e-mailその後。


ふとしたことで、e-mailの世界にのめり込んだ。この場合英語で書くe-mailの ことである。最初からなかなか面白く、この年になって無我夢中になって熱中 出来るものを見つけた自分がある意味でいとおしかった。 (^o^) 

あれからほぼ2カ月。私の大体の予想では、8月の終わり頃、つまり夏が終わる と共に、熱意は冷めるだろう、そしてそこから学んだものを糧にして、新しい PCライフが出来るだろうと考えていた。いわば一種のエネルギー充電期間と捉 えていたのである。

私の予測は完全に外れた。現在の私の自由時間のほとんどが今なおe-mailに費 やされている。writing, writing さらにwritingという日々である。あれほど 読書に喜びを見いだしていた私が、TIMEもNewsweekもSunday TimesもWeb上で はおろか、毎週配達される雑誌版にも目を通そうとしない。自分自身、ここま でのめり込むとは思ってなかった。

とにかく面白いというか、刺激的というか、全くの新しい世界が拓けてきた感 じである。私のパソコン生活でいうならば、Niftyの時事英語会議室で発言し 始めたとき、InternetでHomepageを開いたときに匹敵するほどの、もしかした らそれ以上のエネルギーをこの2カ月間e-mailを書くことに費やしてきた。お そらく、私のそれまでの全人生で書いたすべての英文を合わせた数倍の英文を ここ2カ月に書いてきたのではないかと思う。

毎日最低でも10通は英文メールを出す。英文メールで何を書くかということ は、あまり悩まない。文法的エラーや、どう表現するかといった細かいことに も余りこだわらない。日本語と同じ要領で、書きたいように書いてきた。日本 語と違って英語だから、当然自分の気持ちを細かいところまでは表現しきれな い。しかしとにかく、大体のことは相手に伝えることが出来る。まずこれが最 初の驚きであり喜びだった。

相手の反応も、意外なものだった。PC通信やInternetに加入した最初の頃、掲 示板やweb上で名前を見つけたe-palというか、何人かとお互いにメール交換を したことがある。このときは日本人相手だったが、私の場合余り長続きしなか った。日本人相手ではメールでは、お互いの気配りからか、あまりプライベー トなことを書いてはいけないということが、先走りしたのかもしれない。とに かくいずれの場合も、長くても数カ月後には、あまり話すことがなくなったせ いか、自然消滅してしまった。

だから7月の終わり頃ふとしたことで海外のe-mailのサイトを見つけたとき も、あまり期待はしていなかった。ただインターネットに接続し始めた1年ち ょっと前と比べると、関連のWEBページが充実して来ているかなという感じがし た。試しに何通か出してみた。最初の反応が、思いの他良かった。それで少し 力を入れて、あちこちにメールを出してみた。それからは、もう無我夢中とい う1語につきる。まあしかしまだ2カ月しか経っていないのだから、実験として みればかならずしも結果は出ていないとも言える。ただどうやら前の時とは違 うな、という漠然とした予感がある。

原則としてテレホーダイの時間内にしかInterenetに接続しなかった私が、 mailを数通書く度にInternetに接続する。すると新しいメールがまた入ってい るから、それの返事を書いてまた送る。するとまた新しいメールが入ってい る。こういうわけで、現在は昼間の間だけでも数回はメールの確認と送付だけ のために、インターネットに接続している。ここ2カ月近くで、どれだけのメ ールを書いたのかは、自分でも分からない。

私は最初の2回までは自己紹介をかねた定形のものを用意している。もちろん 相手からの返事次第では、その内容を少しずつ変えて返事を書くことになる が、基本的には2回目のやりとりまでは、真の意味でのe-mail交換とは言えな いと思う。だから最低でも3回目からが、e-mail交換ということになるのだ が、多分この段階以上のやりとりだけでも、この2カ月近くの間に1000通以上 のメールを出したのではないかと思う。我ながら、信じられないような数字で あるし、e-mailだからこそ実現できた数字でもある。snail mailでは、とても こうはいかない。

ほぼ毎日やりとりをしている人も何人かいる。さすがに話題がつきかけてきた かなとも思うが、例え短くとも必ず挨拶以上のものを書くことにしている。毎 日確実に1回以上、そして時には1日に4・5回のやりとりを何回かしたこともあ るという人もいる。この人とのやりとりは確実に100往復は越えている。これ だけ書くと、ある種の遊び心も必要になってくるし、さすがにいつまで続くか はわからないが、不思議に義務感とか窮屈な感じがしない。やはり楽しく書い ている。だから多分これからも、ペースは落ちてもまだ続くと思う。

