PC電話


去年からつなぎたいと思っていたPC電話をようやく実現できた。

昨年もMediaRingのサイトに行っていろんなことをしてみたが、どうもうまくいかない。そのうち忙しくなったし、ついそのままになっていた。

しかし今年になってもどうしてもあきらめることが出来ない。正月明けまではいろいろ忙しかったし、少し怠けていたのだが、最近ようやく落ちついてきたので、今回はどうにかPC電話を接続しようと思った。しかし特別に新しくしたことがそんなにあったわけではない。マイクの問題はクリアしている。ソフトのダウンロードの問題も多分クリアしている。MediaRingのユーザーに登録が出来たのか出来ないのか、このへんだけが問題のようだった。確か去年は何回かやって登録出来たように思っていたのだが、確認してみてもはっきりしなかった。今回もう1度最初からやってみてどうにか登録できたようだった。一応私のNicknameも表示されるようになったし、新しく登録しようとしても既に登録されているというメッセージが出てきたから確実だ。

それで試しにMediaRingの登録リストに出ている人の何人かに電話をかけると、確かに相手に電話をかけているような呼び出し音が聞こえる。しかし通じない。あとから考えると多分このときには、すべて必要な手続きは完了していたのではないかと思う。

しかし私はここでもう1つのことことにも気づいた。それは市内電話番号の問題だ。私は自分の住んでいる市のプロバイダーではなく、長崎市のプロバイダーにつないでいる。だから当然市内局番が違う。このへんは番号のところを1桁増やすことでクリアしたと思っていたのだが、そうでなかったのかもしれない。この辺も去年はうまく行かず悩んだところであった。しかし今回はこれもどうにかクリア出来た。

だから早い段階でするべきことはしてしまっていたし、他に何をしたらいいのか分からなかった。ただMediaRingのHPが接続する度に違った画面であるのも混乱の一因だった。URLが同じでいろいろ変わるから、リンクを貼ったページが前と違う画面になるのである。最初のうちは前回行けた登録リストのところにどうしても行けなかった。これで悩むのは私だけではないようだ。

もうこれ以上する事もないから、ほとんどあきらめかけて、放ったらかしにしていた。すると1月13日の早朝、net surfingをしていると、突然MediaRingの呼び出し音がなった。どうやら誰かがPC電話を通して私にコンタクトを取ってきたらしい。

始めてのPC電話であるから緊張した。まずはacceptのボタンをクリックしたが、その次のやり方がよく分からず、少しあわてた。

こちらも何を言ってよいか分からないから、最初はもしもしとかhelloとかいろいろ言っていたが、どうやら日本人ということですぐにおちついた。中国に住んでいる日本人の方だった。どうもPC関係の仕事をしているようなので、このときは一応知識としては知っていることを確認する意味で、MediarRingや他のこといろいろと教えていただいた。どうやら私も間違ったことをしていたわけではないらしい。このときは大体30分ちょっと話したと思う。とにかくこれで私のPC電話は通じることが証明されたわけであるから、安心した。女性には次から次にかかってくるが、男にはほとんどかかってこないらしい、ということも確認した。とにかく1回目のPC電話としてはかなり幸運な滑り出しだったし、私にとっては忘れないPC電話になった。

それから何日かして面白い電話を受け取った。ロンドンの33才の男性からかかってきたものである。それがPC電話を使って英語で話した始めての時というわけではなかったが、前の時はほとんどあいさつ程度だったから、実質的には最初みたいなものである。30分ぐらい話したが、内容も印象に残っているし、何より英語で話したということでこの電話はさらに大きな意味を持っている。私は何人かのe-palと以前に何回か話したことはあるけど、時間的にこんなに長く話したのは初めてだった。しかし今回が状況としてははるかに悪い。音声は悪いし、ときどき回線が切れたりする。だがこれは最初の一歩としてはそんなに悪くは無かったように思う。 私は自分の言語を日本語にしている。ICQと違ってMediaRingは複数の言語登録が出来ないし、当分は日本語で楽しもうというわけだが、どうもそんなことはお構いなしに英語でかけてくる人がいるらしい。これは日本人のe-palで既にPC電話を楽しんでいる人からも聞いていた。このイギリスからの電話もいきなりかかってきたのだが、多分これは多いに歓迎すべきことであった。

