「英語を読む」 No.42


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「英語を読む」  No.42  1998-7-28日 発行     

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

***********************************************************************

みなさん、こんにちは。

今回の「英語を読む」は、初めて投稿だけで、発行することになりました。私 の方は、暑いせいか、いろいろ書きたいことはあるが、怠けてしまいました。

今回はForbesの記事の感想があります。ビジネス誌は、Forbes,Businessweek, Fortuneを含めて大体WEB上で読めるようです。News性の強い記事は、他のと ころでもいろいろ読めますが、ときどきはこうしたものもいいかもしれませ ん。私も去年の今頃は、一時期、Economistを結構まじめに読んでいました が、今年に入ってからアクセス状況が私の方からは余り良くないので、そのま まになっております。

朝日新聞で森茉莉の「贅沢貧乏」が、若い女性に人気があるが、絶版になって いたので違うところから、再版されたという記事を読みました。私は新潮社の ロマンとエッセイシリーズとして発行されたのを持っているから、探し出して 読んでみました。確か新聞には、Simple is Best.の生活を表すものとして、 森茉莉のこの著作が読まれている、と言うようなことでしたが、私には少し不 思議でした。周囲を気にせず、自分の想像だけの世界を作り上げた彼女の生き 方は、読んでいてもなかなか面白いのですが、やはり私にはこれを読む人のど れだけが、彼女の生き方に共感するだろうかと不思議に思いました。

夏は思い切って、日本語の本を読み映画をたくさん見るかもしれません。こう したものの感想は多分書かないと思います。英語も、感想を書くためにだけ読 むというのもときどきむなしくなります。Asimovの作品も少しは読んでいます が、短編の感想を書くのもちょっと・・・という感じですね。読書は私には、 ただその世界に遊んでいるときが一番楽しいようです。

しかし今週のTIMEは、あまり面白くなさそうなのですが、8月も週に1回発行く らいのペースはどうにか維持しようと思います。

1998-7-28

***********************************************************************

目次
1. 気になるNewsweek 98-7-27 by  MicroWorldNews
2. Internetビジネスの企業家たち (ForbesGlobal 98-7-27)
by MicroBusinessNews
3. 解説「英語を読む」 No.39, No.40 by MicroWorldNews
4. New York Timesが選ぶ今世紀の英語小説 Best 100 by MicroClassics

***********************************************************************

1. 気になるNewsweek 98-7-27

***********************************************************************

今週のNewsweekでは、Special ReportとしてBill Powell氏他による3つの記 事で日本の実状を特集しています。日本の窮状が世界の読者にどのように伝え られているか、読者の皆様もぜひ英文で一読下さい。

まず"Loosing Patience" では、参院選での自民党惨敗と総裁選についてレポ ートしています:小渕氏については「忠順で無害な議員」であり、「国民から はダサイといわれ」、「毎日新聞によればゴルフ場での資金集めが得意」との 紹介。梶山氏については、「金融問題に去年から注目していたのは評価されて いた」が、「建設業界との癒着から変革の旗手とはみなしがたい」との評。

また今後の政局分析として:橋本氏に見るごとく、首相の評判はその実行力を 裏付けるものではない。市場が期待する経済課題の速やかな処置は難航しそう だ。高齢化社会では恒久減税が消費拡大に貢献するかは疑問だし、金融破綻処 理とBigBanを同時に進めたとの党内批判でBigBanを繰延べるなら国際的には受 入れられまい。新参院勢力により新政権は身動きがとれなくなるだろうか?そ うとばかりもいえない。2年後に選挙を控えた自民党衆院議員らも今回の結果 を変革への要求として真摯に受けとめているはずだから。

"The Lost Decade" では、不況下の国民の窮状をレポートしています:山一の 破綻で40年の蓄えを失い退職後もビルの清掃をしている62才の男性。1985 年に創業した会社を10年後取引先ノンバンクの破綻を契機に失った事業主。妻 がとめなければ自殺していた、という。破産企業家が債権者から保護される米 国と違って日本の倒産は深刻である。製造拠点をマレーシアに移す大手電機メ ーカ。米国と違って規制緩和が進まずサービス産業が雇用を吸収できないの で、製造業の雇用削減は深刻である。