今の私の心境を表せば、信じられない世界を見つけてしまった、ということだ ろうか。まさか有り触れたものと思っていたe-mailの世界にここまでのめり込 むとは・・・当然後戻りはもはや出来ない。おそらくe-mailの世界から完全に 足を洗うことはもう不可能だし、少し熱意が冷めてくるとしても、e-mailはおそ らくこれからも私のPC生活の中で大きな比重を占めて行くだろう。確かに世界 の方が広いわけだから、e-mailの相手も世界に求めた方がいいのかも知れな い。e-mailの世界を知って、私がもう少し若かったら、という気持ちも少しし た。しかしこれだけ面白い世界を知っていたなら、悠長に読書にひたることは 出来なかったろう。そう考えると、確かにすべてのことには時期というものが あるのだ。なんだか、もう1度「伝道の書」を読みたくなった。

この経験を通じて、私は日本語のe-mailの将来にも期待を持っている。現在の 私は友人・親戚を含めて、日常生活で近い人とのe-mailの経験があまりない。 姪を含め、何人かからもらっているが、これらの人たちはまだほとんどが Internetを十分に利用できる環境にない。しかしInternetやe-mailが当たり前 になったとき、既に一部の人は経験していることだろうが、私の生活も変わる だろう。差しあたりは、故郷を離れた者や、今は年賀状を交換したりするだけだ が、かつて親しかった友人達とe-mailを交換することを楽しみにしている。彼 らが早くe-mailに親しんでくれないかと思っている。見知らぬ人ではなく、実 際に知っている人たちとのe-mailが中心になったとき、私のe-mailも確実に何 かが変わると思う。この場合と、現在の海外とのe-mail交換は、楽しみ方が少 し違うかも知れない。現在の方が、相手が見えないだけに、面白いかもしれな い。まあ、しかしこの結論は将来のために保留しておこう。

おかげで、この間、私のPC生活のすべては一時中止の状態のままである。 TIME/Newsweekの記事の感想を書くこと、HPを更新すること、Mailzineを発行する こと、それに新しいプロバイダーのリンククラブに入ったが、こちらの環境 整備をすることなども含めて、すべてが中断状態のままである。本来なら、PC 生活でかなり大きな出来事が続いているから、数回の感想を書いていてもいい このDiaryにしても、ようやく今日書く余裕が出来た。ここまでも、夢中にさ せたこの麻薬的なe-mailの世界は何なのか。

それはおいおい分かって行くだろう。今は、ありきたりの感想を書いても仕方 がない。

ただ気づいたことは、いくつかある。私自身十分な整理はついていないから、 断片的な感想になるし、果たしてこれが一般的に言えることなのかどうかも分 からないが、新鮮さが無くならないうちに、少しは大げさに、思いつくままに 書いてみる。ただし断片的だし、これですべてというわけでもない。

1. 海外の人は案外、大手の無料のアカウントを利用している人が多い。 yahooとか、hotmailとかである。学生とか、会社から利用しているとか、そう いった人がおそらく個人用として利用しているのではないかと思う。まあもち ろん他にも利用法はあるようだが。もしかしたら日本でもそうなのかもしれな いが、少なくとも日本人で、こうしたアドレスを利用している人は、今まで私 は知らなかった。それにアメリカの場合、webTVの利用者が案外多い。Sonyも 出しているらしいこのTVがどうして日本で普及しないのか。内蔵モデムの速度 は私のMACより速いらしい。値段が2・3万だということのようだから、日本で 売りに出しても5万で買えると思うのだが、日本ではほとんど聞いたことがな い。日本で問題になるのは電話料金だろうか。とにかくプロバイダーやいろい ろな知識が不要だと思うから、Internet接続だけに的を絞ったこの製品の可能 性は大いにあると思う。日本人の完璧主義がパソコンでなくては満足しないの だろうか。

2. これとも関連するが、大学や会社からInternetに接続している人は案外多 い。もっともこれは日本でも当てはまることだろうが、私とはあまり縁がなく て今まで気づかなかったのだろう。仕事中に夢中になって個人的メールを書い ている人も結構いるようだ。まあこれはどれくらい各国の差があるかまだ分か らない。日本でも、この不況下、個人メールの管理は厳しくなっていると思う のだが、外国は案外おおらかなところもあるようだ。

3. 学校の新学年度が何時始まるのかは、日本の4月入学は少数派だと思って いた。圧倒的多数は9月入学だと思っていた。しかしこれは必ずしもそうでは ないかもしれない。マレーシアやオーストラリアは1月からだということのよ うだ。しかしマレーシアの副首相の解任のNewsを聞いたのもe-palからだった し、私が持っている結構詳しい世界地図にも載っていない村の人からメールを もらうと、同じ情報でもいかにも一次源情報という気がしてくる。私の場合ど うしても、こうした一次源情報が少なかったからなかなか面白い。漠然と情報 を仕入れていたときよりも、はるかに情報がいきいきとしてくる。もちろん個 人の持つ情報の限界というものはあるだろうが、当たり前の知識でも私にとっ ては新鮮に感じられてくるから不思議だ。