しかし見知らぬ人から英語でPC電話を受けても、相手の言うことがさっぱり分からない。回線の調子が悪いと日本語でもよく分からないことがあるからから、これはし方がない面もあるのだが、発音がどうも聞き慣れたものと違うのである。Queen's Englsihでもあまり聞き取る自信はないけど、ここまでbrokenな英語だとは思わなかった。最初から戸惑いの連続だった。どうやら相手は私に英語を話せるか聞いているらしいので、少しは話せるといって、会話は始まったのだが、会話が進んでも簡単な単語がさっぱり聞き取れない。

一応私は英語は読めるということを相手に伝えて、スペルを聞くのだけども、このスペルを言う時にもノイズが入ったりして、よく聞こえない。例えば相手の好きな食べ物が何であるかさっぱり分からない。hqurrcumとかいうのだが、こんな単語があるわけない。相手は何回もyumyumというし、私もyum-^yumとかyummyがおいしいという意味であるくらいは、e-palとのメールで使っているから分かるのだが、肝心の料理名が分からない。これは相手がcarをcirとかいって、私がvehicleまたはautomobileか?と聞きなおしたとき、そうだと言ったから、相手もスペルを勘違いしていると言うことは十分にありうる。このへんはe-mailなどを通じて、日本人と同じようにスペル間違いというのは極めてありふれていると言うことを知っているからそう感じたのだが、carのような簡単な単語のスペルを忘れると言うことがあるだろうか?

そのうち相手がPlaystationだとかPokemonを知っているかと聞いてきた。これらも最初は聞き取れなかった。どうやら彼はこうしたものにえらく興味を持っているようで、日本では簡単に手に入るのか、いくらかなどと聞いてきたけど、私はもともとこうした情報はあまり知らないから、知っていることだけ言って、あとはよく知らないと答えておいた。

彼に職業は何だと聞くと、どうもactorといっているらしい。最初は分からなかったけど、filmだとか何とか言っているからmovie starか、と聞くとそうだという。どんな映画に出たのだといったら、porn movieに10本くらい出たのだという。どこまで本当かは知らないが、これを聞いて、私をからかっているのかなと思った。というのもこのPC電話、私が話したことがちょっと間を置いて相手に伝わるのが聞こえるのである。日本の場合そうでもないが、海外の場合特にそうなるようだ。それがなんとなく、ざわめきに聞こえる。それに笑い声も聞こえる。それでこれはきっと仲間と悪戯電話をしているに違いないと思って、部屋には何人いるのかと聞くと誰もいないという。それでTVをつけているのかと聞くとそうだという。そこでTV番組の紹介をしたし、ロンドンでは夜の10時近くで、これから夕食を食べるといっていたから、多分そうだったのだろう。しかしTV音と普通の会話音の区別が全然つかなかった。

おまえはhumorという言葉がわかるかというから、わかるといったら、humorやproverbについていろいろ教えてくれたけど、私が聞いたことのないようなものだった。cowが何とか変なことを言っていた。どうも普通知られていることわざではなかった。しかし肝心の英語が分からないのだから、果たして彼の言っていることがどこまで本当かまでは分からない。最初は不真面目な電話のようだから、適当にやっておこうと思ったけど、案外まじめなようにも聞こえる。この辺は最後までよく分からなかった。今考えると案外まじめだったんじゃないかと思っている。

おかしかったのは、私の年を聞いたとき。当てて見ろといったら、sixtyと言うから、もっと若いというと、fiftyか, fortyかと聞いてきた。しかし最後のほうになってどうやら、語尾は-tyではなくteenらしいと分かった。どうも私を10代と思っているらしい。このとき前に日本の19才の学生と話した時に相手が「僕より年上ですよね」と自信なげに聞いてきたことを思い出した。確かに私もあまり上等とは言えない音声の情報だけでは、相手が何才かは分からない。そこであなたよりずっと上だと言ったら、どうも想像がつかなかったらしい。考えて見れば、私の世代で、PC電話を楽しんでいる人は極めて珍しく想像できないのは海外でも同じかもしれない。

こういう調子だから、お互いに勝手に喋りまくっている漫才をやっているようなものだった。私のあまりにも舌足らずな英語にあきれたのか、後になるとゆっくり話すようになったが、多分私の英語力に関しては、最後までよく分からなかったのだと思う。極めて簡単な英単語が聞き取れないかと思うと、結構長い文章を一気にしゃべりまくる。これは私にも意外だったが、こちらで言いたいこととなるとあんがいすらすらと出てくるようだ。まあe-mailで書いているような、書き言葉風のことを一気にしゃべりまくったりしたのだが、相手もそのギャップに少しはおどろいたかも知れない。そのニュアンスまではつかめなかったが、私の長い発言の後にはまともな答えをしなかったところを見ると、言っていることがよく通じなかったのかもしれない。