1975年から20年間毎月陳情に通い続けようやく道路を完成させた自治体の副 知事は中央集権の非効率を嘆きさらなる規制緩和を訴える。外国人記者に日本 の凋落を予感させた出来事が1993年にあった。ある大蔵官僚が記者らを豪華な 食事に招き英訳したばかりの冊子を配布した。それには、日本の資本主義は米 国のそれとは異なり、より優れたものであると書かれていた。席上この官僚は 自分とサマーズ財務官との非公式な会話についても率直に打明けた:
都内有数のフランス料理店で$500のワインを飲みながら、2人は世界不況の可 能性や日米の金融破綻が経済破綻につながる可能性を論じたのだという。その 一言で為替レートが変動したのでミスター円とも呼ばれた榊原参事官の話であ る。5年後にどうなったか。榊原氏とその同僚たちは、当時の熟考が奇しくも 的中しないよう奔走しているではないか。

"Stepping Out" では、未来を担う日本の若者たちの行動をレポートしていま す:
興銀勤務10年でCornell大MBAも取得した年収10万ドル、33才の男性は退職 して出版社を創業。地位や金より精神的満足を選んだという。
東大慶大早大の学生たちの海外留学・会社設立・外資系企業への就職が急増し ている。
新卒者の公務員志望が減り、製造業就職が増えた。Boston大経済学修士の24 才の女性は東京で職を探したが結局外資系に就職、現在はIMF東京支局で活 躍中。日本の大学ではスペシャリストが育たないのが問題と指摘する。
労働省調査では15-29才の17%が会社設立を希望している。ビジョンをもった人 が多いという。こういう人たちが政治家でないのはちょっと残念。(Rather a pity that none of them run thegovernment.)

こうした日本国民の実態が世界の読者に知られることにより、変革が加速する ことを期待しましょう。国民の声より外国の声に耳を傾ける政治家も少なくな いようですから。私たちにも、米国との制度の違いや相変わらずの大蔵官僚の 実態など、なかなか興味深い情報だったのでは?なおサマーズ氏の当時の論文 "Planning for the Next FinancialCrisis" は、Feldstein編「経済危機」( 東洋経済、1992)に邦訳されています。

by    MicroWorldNews

***********************************************************************

2. Internetビジネスの企業家たち (ForbesGlobal 98-7-27)
by MicroBusinessNews

***********************************************************************

*Surf's Up!  Internetビジネスの企業家たち (ForbesGlobal 98727)

本文はこちらで: http://www.forbes.com

Internetはすばらしいがビジネスの方法がわからない、といわれたのは数年前 のこと、今ではInternetも本格的になったが大手にのっとられてしまう、とも いわれている。さてここに紹介するのはInternetビジネスを成功させた13人 の若い企業家だ。

(1)Jeffrey Bezos (Amazon.com) 34才
  わずか3年でWebビジネスの最大手に。1日57000冊の書籍を販売。
(2)Jerry Young(Yahoo!) 29才
  学生時代に創業したYahoo!はあまりに有名。最近は大手も続々参入。
(3)Halsey Minor(Cnet) 33才
  コンピュータ業界人必読のオンラインマガジンサイト。
(4)Shikhar Ghosh(OpenMarket) 40才
  Disneyなど1000サイトが使用中のオンラインショッピングソフトを開発。
(5)Robert Glaser(RealNetworks) 36才
  Webサイトでライブオーディオコンテンツを提供するソフトを開発。
(6)Larry Rosen(N2K) 58才
  有力サイト6600件を巻込んだ営業戦略で急成長したオンラインCD販売。
(7)Michael Levy(SportsLineUSA) 51才
  W杯情報を6カ国語で提供したビジタ数1日60万人のスポーツサイト。
(8)Gil Shwed(CheckPoint) 30才
  Firewallソフトの最大手。Microsoftの参入でハイエンド製品に特化?
(9)SkyDylan Dayton(EarthLink) 26才
  全米規模のアクセスプロバイダ。毎週新規加入者6500人で成長中。
(10)Henry Thompson Nicholas(Broadcom) 38才
  ケーブルモデム用高速通信チップのメーカ。
(11)Kevin O'Conner(DoubleClick) 37才
  マルチメディアInternet広告の大手。
(12)S.Jerrold Kaplan(Onsale) 46才
  オンラインショッピング何でも屋さん。
(13)Josef P.Firmage(USWeb) 27才
  31社を買収して創業したサイト構築サービス。

