoute 302という処刑場のことが書かれていますが、こ こでの様子でしょうか。とにかく見物人は数千人、あるいは1万人以上いるの 感じですね。処刑した後の死体を道端に、投げ捨てたままにしておくなどの記 述もありますし、始皇帝以来2000年の伝統だといわれても、どうもこの残酷さ にはついていけない。

今年初めには新しい刑事訴訟法が制定され、被告の権利もかなり強化されたは ずです。裁判前の拘束の制限、弁護人の接見、弁護士が検察官に反論する権利 なども認められたようですし、かつてはブルジョア的といわれていた、刑事被 告人が「有罪判決までは無罪とみなされる」権利も保障された。あくまでも、 法律の上ではですが。

Amnesty Internationalによれば、去年処刑された人は4,367人。しかも窃盗犯 なども処刑されている。日本でも連合赤軍の坂口被告の死刑確定、連続殺人犯 永山則夫の死刑執行と死刑をめぐる話題が最近大きく載っていました。死刑論 議はいろいろあると思いますが、中国ではそうした議論も許されないでしょう ね。

初めに判決ありき、裁判は飾りに過ぎない。すべては共産党が仕切り、司法の 独立はない。新しい法律は整ったし、弁護士の数は急速に増加している。だか ら近代化の可能性はあるわけですが、権力を握るものの職権乱用も依然として 大きい。記事では売春婦として50日拘束された姉妹が、処女であることを証明 して判決を覆した例も紹介されていますが、普通の人の権力乱用に対する目は まだ厳しいようです。

囲みの記事(p.22)は、国家転覆罪などの、反乱罪で獄中にある人物の話。しか しその容疑がVOAに8964というcode nameで、手紙を出したというもの。8964、 すなわち89年6月4日、天安門だそうです。それ以外には手紙の内容には、なに も特別なことは書かれていないようです。というより、はたして本人がその手 紙を書いたかどうかも、科学的に証明されたというだけで、実際どうやってそ う証明したかの説明はなし。そもそも被告・弁護側には、その手紙さえ開示し ていない。いつ釈放されるかは、神ならぬ権力者だけが知っているようです。

経済の民主化は進むが、政治的・精神的民主化への道のりはまだ遠い。

YUKI



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