情報の大海の中で


Internetを初めて、1年少し。未だに、情報をどうやって整理したらいいのか が分からない。

最初は情報がたくさんあるから便利だ位の感覚だったが、このごろは果たして 自分にとって必要な情報は何なのかが気になってしまう。もともとInternetで 得られる情報は有っても無くてもそんなに変わりがないか、という想いが心の どこかに残っている。いわば、Internetで得られる情報は、無ければ無いで、 別に困らないもの。そしてもう一方の極にあちこち情報の中を漂っている自分 がいる。

例えばあるところでは8000あまりの世界の新聞・情報源にリンクしている。こ れはアメリカのサイトだから、もちろん英語だけ。他では日本語の新聞ももち ろん数多く読める。最初は例えば朝日新聞をWEB上で読んでみて、案外量的に 少ないかなと思っていたが、実際配達されてくる紙面を見るとそんなことはな い。かなりの割合で紙の本紙をカバーしている。それにNEWSがweb版が早いの は当然としても、紙の新聞の方が2・3日遅れると言うことも、珍しくない。こ れは特集記事などに多いようだが、私の住んでいる地域性もあってNewsなどで も必ずしも珍しくはない。

最近では、同じ記事でもWEB上で読むほうが朝日でもTIMEでも、読みやすいと 思うようにさえなっている。これは一体どうしたことか。

Internetに入りたての頃感じたのは、例えばNew York Timesは、1カ月だかの サービス期間終了後は購読料が必要だし、朝日の場合もDATA BASEを利用する には、やはり特別料金が必要になる。だから全体の流れとしては、有料化の流 れの中にあるのかなと思ったのだが、必ずしもそうではないらしい。

英語に限れば、NYTなどの特殊例を除いて、大体無料でそのまま読める。The TIMES, Washington Post, Los Angeles Times, Chicago Tribune, International Herald Tribuneなどの高級紙・一般紙はもちろん、The Daily MirrorやNew York Postなどのタブロイド紙も読める。雑誌の方はすべて無料 というのが必ずしも主流とはいえないが、たいていの人がそれぞれ興味を持っ ている分野で多くの情報を楽しむのには差し支えないと思う。

新聞に加えてCNNやらBBCも、それに私が最近では毎日のように接続している ExciteやYahoo!のような検索サイトでも、最新のNewsを流してくれる。こうし た中で人々の好奇心は満たされるのだろうか。私の場合、新たな好奇心が起こ るというより、逆に情報に対する麻痺が起きているような気がする。

毎日あちこちから膨大な情報を仕入れたら、しかもあまり関心のない分野も含 めて処理限界を超える情報が入ってきたら、逆に本当に大切な情報は何かの判 断力は麻痺してくるような感じがしてきた。バランス感覚の欠如というのか、 自分が考える暇もなく、ただ多くの情報を受動的に取り入れることが良いとは 限らないと思えるようになってきた。

そしてこうした情報の氾濫は必ずしも人間を自分とは違う思想に対して寛容に するとは限らない。一昔前だったら、自分にとって未知の情報を多く取り入れ ることがその人の考え方にゆとりを与えた、という面があったのではないかと いう気がするのだが・・・

現在のInternetは知識も欲望も利用者の心の底に潜在しているある一面だけを 巨大化させる危険がある。専門家はますますたこつぼ化し、欲望は暴走する。 そうした危険性をはらんでいる。これは最近あちこちで見聞きするInternetの 影にもつながってくる。

私にとっても理想的なのは、あちこちの新聞や雑誌を拾い読みするのではな く、英語の新聞なら例えばThe Timesならそれだけ1紙を定期的に読むようにす ることだ。現状は全然読まないか、読むとなるとあちこちつまみ食いというこ とになってしまう。

1年くらいたてば、INTERNETも少しは落ちついた利用法が出来てくるかなと思 っていたが、必ずしもそうではない。時間的には落ちついてきた。朝方に接続 するだけになっているから。しかし利用法はまだ分からない。いっそ新聞やら 雑誌やらそうした情報源のHPは全然利用しないようにしようかとさえ思ってし まう。限られた時間しかないのに、新聞や雑誌などを読むだけに自由な時間の かなりの部分を費やすことにふとむなしさを感じる。

果たしてあと1年たったら、このInternetに対する想いは変化しているだろう か。多分Internetを利用することは止めていないとは思うのだが・・・

1998-5-6



感想はこちらに・・・YHJ00031@niftyserve.or.jp
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