先月はDisneyがInfoseekの43%を買収したし、大手の資本参加が積極的なの は事実である。しかし大手の買収により創業者は莫大な金額を手にしているの だ。現在世界のInternet利用量の55%が米国、第2位は8%の日本である。 日本の若き企業家に期待したい。

by MicroBusinessNews

***********************************************************************

3. 解説「英語を読む」 No.39, No.40 by MicroWorldNews

***********************************************************************

No.39の音楽の記事といい、No.40の日本の政治の話など、NYTもましな記事を 書くようになりましたね。大変喜ばしいことです。

ところで、「哲学」といっても確固たる理念と単なる身の処し方のようなもの があり、後者は欧米も含めどんな文化にも必ずあるものですが、理念の方は欧 米文化独自の歴史から生まれてきたもので、他の国にそれがないといって非難 されても今更どうにもならないほどの大量のエネルギーを幾世紀も投入した結 果のものなのですね。だから、欧米の人は他の国の文化も尊重したいと本気で 考えているのに、他の国に彼らの期待通りの「哲学」が見つからないので、戸 惑ってしまったりするみたいです。

その欧米独自の理念なるものの魅力については、西垣教授が先日新聞に 書いていましたので以下に紹介します:

横井小楠をはじめとする江戸後期の一流儒学者たちは、欧米をただ軍事力と経 済力ゆえに卓越したものだとは決して考えなかった。「仁」や「公」を重んじ る儒学思想は、欧米の人間尊重や共和主義などの近代理念に深い共感をおぼえ たのである。そこには、キリスト教と儒教という文化の違いを乗りこえた一種 の普遍主義があったものと言えるだろう。黒人やインディアンの悲惨な歴史を あげてアメリカを批判し、普遍主義にひそむ偽善を告発することは正しい。だ が、きらびやかな消費生活の面だけにとらわれるならば、アメリカニズムの魅 力の本質を見誤ってしまうのではないか。もしかしたら、世界の人々をとりこ にするのは、シンプルでありながら未踏の高みへとうながす「理念」のもつ抗 いがたい吸引力かもしれないのだ。(西垣通:アメリカの本領思う、朝日新聞 98/7/12)

尚以下が同教授の推薦図書です。
 東大社会科学研究所編:20世紀システム1   東大出版会
 渡辺浩:東アジアの王権と思想         同上
 平石直昭:天                 三省堂
 ニーバー:道徳的人間と非道徳的社会      白水社

by MicroWorldNews

***********************************************************************

5.New York Timesが選ぶ今世紀の英語小説 Best 100 by MicroClassics

***********************************************************************

*'Ulysses' on Top Among 100 Best Novels (NYT 98720)

今世紀も残り少なくなってきたことから、大手メディアには20世紀の総括特 集記事が登場するようになりました。NYTでは今世紀の英語小説のランキン グをレポートしているのでこれをご紹介してみます。米国メディアも夏休み向 き読書特集はよくやっているようです。

今世紀の英語小説ランキングでJames Joyceの"Ulysses"がトップに選ばれた。 RandomHouseの1部門で1917年から英語文学古典を出版しているModernLibrary 編集委員会の審査による。第2位以下はScott Fitzgeraldの"Great Gatsby"、 再びJoyceの"A Portrait of the Artist as a YoungMan","Vladimir Nabokov の "Lolita"、Aldous Huxleyの "Brave New World" が続く。20世紀も終わ りに近づいたので、今世紀の傑作に関心を集めることにより、小説の売上拡大 が期待できるとRandomHouseはみている。RandomHouseは最近Bertelsmannグル ープに買収され世界最大の出版社になった。今後はノンフィクションについて もベスト100を発行の予定。今回のベスト100では58点がFaulkner、 Hemmingway、Henry Jamesなどの米国作家、39点がLawrence、Forster、 Orwellなどの英国作家となった。その他の国はJoyceを除いて含まれていな い。インド、オーストラリア、南アフリカなど英語文学でよい作品があるにも 係わらず。また女性の作家も8人しか入っていない、との内部批判もある。し かし委員長見解として時の試練を経たものから選択すべきと考えられた。1、 2位は全員一致だが、3位以下には議論も多いようである。