最初は私には相手があまり英語をしゃべり慣れていないアジア人の移民か何かと思えたから、本当にロンドンで生まれたのかと聞くとそうだといって、わざわざロンドンのつづりLONDONまでゆっくり言ってくる。My Fair Ladyでも有名なcockneyについては、少しは知識はあったのだが、あれがそうだったのかどうか、位までもよく分からない。dayはデイではなくダイとしか聞こえない。以前こんなのはどこかで東南アジアで使われている、とか聞いたような気がしたからアジア系だと思ったのだが、ロンドンっ子もこんな風にしゃべるのだろうか?

とにかくいろいろと話しをしていたのだが、午前7時過ぎには例によって私のInternet回線は混雑するので、相手の声は聞こえるのだが、こちらの声がどうも届いていないらしい。お互いにAre you there?とかhello.と言い合っていたけど、結局どちらからともなく切れてしまった。

あまり内容的に濃い事を話したわけではないのだが、それでもこの電話はなかなか面白かった。私の聞き取り力が貧弱だということを再確認したのは当然として、どうやら相手が言っていることさえ分かれば、こちらからは結構いろいろと会話を続行できるということだけはわかった。しゃべることにはリスニングほどあまり不自由しないようなのだ。まあこれも相手に通じるかどうかと言う問題は残っているわけだが、私の英語力ではそのレベルまでは達していない。

PC電話を実現したいと思った最初の動機が、英語で話したいということだったから、どうやら最初の1歩は踏み出したし、その感触もそんなに悪くない。今年の目標は特別に決めなかったが、去年と同じListeningとspeakingの実力UPということにしておこう。そしてそのためにこのPC電話を出来るだけ活用したいと思っている。

今までそんなに多くの人と話しをしたわけではない。メールと違って、PC電話となるとやはりまったく見知らぬ人に電話するのは少しためらいもあるから、こちらからは予想していたほどかけていない。これはICQと違って、相手の情報がほとんどわからないということもその一因だ。性別・国・言語・趣味くらいはわかるのだが、肝心な年齢がわからない。私が一番年上だと思っていれば、多分間違いないと思うのだが、さすがにこちらから10代の若者にはかけにくいところもある。それに案外電話そのものがつながらなかったりする。私も1回だけPCをつけたまま寝転がっていて、間に合わなかったことがある。

普通早朝e-mailを書いたり、net-surfingをしている時に、1日に1・2回はかかってくる。MediaRingが宣伝している割にはPC電話を利用している人はまだそんなに多くないのだと思うが、まあ反応は少しずつある。日本人の場合は、いずれも初心者が多いようだ。2日続けて、PC電話で話すのは私が初めてと言う人から、電話を頂いた。どうも日本の男性はみんな、PC電話を始めたもののはたしてつながっているのかどうかという私と同じ悩みを持っていたらしい。私がInterenetにアクセスしている時にPC電話のリストに載っている人は、全世界で1000人から1700人くらいである。日本人は、大体が20人か30人くらいのようだ。まだまだ少ない。これは時間帯が少し不便だからかもしれないが、PC電話はまだまだこれから普及して行くのだと思う。

しかし今e-palの中でも何人か興味を示しているようだし、そのうち定期的に話す相手も出てくるだろう。チャットの時とは違って、まだ話し相手が少ないこともあって最初からICQと同じように夢中というわけにはいかなかった。だが、このPC電話はこれからもずっと利用していくだろうと思うし、これは私のPC生活の出来事でもかなり大きな物になるだろう。

現在ではいくつかのサイトでは、ラジオ放送などでニュースなどが音声で聞ける。あるいは一部ではテレビ画像も見れる。さらに映画のサイトもある。まだメモリーの関係もあって、画像も悪く小さいから、それを楽しむという状況ではないが、これらは確かに未来のものである。PC電話も含めてこれらの技術がさらに向上していくことは間違いないだろう。私はまだあまり出来は良くないその未来を少しだけ先取りして楽しんでいるのだと思う。そして私自身は出来ればこれを多いに利用したいものだと思っている。

2000-1-17



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