4. 最初の数回のやりとりでは、相手の姿が見えてこないが、徐々に姿を現し てくる。これはまあ当然だろうが、なかなか面白い。ただ外国のe-palはお節 介な人が多いのか、自分の写真やらjokeのNewsletterを送りつけてくる人が多 い。私は日本のe-palとは、写真交換はおろか、住所を教え合ったこともな い。しかしe-mailに写真を同封してくる人は案外多く、スキャナーを持たない 人はsnail mailで送ってくる始末。私は写真にあまり興味がないといったら、 too personalな人だといって怒られたこともある。仕方がないから、私も snail mailを含めて、e-mailで自分の写真を何人かに送った。

あるいはカレンダーやら、何か収集品が有れば送ってあげようといってくれる 人もいるが、これは今の所断っている。しかし多分これは当たり前の感覚なの だろう。私も海外とのe-mailだからといって別に構えることなく付き合えばい いと思っている。jokeを好意で送ってくれる人が多いのも、彼らにとってユー モアやジョークがいかに大切かを改めて感じる。ジョークは難しいのも多いの だが、直接解説してもらったりして、研究している。ユーモアやジョークに対 する感覚が違うような気もするが、英米系以外の人には通じないものもあるようだ し、英語の知識プラスアルファが要求される。

5. ICQというサイトがあって、チャットなどや、直接話が出来るらしいのだ が、ここに入っている人が案外多い。私も一応アカウントはもらっているのだ が、まだ本格的な利用はしていない。というより、現在のe-mailに加えてチャ ットや直接会話まで進んだときに、はたして自分で自由時間を管理できるかど うかの自信がない。これらにのめり込んだら、私の時間はいくらあっても足り なくなる。しかしまずはおずおずと、現在のe-palとのチャットやら会話を楽 しんでみるつもりだ。直接自分が調べるより、相手が知らず知らずのうちに教 えてくれる情報で貴重なものが案外有る。

6. 世界を見る視点が急に生き生きしてきた。私のような田舎に住むものにと っては、今まで世界と直接向き合う機会はそんなに多くはない。多くの外国製 品は持っている。外国のNewsはあらゆるメディアから流されている。Internet を通じて外国の情報は手に入る。しかし直接そこに住むものから聞く情報の新 鮮度は違ってくる。もちろん大きな話題であれば、TIMEなどを通じて知ってい るから、私の方が詳しいこともあり得る。しかし率直な感想を通して、e-pal の住んでいる国が急に具体性を持って現れてきた。全く無名の砂漠地帯の小さ な村の人が、自分の家族の歴史を書いてくる。e-pal各人が、例えばオースト ラリアやマレーシアの代表でないことは知っているが、オーストラリアやマレ ーシアという名前と彼らの名前が直接結びつくようになった。抽象的な国家で はなく、具体的なe-palの住む国家としてイメージされるようになってきた。

7. 私のe-palは案外平均人が少ない。もっともこれはe-mailに限らないと思 う。解剖の教科書に載っているのと全く同じ人体は無い、というのはよく聞く 言葉であるが、人間はすべてが各人の個性を持っている。そうした意味で、彼 らはMr. Everymanではないし、Ms.Everyoneではない。重病にかかりながら、 将来の再起を諦めていない人がいる。アメリカで差別に悩むジャマイカ出身者 もいる。犬多数に囲まれて、暮らしているちょっと変わった人もいる。こうした人たち の、集合体が社会なのだ。そうしたことに気づくと、私の場合急速に政治・外 交の世界が色あせて、こうした個人の世界が面白くなってきた。これはかなり重傷か なと自分では思っている。はたしてそのうち回復できるだろうか。

8. シンボルマークが違うのにはすぐ気づいたし、BTWとかASPとかの略語や ら、uとかur,さらには2 u 4everなどと言った判じ文字にも慣れてきた。 Later alligatorなどの慣用句、そうしたものを少しずつ覚えた。私の場合、日 本語では、そうしたマークを使うことに抵抗があって、慣れるまでは少し時間 がかかったが、英語の場合すんなりと入っていけた。日本語と違って、英語の 場合微妙な感覚がわかりにくいだけ、抵抗が少ないのだろう。この辺は外国の ものという意識があるせいか、てれとかそうした感覚が少ないようだ。

まだ少しはあるのだが、さしあたりは中間のレポートとしては、これくらいに しておく。英語の方が、自分の気持ちを率直に表現できるという面もある。私 の神経・感覚は案外単純なようだと改めて気づいている。あまり複雑な人間で ないことは、再確認した。

おかげで、これからの最大の目標であるEnglish Essayやら、Homepageの再編 成がなかなか進まない。これから少しずつ、マイペースで充実させていこうと 思う。しかしよく考えてみれば、私の今年のPC生活の目標の1つに、英文HPを 作るということがあったと思うが、まだ本格的ではないけれど、案外簡単に実 現できた。経済記事の比重を高める、という目標はもちろんますます遠のくばか りだが・・・

今年の最後あたりに、e-mailについての感想がどう変わっているか、楽しみに 思っている。

1998-9-21



感想はこちらに・・・YHJ00031@niftyserve.or.jp
Internetの場合は・・・ohto@pluto.dti.ne.jp


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