BEST100リストはhttp://www.nytimes.comでご覧下さい。

さて、このBEST100リストから私自身の独断で推薦しますと:
1. Ulysses,         James Joyce
6. The Sound and the Furry, William Faulkner
9. The Sons and Lovers, D.H.Lawrence
25. A Passage to India, E.M.Forster
46. The Secret Agent, Josef Conrad
77. Finnegans Wake, James Joyce
80. Brideshead Revisited, Evelyn Waugh

といったところです。20世紀の英語小説という範囲では、これ以上100リ ストにつけ加えるものもないように思われます。(HardyやH.Jamesの主要な作 品はぎりぎりで19世紀になりますので。)Joyce作品は力作の邦訳が大いに 話題になりましたし、他も文庫や全集などで邦訳が入手しやすいので、皆様も 夏休みの読書リストに加えてみてはいかがでしょうか。とくに年齢別に推薦す るとすれば:
  20代: 46
  30代: 9
  40代: 6、25
  50代: 1、80
  60代: 77
ここでは40代向きの6と25から少し紹介してみましょう。

以下はThe Sound and the Furryより、自殺をほのめかす長男Quentinと父との 対話:

どんな人間だって絶望でも悔恨でも死別でもその最初の激情にまかせてそんな ことをするものではない人間がそうするのはただ絶望や悔恨や死別でさえもそ の陰険なサイコロ師にとっては特別な重要さをもたないと悟ったときだけなん だよ そしてぼく 一時的なですって すると彼 愛とか悲しみとかはなんの 計画もなしに購入される債券のようなものでそれは否応なしに満期になりなん の予告もなしに回収されて神々がたまたまそのとき売りだしている新券に変え られてしまうなどという考えはなかなか信じがたいものだよそうともおまえは けっしてそんなことをしでかしはしないさ(中略)人間はみんな自分自身の美 徳の裁断者なんだがどんな人間でも他人の幸福を指図するようなことがあって はならんのだよ そしてぼく 一時的なですって すると彼 それはいちばん 悲しい言葉だったこの世のなかにはほかには何もないんだよそれは絶望でもな い時がくるまではねそうなるまでは時でさえもないんだよ

(響きと怒り:大橋健三郎訳)

「インドへの道」は80年代に映画化もされています。映画は若者向きになって いますが、原著は英国とその植民地という視点に留まらず、人は否応なく階級 に所属するということを意識し始める年代の人にも共感を呼ぶものとなってい ます。以下は、英国人女性アデラ、そして若いインド人医師アジズの描写で す:

二人の婦人は大体において繭の中で暮らしていた。二人の間の相違は、老婦人 は自分の無感動をそのまま受け入れたのに対して、若いほうの婦人は、自己の 無感覚に怒りを感じていたという点にあった。いろいろな事件の起こる人生の 流れはすべて重要で面白いものだというのがアデラの信念だった。もし退屈し たら、自分を強く非難し、無理やりに口を開いて熱狂的な言葉を叫ばなければ ならなかった。これだけが、彼女の誠実な性格の中にひそむ不誠実だった。し かし、それは実際彼女の若さの知的抗議だったのである。

しかしその喜びの中にはそれ自身を滅ぼすべき種子がやどっていた。というの は、それは彼に『おお、これ以上あの女(ひと)のために何ができるだろ う?』などど考えさせ、また次の歓待にとりかからせるからであった。           (インドへの道:瀬尾裕訳)

by MicroClassics

************************************************************************

このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して 発行しています。登録・解除もこちらでどうぞ。( http://www.mag2.com/ )

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
発行人 : YUKI
電子メールアドレス: ohto@pluto.dti.ne.jp
(Nifty) : YHJ00031@niftyserve.or.jp
ホームページ : http://www.pluto.dti.ne.jp/~ohto/
(過去のバックナンバーが読めます)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



ホームページに戻る 

「英語を読む」のホームページに戻る